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ベネズエラが世界初の政府発行仮想通貨「Petro」を発行、豊富な石油資源を背景にする一方で懐疑的な見方も


南米のベネズエラ政府が、独自の仮想通貨「Petro」(ペトロ)を発行することを2018年2月20日に発表しました。アメリカによる経済制裁の影響を回避するための試みで、同国が持つ石油資産によってその価値が保証されるとされていますが、不透明な部分が多く残る状況になっているとのこと。

Venezuela launches oil cryptocurrency - BBC News
https://www.bbc.co.uk/news/amp/business-43133853

ベネズエラ、仮想通貨発行 60%割引との報道も  :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27181440R20C18A2000000/

ベネズエラのマデュロ大統領が「世界初の国家による仮想通貨である」と述べているとおり、Petroは国家によって発行される初の仮想通貨となっています。日経新聞によると、今回の売り出しは機関投資家向けで、ベネズエラ政府が最大60%の割引価格を提示しているとのこと。マドゥロ氏は「世界で初めて天然資源に保証された仮想通貨を発行した」と宣言している一方、日経新聞は「不透明な部分が多く、実態は明らかになっていない」とも報じています。

ベネズエラは南米最大の石油資源国ですが、独裁色が強いとされるマデュロ氏の政策を巡ってアメリカのトランプ大統領がベネズエラに経済制裁を実施する大統領令に署名しているほか、EUからも武器禁輸の措置が取られるなど、世界各国からの圧力が高まっています。そんな中、ベネズエラでは年間2600%超という激しいインフレが起こり、通貨切り下げなどの措置もとられるなど、苦しい経済状況が続いています。

ベネズエラ、年間インフレ率2616% 4桁到達は初:朝日新聞デジタル

ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量を誇るが、政権がばらまきや無理な価格統制を続けて経済が混乱。原油価格の下落で外貨収入も急減し、急速にインフレが進んだ。国際通貨基金によると15年のインフレ率は111・8%、16年は254・39%だった。


そんな中で発表された仮想通貨Petroは、同国が持つ石油資源がその価値を担保するとされています。公式ウェブサイトには「PETRO(PTR)は、ベネズエラ・ボリバル共和国およびその豊富な原油資産によって価値が裏付けされます。さらに重要なことに、Petroは最高基準にあるブロックチェーン技術と情報テクノロジーを用いる革新的な方法で設立されており、より直接的な通商および、金融的、経済的に真に独立したワークフレームの中での政府活動を可能にする電子的な資産表現を狙うものです」と記載されています。

elpetro.gob.ve/
http://elpetro.gob.ve/index-en.html


しかし、その実効性については疑問の声も多く上がっており、1500億ドル(約16兆円)にものぼる対外債務を返済する能力がないとされる中での仮想通貨発行は無謀であるとする見方を示す専門家も。また、経済制裁が行われる中での仮想通貨発行は「アメリカの制裁に抵触する」とアメリカ政府がベネズエラ政府に警告していました。一方のベネズエラ政府は、今回の仮想通貨発行はアメリカによる経済制裁を回避するものであると認めているとのこと。

ベネズエラが「仮想通貨」発行へ 米国は制裁抵触と警告 (写真=ロイター) :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2708980019022018FF1000/

今回の発行ではトータルで1億PTRが発行され、1PTR当たりの単価は2018年1月中旬のベネズエラ原油価格を元に60ドル(約6500円)に設定されていましたが、海外メディアは60%の割引をベネズエラ政府が提案していたとも報じています。これは、アメリカ政府がPetroの発行が制裁に抵触することを警告したことを警戒する動きがあったためとも見られています。今回の売り出しは主に機関投資家向けに行われたものですが、買い手の情報は明かされておらず、実際に取引があったかは不明な状況になっているとのこと。

Petroの公式サイトでは、Petroを入手するためにはまずPetroのデジタルウォレットを開設し、ウォレットが生成するメールアドレスを使って送受金を行うようになることが記載されています。


また、予定されているロードマップでは、2018年2月にまずPetroブロックチェーンのイニシャルテストを実施し、法整備などが行われる予定。その後、3月には非公開の販売を実施しつつPetroネットワークの変更と調整を行い、ICOを実施。そして4月には最終的な修正と正式認証が行われる予定とのこと。


国がバックにあることで、他の仮想通貨とは比べものにならない信用度が認められる一方で、混迷を極めるベネズエラの政府運営を見ると、果たしてどこまで信頼が置けるのか懸念せざるを得ない状況であるともいえます。記事作成時点では、法人と個人が登録を行えるページが用意されていますが、それ以上の詳細な情報はまだ確認できない状況です。

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