Bitcoinの相場が中国当局による規制本格化の噂によって急落

By Tyler Lowmiller

年初比100倍の最高値を記録するなど恐ろしいまでのペースで急騰を続けてきた仮想通貨「Bitcoin(ビットコイン)」の相場が、2013年12月に入ってから乱高下しています。その背景には、中国当局による規制の存在があるようです。

Bitcoin Falls 20% on PBOC Rumors, Chinese Exchanges Reinstate Fees - The Genesis Block
http://thegenesisblock.com/bitcoin-falls-20-pboc-rumors-chinese-exchanges-reinstate-fees/

Bitcoins Fail Currency Test in Scandinavia’s Richest Nation - Bloomberg
http://www.bloomberg.com/news/2013-12-12/bitcoins-fail-real-money-test-in-scandinavia-s-wealthiest-nation.html

2013年12月5日、中国の中央銀行である中国人民銀行が中国国内の金融機関に対して、ビットコインを利用した金融サービスを禁止する旨の通達を出しました。12月4日時点でビットコインの取引相場は1BTC(ビットコイン1枚)あたり1240ドル(約12万8000円)という史上最高値をつけていましたが、当局の規制に素早い反応を見せて市場は急落、12月7日には600ドル(約6万2000円)を割り込む事態となりました。

通達翌日の12月6日、百度(バイドゥ)の関連サービス「jiasule」はビットコインでの決済中止を発表。

また、中国当局が今後さらに規制を強めるという噂もあります。12月16日に、ある中国のマイクロブログサイトに「ビットコイン取引所の運営会社が中国人民銀行に、年明け旧正月までにビットコインの取引を停止するよう強く求められたそうだ」という噂が書き込まれると、ビットコイン相場は30％も下落しました。その後、当局や取引所から何のアナウンスもないことから、この噂の信憑性には疑問符がつけられているものの、中国国内のビットコイン取引は、より規模の小さな無名の取引所へのシフトが進んでいるとの報道もあります。

これまで、中国国内でのビットコインの取引は手数料が安いため、中国人民元(CNY)ベースでのビットコイン取引相場は米ドル(USD)ベースでの取引相場に比べて約5％のプレミアムが発生していました。この状態は、中国人民銀行が通達を出した12月5日以降も変化がなかったのに対して、12月16日の下落以降、CNYベースの取引相場はUSDベースの取引相場に比べて10％のディスカウントが生じており、市場関係者の間では、中国政府のビットコイン規制強化に対する警戒が続いているようです。

これは、CNYベースのBTCチャイナとUSDベースのBitstampの取引相場を比較したグラフ。12月16日には、それまでプレミアムがついていたCNYベース取引相場が約10％のディスカウント状態に。

仮想通貨ビットコインは中央集権的な通貨発行権限機関が存在しない点に大きな特徴がありますが、この特徴ゆえにその取り扱いをめぐって各国政府の対応は様々です。禁止という方針を明確に示した中国政府の他にも、ヨーロッパにはビットコインに対して否定的な国が多いと言えます。例えば、北欧で最も裕福な国であるノルウェーは、ビットコインを正式な通貨としては認めないと決定しました。このため、ビットコイン相場が向上してキャピタルゲインが生じた場合は課税されることになります。さらにノルウェーではビットコインの流通ビジネスに25％の売上税がかけられる見込みです。

これに対して、ノルウェーのBIビジネススクールのポール・エリン准教授は、「ビットコインを通貨として認めないというノルウェー政府の方針は、先見の明を欠いている可能性がある」と批判的です。エリン氏によると、「多くの人によって受け入れられている場合にはそれだけで『通貨』としての資格がある」とのこと。ただし、エリン氏は、「ビットコインがより信頼されるようになり、大きな買い物にも使われるようになれば、市場に流通している他の通貨と競争することができますが、まだそこまでには達していない」とも語っています。