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なぜオリンピックではドーピングを行うことが可能になるのか?

by Scott Webb

2018年平昌オリンピックでは初めて、スピードスケート・ショートトラック男子、日本代表の斎藤慧選手がドーピング検査で陽性反応を示したとして暫定出場停止となりました。しかし、実際に明るみになるもの以上に、アスリートのドーピングは行われているとのこと。

Why Is It So Easy To Cheat At The Olympics?
https://www.livescience.com/61747-how-widespread-olympic-doping.html

利尿薬「アセタゾラミド」に反応したとして、斎藤慧選手が2月13日に暫定出場停止となりました。斎藤選手は潔白を主張しましたが、反証の材料がなく、12日に選手村を退去しています

【平昌五輪】日本の斎藤慧選手にドーピング陽性反応 今大会で初めて - BBCニュース
http://www.bbc.com/japanese/43040881


2018年平昌五輪が始まってからドーピング検査で陽性反応が出たのは斎藤選手が初めてですが、開幕前にはスポーツ仲裁裁判所(CAS)は組織的なドーピングを行ったとするロシアの選手47人とコーチの参加を認めないと発表しています。

IOC、ロシア選手団の平昌五輪参加認めず 潔白選手には参加の道 - BBCニュース
http://www.bbc.com/japanese/42247810


ただし、実際に行われているドーピングの数は、スキャンダルとして明るみになったものをはるかに上回るとみられています。パフォーマンス強化について研究する、マウントサイナイ医科大学のトマス・ヒルデブラント准教授は、アスリートらによるドーピングは大規模に行われているという考えを示しており、「ロシアの選手たちについてドーピングが発覚しましたが、他のプログラムについても同様のことが起こっていると考えなければなりません」と語りました。世界アンチ・ドーピング機関(WADA)は数十万人のオリンピックアスリートのドーピング検査を行い、うち1~2%は禁止されている薬物などの検査で陽性反応を示していますが、実際にはドーピングはさらに広範に行われているといいます。2018年1月に発表された調査結果によれば、数千人の世界クラスのアスリートを調べたところ、なんと57%が2017年にパフォーマンスを強化する薬物を使ったと認めているそうです。

ではなぜドーピング検査で陽性反応を示す選手が限られているのかというと、これは検査タイミングの問題が関わっているとのこと。オリンピック出場選手には試合が行われる前年に抜き打ちのドーピング検査が行われます。これは、選手が毎日の予定や滞在先を事前に報告し、そのスケジュールを見てWADAの検査官が自宅や滞在先を訪問してサンプルを回収するというもの。しかし、ドーピング検査は実施するのに費用がかかるため、多くは試合が近づいてきた時期に行われることになります。そのことを知っている選手やコーチは少量の薬物をオフシーズンに摂取し、後に行う検査で陽性反応が出ないようにする、とヒルデブラント准教授は語っています。オフシーズンに少量の薬物で行ったドーピングであってもパフォーマンスを上げる効果はあり、「疑いの目がなく、高頻度で検査が行われないタイミングで、アスリートは肉体を作ることができます」とのこと。


また、タイミングの問題を抜きにしても陽性反応を出さずにドーピングを行うことは可能。というのも、「WADAが見たことのない薬物」を利用すれば検出されることがないからです。アスリートのパフォーマンスを向上させるものとしてはアナボリックステロイドが一般的ですが、アナボリックステロイドはWADAの検査対象です。しかし、アナボリックステロイドと同じくアンドロゲン受容体をターゲットとする化学物質は少なくとも500種類はあり、これまでの検査では検知できない薬物をラボで作り出すことも考えられるとのこと。

ドーピング検査の内容も進歩しているため、未知の薬物が使われたとしても、いずれ検知されるようになります。しかし、このようなシステムのため、試合のためにリスクを犯してドーピングを行う選手も少なくないのだとヒルデブラント准教授は説明しています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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