フライトの途中で飛行機の扉が開くと乗客の身に何が起こるのか?

by skeeze
フライト中の飛行機は完全に密室であり何かが起こっても逃げ場がないため、つい不吉な想像をしてしまう人も多いはず。そんな飛行機の「扉」がフライト中に開いてしまうと、乗客の身に何が起こるのか?人はどのように死を迎えてしまうのか?という疑問に科学系YouTubeチャンネルのAsapSCIENCEが答えています。
What If Your Airplane Door Burst Open Mid-Flight? - YouTube

私たちが利用する民間機は上空3万~4万5000フィート(9100~1万3000メートル)を飛行する場合であっても、機内の気圧は海上8000~1万フィート(約2400~3000メートル)と同じぐらいになるよう調整されています。

飛行機の高度が上がると、周囲の気圧は下がります。

これは大気中の分子にかかる重力が異なるため。地上に近づけば近づくほど分子に働く力は強くなります。

万が一飛行機の扉が開いてしまうと機内は0.5秒以下で減圧され、シートベルトを着用していないと人や物は気圧の違いから飛行機の外にあっという間に排出されてしまうことに。

この場合、飛行機自体が破壊されてしまう可能性があり、生存確率は極めて低くなります。

高度の高い場所は空気が薄い、つまり酸素の量が少ないので、機内の減圧が起こると酸素マスクが上から落ちてくることになります。

しかし、酸素欠乏症が起こる前に酸素マスクを装着するための時間は平均して18秒しかありません。

酸素欠乏症は酸素レベルが下がったときに起こる症状で、吐き気・めまい・意識低下を引き起こし、死につながります。

酸素マスクで供給される酸素量は乗客を10分間生きながらえさせる量で、この時間内にパイロットは飛行機を高度約2400~3000メートルにまで下げる必要があります。ここまで高度を下げると機内と機外の気圧が同じになるので、上記のような事態が防げるわけです。

ここまでの話を聞いて不安になったかもしれませんが、実際のところ、飛行機の扉が開く確率は極めて低いもの。飛行機は1平方インチ(6.45平方センチメートル)あたり8~10ポンド(約3.6~4.5kg)の気圧がかかっており……

外からよりも内からかかる圧の方が大きくなっています。

エアバスA380で考えた場合、飛行機のメインの扉は2.8平方メートルであり、扉を開け始めるためには3万8592ポンド(約1万7500kg)が必要になります。

これはアフリカゾウ3匹を動かす力に匹敵します。

そして、扉の開閉はコックピットから制御されており、パイロットしか操作できません。

また、「窓が割られたら?」と心配するかもしれませんが、飛行機の窓は強度の高いポリマー素材を6層に重ねることで作られており、誰かが殴ったことで割れたり、銃弾で破壊されたりということは起こらないとのこと。

また窓の角の形状を丸くすることでフライト中の抗力を下げ、窓を割れにくくしています。

実際のところ、人がドライブ中に事故にあう確率は114分の1ですが、フライト中に事故にあう確率は9821分の1とはるかに小さいもの。シートベルトを締めて安全ムービーを見たら、安心してフライトを楽しんでいいわけです。

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