飛行機の遅延・キャンセル時にお金を取り戻せる「AirHelp」
あまり頻繁にあっては困りますが、飛行機に乗ろうと空港に着いても、機材トラブルや天候による遅延、珍しいケースではストライキによる決行やオーバーブッキングによる搭乗拒否など、航空券を買っていた便に乗れなくなるトラブルというのはまれに発生するものです。多くの場合は払い戻しや代替便、ホテルの手配などの対応が取られますが、海外では搭乗者が持つ権利をもとにして航空会社から補償金の支払い申請を代行するサービス「AirHelp」がサービスを開始しました。
AirHelp - Get compensation from delayed, cancelled or overbooked flights
http://www.getairhelp.com/us/
このサービスは、主にスタートアップ企業向けの投資を行うY Combinatorの出資を元に立ち上げられたもので、EU圏およびアメリカにおける搭乗者の権利を定めた法律に基づき、航空会社に請求できる補償の申請を代行するものとなっています。
36036 1..1 - LexUriServ.do (ヨーロッパ:PDFファイル)
http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:L:2004:046:0001:0007:en:PDF
eCFR — Code of Federal Regulations (アメリカ)
http://www.ecfr.gov/cgi-bin/text-idx?tpl=/ecfrbrowse/Title14/14cfr250_main_02.tpl
補償の根拠となる法律がヨーロッパとアメリカのものであるため、請求できるケースは限られてきます。ヨーロッパの場合で補償を受けられるケースは以下の通り。EU系の航空会社によるフライトだった場合は、全てのフライトがカバーされますが、非EU系の航空会社の場合は、「EU内からEU圏外へ」および「EU内からEU内へ」と、EU圏発のフライトのみ補償の対象となっています。
補償額をケース別にまとめたのが以下の表で、フライトの「遅延」「キャンセル」「オーバーブッキング」が発生した際に遅れた時間、そしてフライト距離ごとに規定されている様子がわかります。長距離であるほど補償額は増加し、最大で800ドル(約8万円)の補償を受けることができると定められています。
ただし、フライトが複数の経由地を経ている場合やトラブルの原因によっては、補償の対象とならない場合もあります。そのため、AirHelpではユーザーからの申し込みの際に状況を聞き、適用の範囲に含まれるかどうかを判断するようになっています。
一方のアメリカでは、遅延・キャンセルによるトラブルを補償する規定はなく、カバーされるのは搭乗拒否された場合に限定されます。代替便による目的地への到着が遅れた時間ごとに補償の内容が規定されており、1時間以内だった場合は補償はなし、1~2時間(国内線)および4時間(国際線)でのトラブルの際には、650ドル(約6万7000円)を上限に購入していたチケット代金の200%、2~4時間(国内線)および4時間(国際線)の場合は、1300ドル(約13万5000円)を上限にチケット代金の400%が補償されるという規定が存在しています。
補償の申請はブラウザかスマートフォン向けアプリから行うことができます。ブラウザの場合は「Start your claim now」をクリック。
トラブルの種類を選択してクリックします。
該当する便の出発地と到着地を入力します。試しに、フランスのシャルル・ド・ゴール空港からアムステルダムのスキポール空港に向かう便を入れてみました。
直行便か経由便かを選択します。
4ストップまで選択することが可能になっています。
フライトナンバーと日付を指定。
遅延したトータル時間、その原因、同行者、予約番号、メールアドレスを入力します。
遅延時間は4つの選択肢から選ぶことが可能。
原因は「技術的なトラブル」「悪天候」「他便による影響」「空港施設の問題」「ストライキ」「説明なし」という6つの項目から選択します。
全てを入力したら、「Submit」をクリックしてAirHelpに依頼を送信します。なお、フライトの内容は全て架空のものです。
「Hurrah!(バンザイ!)」のタイトルとともに受付完了画面が表示されました。本文中には、依頼の内容から250ポンド(約4万2600円)の補償が受けられる可能性があることや、手続き完了には4~6週間かかる旨が記載されていました。
なお、このサービスの利用料は補償額の25%となっていますが、報酬を受けられなかった場合は一切費用がかからない完全成功報酬制となっています。
今のところ日本国内では利用できないサービスですが、存在を知っておくといざという時に効果を発揮することになるかもしれません。
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