サイエンス

世界最古、「35億年前には地球に生命が存在した」ことを示す微生物の化石が報告される


西オーストラリアで発見されていた微生物の化石と思われる物体が「有機体を含んでいる」という証拠が示されました。研究者らは、この発見が「地球の歴史上、当時、多様な有機体が存在したことを示す初めてのデータ」だと主張しています。

SIMS analyses of the oldest known assemblage of microfossils document their taxon-correlated carbon isotope compositions
http://www.pnas.org/content/early/2017/12/12/1718063115.abstract

Oldest fossils ever found show life on Earth began before 3.5 billion years ago
https://news.wisc.edu/oldest-fossils-found-show-life-began-before-3-5-billion-years-ago/

Ancient fossil microorganisms indicate that life in the universe is common | UCLA
http://newsroom.ucla.edu/releases/ancient-fossil-microorganisms-indicate-that-life-in-the-universe-is-common

Ancient Microfossils Are 3.5 Billion Years Old, Scientists Say
https://www.livescience.com/61232-oldest-known-fossils.html

Quest to Find the World’s Oldest Fossils Intensifies With New Result
https://gizmodo.com/quest-to-find-the-world-s-oldest-fossils-intensifies-wi-1821393628

肉眼では同定できない微化石はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)で古生物学を研究するJ. William Schopf教授とウィスコンシン大学マディソン校で地球科学を研究するJohn W. Valley教授らが率いる研究で発見されたもの。化石がオーストラリア西部で初めて発掘されたのは1982年、Scienceに論文が発表されたのは1993年のことですが、他の科学者からは「化石であると断定することはできず、奇妙な形の鉱物のように思える」と反論されていました。微化石は10マイクロメートルという極小サイズで、人間の髪の毛の8分の1の細さで、微化石であるか断定することが困難でした。


しかし、近年になって二次イオン質量分析法(SIMS)と呼ばれる新しい技術で調査が行われたところ、炭素の痕跡が見つかったことから、有機体の化石であるということが示されました。化石の起源は34億6500万年前であると推定されており、Schopf教授は「34億6500万年前までに、原始的な生命は光合成を行うものや、メタンを生み出すもの、メタンを使うものなど、多様化していたのです」「これは地球の歴史上、当時、多様な有機体が存在したことを示す初めてのデータです。我々の過去研究では、34億年前に硫黄を利用する有機体が存在したことも示されています」「そしてこのことは、生命がそれ以前に発生していなければいけないということを示しています。原始的な生命が生まれ、より発達した微生物に進化することは難しくありません」と語りました。


ただし、比較的大きな化石は生物であるということが容易に特定できますが、微生物の化石はそうではありません。2017年3月には地球最古となる42億年前の化石が発見されたと報告されましたが、これも37億7000万~43億年前という幅を持っています。

Schopf教授らが発見した微化石は上記の化石よりも年代は古くないのですが、「生命の形態学そして地球科学的な痕跡」を両方持ったものとして初めて調査され記述された微化石であるとSchopf教授は説明しました。

SIMSを使った調査では化石の表面を露出させる必要があり、研究者らはマイクロメーター単位で慎重に化石を包む岩石を砕く必要がありました。化石を露出させスキャンした後に炭素の同位体との比較を行ったところ、生物学と代謝機能の特徴である炭素12と炭素13が見つかったわけですが、この測定を行う技術を発達させるためには10年を要したとのことです。


2017年3月に「世界最古」とみられる化石の発見を報告したユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの地球科学者であるDominic Papineau教授は今回の研究について「研究チームはいい仕事をしました。彼らは微化石の存在について否定できない強い証拠を持っています」として、化石が有機体のものだということに同意を示しましたが、Schopf教授らの主張する「世界最古」という文言については同意を示さなかった様子。

一方で、西オーストラリア大学の科学者であるDavid Wacey氏は新たに発表された論文に対して「この論文は拡大解釈を含み、統計的に強いデータを使っているとは言えず、科学的とはいえない」という見方を示しています。加えて、論文はSchopf教授の元教え子であり研究の協力者である人物にレビューされていることから、米国科学アカデミー紀要の編集作業についてもWacey氏は疑問視しています。

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in サイエンス, Posted by darkhorse_log

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