37億年前の「世界最古の生命の活動跡」とされる化石が発見される


北極圏に属する世界最大の島・グリーンランドの岩石から、37億年前の生命の痕跡とも見られる化石が発見されたことがわかりました。仮にこの化石が本当の生物によるものだとしたら、これまでに発見されていた生命の痕跡より2億年も古いものとなります。

Scientists find 3.7 billion-year-old fossil, oldest yet
http://phys.org/news/2016-08-scientists-billion-year-old-fossil-oldest.html

New find might be oldest evidence of life on Earth | Ars Technica
http://arstechnica.com/science/2016/08/new-find-might-be-oldest-evidence-of-life-on-earth/

グリーンランドは、面積の大部分が雪と氷に覆われている島です。しかし、近年の温暖化が原因で土地を覆っていた雪や氷が溶けてしまい、地面が露出する場所が増えているとのこと。今回の化石は、そのような従来は観察できなかった場所から見つかっています。

化石を発見したのは、オーストラリア・ウーロンゴン大学のSchool of Earth & Environmental Sciences(地球環境科学学部)のAllen Nutman教授らによる研究チームです。研究チームではグリーンランド西部のイスアと呼ばれる地域の岩石の中から、太古の地球で浅瀬に生息していた微生物が形成したとみられる構造物の化石を発見しています。同チームの研究結果は、科学論文誌「Science」に掲載されることになっています。


Nutman教授らが発見した、化石とみられる模様の写真がこちら。浅瀬に堆積する沈殿物による層状の模様の中に明らかに異質な模様が残されていることがわかります。研究チームによると、この岩石は藻などの微生物の死骸や泥などによって形成されるストロマトライトであり、生命活動によって今から37億年程度前に生みだされたものであると考えているとのことです。なお、化石ができあがるまでの長い年月を考えると、ストロマトライトを作りだした微生物はさらに1億年も前の38億年前に存在していたとも考えられています。


37億年前といえば、地球が誕生した45億年前から「たった」7億年しか経過していない時代。ドロドロに溶けた溶岩が固まってすでに海ができていた時代ですが、当時の海は鉄分を多く含むために緑色をしており、さらに、空を青く見せる酸素が大気中に存在していなかったため、当時の空はオレンジ色に見えていたと考えられています。

これまでに見つかっていた生命の痕跡は34億8000万年前の化石でしたが、今回の化石が実際に微生物によるものだとしたら、歴史がさらに2億2000万年もさかのぼられることになります。論文の共同執筆者で、オーストラリア宇宙生物学センターの役員を務めるニュー・サウス・ウェールズ大学のMartin VanKranendonk教授は「この化石は我々の惑星がどのように進化し、生命がどのようにしてその足がかりを得てきたのかを教えてくれるでしょう」と述べています。

なお、グリーンランドのイスアでは2013年にも38億年前の生命の痕跡と見られる物質が東北大学らの研究チームによって発見されています。その際に見つかっていたのは生物の存在を裏付ける炭素(グラファイト)で、現世の生物が持つのと同じ炭素同位体組成(12C/13C比)を有すること、現世の生物を構成する炭素に特徴的に現れるナノレベルの組織や外形が見いだされたことなどから、38億年前の海に生息していた微生物の断片であると結論付けられていました。

東北大学大学院理学研究科・理学部
http://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20131209-2632.html

38億年前の生物、グリーンランドで痕跡 東北大など  :日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0901Z_Z01C13A2CR0000/

今回の発表の一方で、この研究結果にはまだまだ議論の余地が残されているのも事実。本来、ストロマトライトの発生は広い範囲でみられることが普通なのですが、今回見つかった規模は小さなものであることから、今後のさらなる検証が不可欠という見方を崩さない研究者が多く存在しています。かつてオーストラリアのストロマトライトに関する研究に携わっていたこともある、Paris Institute of Earth Physics(パリ地球物理研究所)のPascal Philippot氏は、「あまり懐疑的になりすぎたくはありませんが、今後数か月から数年の間に新しい証拠が発見されて、誤解ではないことが明らかになるのでしょう」と、遠回しな様子でさらなるエビデンスの発見を期待するコメントを寄せています。

また、今回発見された模様は地殻の働きによるものではないかという見方が出ていることも事実。今回見つかった「生命の痕跡」とされる化石が確実なものであることを証明するには、まだ多くの時間と物的証拠が必要ということになりそうです。

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