2016年に発見されていた「最古の脊椎動物」とされるサメの年齢が500歳以上である可能性が浮上

グリーランド沖で発見されていた「地球上で最古の脊椎動物」と推測されるサメの年齢を研究者が詳細に調査したところ、なんと500歳以上である可能性がわかりました。

Eye lens radiocarbon reveals centuries of longevity in the Greenland shark (Somniosus microcephalus) | Science
http://science.sciencemag.org/content/353/6300/702

512-Year-Old Shark, Believed To Be Oldest Living Vertebrate, Found In North Atlantic
http://www.ibtimes.com/512-year-old-shark-believed-be-oldest-living-vertebrate-found-north-atlantic-2628368

2016年にコペンハーゲン大学の海洋生物学者ユリウス・ニールセン博士たちの研究チームが、グリーランド沖で体長502センチメートルのニシオンデンザメを発見しました。このサメは1年に1センチメートルというペースでゆっくりと成長することが知られているため、400年近く生きている地球最古の脊椎動物であるとして科学誌Scienceに論文を発表していました。

A satellite tag from from this female, which we caught earlier this year in #Greenland, has just reported her position. She is now ~500 km from capture location and she is not alone.... another shark tagged on same expedition is almost at the same location. This is the first piece of evidence on #Greenlandshark group migration. Good job GS304 and GS309#greenlandsharkproject #tagandrelease #oldandcold #extremefishing #science #sharkscience #psat #wildlifecomputers #arctic #ocean #fishing #shark #marinebiology #marinescience #conservation

Julius Nielsenさん(@juniel85)がシェアした投稿 - 2017 9月 7 12:44午前 PDT

ニールセン博士たちは放射性炭素年代測定法を利用してサメの水晶体と角膜から年齢を分析する数学的モデルを使って、発見されたサメ28匹の年齢を測定したところ、最高齢だとみられる個体は「392歳」だと推計され、誤差の幅が120年であることから少なくとも272歳、最高で512歳だと見積もられました。これまで見つかっている脊椎動物の最高齢記録はホッキョククジラの211歳だったので、ニシオンデンザメは最高齢記録を大幅に更新。仮に最高齢の個体が最高値の512歳だとすると16世紀前半に生まれたことになり、西洋ならばガリレオ・ガリレイの時代、日本なら戦国時代から生きていることになります。

ニールセン博士によると、発見されたニシオンデンザメの胃からホッキョクグマの肉が発見されたとのこと。ただし、ホッキョクグマを捕食したのではなく、ホッキョクグマの死骸を食べた可能性が高いそうです。

ニシオンデンザメがなぜここまで長寿なのかについてはまだ解明されていませんが、冷たい海水の中に住み代謝が非常に遅いことが関係している可能性が高いとニールセン博士は考えています。ニシオンデンザメは、サメの行動学だけでなく長寿をもたらす遺伝子研究からも注目を集めています。