生き物

全長120メートルの「超巨大なヒモ」のような生物が発見される、シロナガスクジラを抜いて世界最長の生物である可能性


既知の生物の中で最大の動物はシロナガスクジラだと考えられていますが、全長がシロナガスクジラを超えて最長になる可能性のある「巨大なヒモのような生き物」が、深海探査により発見されました。

Otherworldly, String-Like Organism Spotted in Deep Sea Is Made Up of 'Millions of Interconnected Clones'
https://www.newsweek.com/otherworldly-150-foot-long-string-like-organism-deep-sea-millions-interconnected-clones-1496512

What The Heck Is This Long, Hypnotic Stringy Thing Floating in The Ocean?
https://www.sciencealert.com/researchers-filmed-the-longest-known-stringy-stingy-thingy-floating-in-the-ocean

世界最長かもしれない生き物の撮影に成功したのは、西オーストラリア州立博物館やドイツのシュミット海洋研究所、アメリカのスクリップス海洋研究所などの世界的な研究機関で結成されたニンガルー・キャニオンズ調査隊です。


ニンガルー・キャニオンズ調査隊が無人潜水機(ROV)で撮影した巨大なヒモ状生物のムービーがこれ。調査隊は、オーストラリア西部にあるニンガルー海岸沖のインド洋でこの映像を撮影しました。

Check out this beautiful *giant* siphonophore Apolemia recorded on #NingalooCanyons expedition. It seems likely that this specimen is the largest ever recorded, and in strange UFO-like feeding posture. Thanks @Caseywdunn for info @wamuseum @GeoscienceAus @CurtinUni @Scripps_Ocean pic.twitter.com/QirkIWDu6S

— Schmidt Ocean (@SchmidtOcean)


30秒ほどの映像には、白く長いロープのようなものが渦巻き模様のような形状で海をたゆたっているところが収められています。


シュミット海洋研究所によると、このヒモは大型のクダクラゲの一種であるApolemiaとのこと。一見すると1つの生物のようですが、実は無数の個体が連なってこの形状をしているそうです。

しかし、Apolemiaは単に群れて集まっているだけではありません。単一の受精卵から生まれたApolemiaの各個体は、「神経毒のある触手を広げる個体」「獲物を消化する個体」「移動のために海水を噴出する個体」「精子や卵子を生成して生殖する個体」などの役割分担を行い、さながら1つの生物のように高度に体を融合させています。その上で、今回の映像のように渦巻きのような形状で海をただよって、エサとなる魚や甲殻類を捕らえるとのことです。

ノースカロライナ大学アッシュビル校のレベッカ・ヘルム准教授はApolemiaについて「このクラゲの一種は何百万ものクローンが互いに連結してコロニーを形成しています。コロニーでの役割分担は10種類以上に分かれており、それぞれの個体が特定の役割に特化しています」と解説しました。

Some of the clones specialize in catching prey. Their slender bodies hang with a single long tentacle dangling like a hook-studded fishing line. Like the frilled tentacles of another siphonophore pictured below...
(pic: @SchmidtOcean https://t.co/UIJt6aLSNn) pic.twitter.com/7nDOKFqSUZ

— Open Ocean Exploration (@RebeccaRHelm)


これだけ多くの個体が1つの生き物のように振る舞うには、相互に情報を共有したり命令を伝達したりして連絡を取り合う必要がありますが、IT系ニュースサイトWiredの取材を受けたブラウン大学の海洋学者ステファン・シーベルト氏によると、「各個体がどのように連絡し合っているのかは謎」とのことです。

またヘルム氏によると、これまで見つかったApolemiaの多くは20cmかせいぜい1mほどの長さだとのこと。一方、今回発見されたApolemiaは、映像に捉えられた部分だけで円の直径49フィート(約15m)、全長は154フィート(約47m)に達すると見積もられています。これは、11階建ての高層ビルに匹敵する長さで、シロナガスクジラが保有している体長34mの記録を大きく上回っています。

by Christophe Quintin

また、シュミット海洋研究所の広報担当者のローガン・モックバンティング氏はアメリカの週刊誌Newsweekに対し「この生物全体の長さは、今回撮影された部分よりもはるかに長いようです。調査チームの報告によると、全長は約120mに達する可能性があります」と話しました。シュミット海洋研究所は目下、測定値を確定させるための外部確認の結果を待っているところだとのことです。

ヘルム氏はApolemiaの年齢について、「深海の生き物はおそろしいほどゆっくりと成長します。従って、正確に年齢を特定するのは困難ですが、おそらく数十年から数百年は生きているのではないでしょうか」と話しました。

調査チームを率いている西オーストラリア博物館のネリダ・ウィルソン氏は「オーストラリア西部にあるニンガルー海岸を探る今回の遠征は、この地域の知られざる生物多様性に光を当てる素晴らしい機会となるでしょう」と話して、さらなる発見に意欲をのぞかせました。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
地球上で最も孤独な環境である「深海」に隠れているものとは? - GIGAZINE

深海でワニの死体を貪る「新種のゾンビワーム」が発見される - GIGAZINE

深海魚は地震の予兆を感じ取ることができるのか? - GIGAZINE

「顔のない魚」やどこからどう見てもペニスな深海生物が世界中で話題に - GIGAZINE

日光の届かない深海に住む異形の生物たちいろいろ - GIGAZINE

まるでモンスターボールのように深海生物を包み込んで捕獲する装置が開発される - GIGAZINE

悪魔のような形相の深海魚「ブラックシーデビル」の撮影に成功、その正体は? - GIGAZINE

深海魚や変わった生き物の写真をロシアの漁師がTwitterで公開 - GIGAZINE

in 生き物,   動画, Posted by log1l_ks

You can read the machine translated English article here.