生き物

なぜホホジロザメを展示している水族館はないのか?

By Elias Levy

水族館にはさまざまな水の生き物が飼育され展示されていますが、ホホジロザメを見られる水族館というのは、記事作成現在でありません。映画「ジョーズ」のモデルになり多くの人が知っているホホジロザメはなぜ水族館で飼育されていないのか、その素朴な疑問にVoxが迫っています。

Why no aquarium has a great white shark - YouTube


イタチザメやメジロザメなど、多くの種類のサメが水族館で飼育されていますが、ホホジロザメが飼育されている水族館はありません。


1970年から1990年代にかけて世界中にある多くの水族館がホホジロザメの飼育にチャレンジしてきましたが、エサを食べなかったり泳げなくなったりという問題が起こり、飼育開始からすぐに死んでしまうホホジロザメが続出。


アメリカの水族館の記録では、1990年代までは最高でも16日しか生きられなかったとのこと。


そんな不可能とまで言われるホホジロザメの飼育に乗り出し、2004年にホホジロザメを約6カ月間飼育することに成功したのがモントレーベイ水族館です。他の水族館が失敗し続けたホホジロザメの飼育に成功したモントレーベイ水族館のジョン・ホーチさんによれば、水族館が最初に着手したのはホホジロザメの捕獲ではなく水槽の開発でした。


モントレーベイ水族館が作ったのは高さが約10mで、約380万リットルもの水が入る水槽で、外洋に生息するマグロやサメを飼育することができます。


また、モントレーベイ水族館は大きさが平均15フィート(約4.5m以上)もあるホホジロザメの中でも、4フィート4インチ(約1.6m)以下のホホジロザメのみを飼育の対象として捕獲。


小さなホホジロザメに限定した理由は、ホホジロザメは成長するとアシカやオットセイなどの大型のほ乳類を食べるようになり、飼育が困難になるため。生後1年以内の小型のホホジロザメは主に魚を食べるので、水族館にとって飼育の難度が下がるというわけです。


モントレーベイ水族館は飼育用に捕獲したホホジロザメをすぐに水族館に運ぶのではなく、一時的に海に大きな囲いを作り、そこでしばらく飼育を行いました。一時的に海で飼育することで、きちんとエサを食べるかなどの飼育上の安全を確認してから水族館に移動させたとのこと。


ホホジロザメは他の魚類と同じくエラで呼吸をします。サメの中には泳いでいなくても呼吸できる個体がいますが、ホホジロザメは常に泳ぎ続けて海水をエラに通さないと呼吸困難で死んでしまいます。


だから、網などで捕獲されたホホジロザメは捕獲後にすぐに弱り始めてしまいます。


この問題を解消するために、モントレーベイ水族館は特製の移動用水槽を作成。この水槽はホホジロザメを傷つけることなく9~11時間移送するため、ビデオカメラや酸素センサーなどのありとあらゆる機能が搭載されていたとのこと。


綿密に練られた計画のおかげで、モントレーベイ水族館はホホジロザメの展示に成功しました。展示中は、お客さんの数が普段より約30%も増えたそうです。


しかし、飼育開始から約6カ月後、モントレーベイ水族館は「他のサメに危害を加えた」という理由で、飼育していたホホジロザメを海に帰すことにしました。


その後モントレーベイ水族館はホホジロザメの飼育にチャレンジし続け、100日以上の飼育に3回成功。


しかし、成功の裏側には失敗もあります。外洋を素早いスピードで泳ぐホホジロザメは、水槽で飼育した際に水槽の壁にぶつかるという事例が発生。その結果、ホホジロザメが鼻の部分を損傷してしまい、これが原因で飼育を中止して海に帰したホホジロザメもいたそうです。


2011年を最後にモントレーベイ水族館はホホジロザメの飼育、および捕獲を一切行っていません。


ホホジロザメの展示をやめたのは、「お客さんに生きたホホジロザメを見せる」という当初の目的を達成したためとのこと。


日本では沖縄の美ら海水族館が約3.5mの大きさのホオジロザメを2016年1月5日から展示し始めましたが……


わずか3日後の1月8日に死亡しました。

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in 生き物,   動画, Posted by darkhorse_log

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