「来年のこと」ではなく「再来年のこと」を計画することが大切なわけ
新しい年を迎えるにあたって「来年はどんな一年にしようかな」と考えることもよくありますが、長期の目標を立てるという目線では「次の年」は近すぎる将来なのかもしれません。自己改善やモチベーション、起業マインドなどについての文章を発表しているベンジャミン・P・ハーディー氏は2017年が終わろうとするタイミングで「考えるのは2018年のことではなく2019年の予定である」とのコラムを発表し、来年のことだけでなく再来年、そしてさらにその先の予定を考えることの大切さを語っています。
Why You Should be Planning for 2019, Not 2018. – Personal Growth – Medium
https://medium.com/personal-growth/why-you-should-be-planning-for-2019-not-2018-c2d856e23a01
「人生は自分でコントロールできる」ということを伝えるべく、ハーディー氏は著名な「ハリーポッター」シリーズの作者J.K.ローリング氏や映画「スター・ウォーズ」シリーズの作者であるジョージ・ルーカス氏を例に挙げて長期計画の重要さを説いています。ハリーポッターの第一作を書き始めるとき、ローリング氏はその後ハリーがホグワーツ魔法学校で過ごす7年間のことを考えてストーリーを練ったはず。また、ルーカス氏は9つのエピソードからなる壮大な物語の第4話を、スター・ウォーズシリーズの第一作として映画制作をスタートさせています。一話読みきりの単発作品ではなく、そのような長期的なビジョンがあったからこそ、ハリーポッターシリーズやスター・ウォーズシリーズには一貫したコンゼプトが全体を通して流れ、多くの人に愛される作品になることができたというわけです。
ハーディー氏はここで頭に入れておくべきこととして、「木を植えるのではなく、果樹園を作ることを考えるべき」という原理原則を挙げています。単に1本の木を植えることはすぐに達成できてしまいますが、そこで全てが終わってしまいます。しかし、「果樹園」という目的のための手段として「木を植える」というビジョンを持つことで、いま何をすべきかが明確になります。
これを言い換えると「落としどころを考えて物事を始める」という言葉になるとのこと。映画に限らず、仕事や人生のプランを貫くゴールを見据えることができていれば、ある1つの地点ではよく意味がわからないことでも、最後に結果として実を結ぶための壮大な「伏線」になることがあります。そのために、遠い目標を立てること、そしてその道のりを一定のスパンに分解して短期的な目標にすることが重要であるとしています。
ハーディー氏はこの目線の持ち方を実現するために、「1年後、3年後、そして5年後に何をすべきか」というビジョンを持つべきと記します。大きなビジョンがあると、そこにいたる小さなゴールは目的を達成するための手段になります。よくあるのが、手段と目的がこんがらがって「手段がいつの間にか目標になってしまう」というパターン。たとえば「我が社も国際化を進めよう!」というスローガンのもと設定された「TOEIC650点達成者を増やす」というゴールが、いつの間にか点数をとることが目標となり、「国際化」という本来の目標がぼやけてしまうというケースです。そんな場合でも数年後のビジョンがしっかりしていて、定期的に現状チェックと再認識が行われてさえいれば、大きな目標を見失わずに済むというわけです。
しかし、取り組みを進めていても、状況が変化する事で路線変更や目標の見直しを迫られることも起こり得ます。何事も思い通りに行くとは限らない現実社会に対応するために大切なことについてハーディー氏は、作家のトニー・ロビンズ氏の言葉を借りて「自分の決断にコミットしながらも、そこにいたるアプローチは柔軟に変えること」を記しています。「決断にコミットする」というのは実は難しいもので、状況の変化によって断念したり、そもそもの目標を忘れてしまったりすることも。アメリカでは、毎年1月に掲げる「年始の目標」を実際に達成できている人は、全体のわずか8%に過ぎないという調査結果も明らかになっているそうです。
目標を成し遂げるために重要なこととしてハーディー氏は、「自分には決断を下すことができる」ということを認識することが大切だと説いています。周囲の状況や「しがらみ」などに縛られ、自分が本当にとるべき決断が下せないと思っている人は少なくありませんが、実際にはそんなことはありません。他人に自分の人生をコントロールさせるのではなく、自分が進むべき道を示す舵取りは自分が責任を持つべきだとハーディー氏は語ります。
そこで重要なのが、目標を成し遂げるためのマインドを保つということ。そのために必要なのは、心理学の分野で用いられる自己効力感」と「統制の所在」という2つの概念であるとハーディー氏は語っています。自己効力感とは、自分がある状況において必要な行動をうまく遂行できるかという可能性の認知のことで、最後まで強い意志を持ち続けるために重要とされるもの。また、統制の所在は「物事がコントロールされている場所がどこにあるか」を示す概念で、その場所が自分の中にある「インターナル」なタイプと、外側にある「エクスターナル」なタイプの人に分かれると考えられています。
長期にわたって取り組みを続けるためには、自己効力感を持つことで「自分には成し遂げられる」という気持ちを持つことが重要。また、物事を自分自身でコントロールするという「インターナル」な考え方を持つことで、他人に自分の決断を支配されないようにすることが重要であるとハーディー氏は記しています。
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