イギリス料理「ウナギのゼリー寄せ」はどのようにして人気を博していったのか?

海外からの旅行者にとって衝撃的なイギリス料理の代表格である「ウナギのゼリー寄せ」は、なぜイギリスで人気を集めていったのか?ということを調べるべく、ウナギからウナギのゼリー寄せが作られてお店に出されるまでの過程を映像で追っていったムービー「Jellied Eels, Anyone?」がYouTubeで公開されています。
Jellied Eels, Anyone? - YouTube
ドン、とたらいのようなものに入れられて登場したのがウナギのゼリー寄せ。

「ウナギ」と「ゼリー」というあまり隣に並んで欲しくない名前と、衝撃的な見た目から、スターゲイジー・パイ(白身魚のパイ)と並んでネタにされることも多い食べ物です。

ウナギを扱う卸売商では、以下のように引き出しの中にみっちりとウナギが収納されています。

中央の男性が、ウナギを扱う「Micks Eel Supply」のジョン・チルバーさん。

イギリス・ロンドンのビリングスゲート・マーケットにお店を構えています。

チルバーさんは33年にもわたって生きたウナギを仕出し屋や魚屋などに提供している人物。書類でも入っていそうなズラッと並んだ引き出しに……

ウナギがみっちり入っています。

「ここにいるかわいいウナギはオランダ出身です。『ウナギのゼリー寄せ』に使われるウナギの中でもロールスロイスのような存在です」とチルバーさん。

18世紀、ロンドンのテムズ川には多くのウナギが生息していたので、庶民の食卓に上る機会が多々ありました。

しかし、現在ではウナギの卸売商は数えるほどしか残っていません。チルバーさんはその1人。

では「なぜウナギのゼリー寄せはこんなにも人気を得たのか?」ということで……

今度はウナギのゼリー寄せを作っているフランク・ブラッドリーさんに話を聞いていきます。ブラッドリーさんは毎日ウナギを食べているという72歳の男性です。

ブラッドリーさんによると、ウナギのゼリー寄せは入手しやすく、フタを開けるだけで食べられるという簡便性から、当時は「当然のように」食べられていたとのこと。

「ウナギは食用に適していて、多くの栄養を含んでいます。最初はみんな気づいていなかったのですが、次第に自分たちが非常に体にいい食べ物を食べていると気づいたのです」

「今のようにインド料理や中華料理のテイクアウトなど存在しませんでしたから、ウナギこそが食の源だったのです」

では、現代ではどのようにしてウナギのゼリー寄せを作っているのかというと、まずウナギの頭を切り落とし……

身のカットは機械で一気に行います。


その後、調理が行われるとのことですが、このプロセスは企業秘密なのか、映像はなし。調理をする際にはウナギを柔らかくする必要があるので、そのプロセスは「まるでアートのよう」と語られています。

調理されたウナギのゼリーは、レストランへと売られていきます。1890年から続くイギリス料理店のGoddards at Greenwichが登場。

「ウナギのゼリー寄せやウナギのシチューは、パイやマッシュポテト、リカーソースと共に、ロンドン・イーストエンドの伝統的な食べ物です。もちろん、全ての人向けではありません。世界は変化していて、嫌いな人もいます」と語るのはケーン・ゴッダードさん。

「昔、私たちは週に50~60ボウルぐらいのウナギを調理していましたが、今では10~12ボウルぐらいです」

「パリと言えばバゲット、ニューヨークと言えばピザやチーズケーキが思い浮かぶでしょう。それと同じで、ロンドンの伝統料理と言えばパイ・マッシュポテト・ウナギだったのです」

「それが基本の食事でした」……ということなので、イギリスへ行く際にはぜひ伝統の「ウナギのゼリー寄せ」を味わって下さい。

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