のりとすし飯があべこべになった「カリフォルニア・ロール」はアメリカではなくカナダで生まれたという説
日本で一般的な「のり巻き」とは違い、すしの酢飯が表面に出てのりが内側に入った「カリフォルニア・ロール」が海外では広く受け入れられています。特に寿司が海外に広まる初期の段階で大きな力になったともいわれているカリフォルニア・ロールですが、その起源はカリフォルニアではなくカナダのバンクーバーであるという説があります。
The California Roll Was Invented in Canada - YouTube
すし飯とのりの位置関係が反対になった、いわゆる「裏巻き」と呼ばれるカリフォルニア・ロール。名前からしてアメリカ生まれだと思われがちですが……
一節によると、実は間違いともいわれています。
カリフォルニア・ロールを作った人は、カナダのバンクーバーで日本食レストラン「Tojo's」を開いている東條英員(ひでかず)さんというのが有力な説。
東條さんらの力で、寿司は北米でも人気のある料理になりました。しかし最初から順風満帆というわけではなかった模様。
1971年ごろ、北米で寿司の知名度はまだまだ低く、好んで食べる人も少なかったとのこと。
当時の日本食といえば、「Tempura(天ぷら)」や……
「Teriyaki(照り焼き)」というのがまだまだ一般的だった時代。
また、北米では海藻を食べる習慣がほとんどなかったため、のりを見て「ムリムリ」という人や「オエッ」と嫌悪感をもよおす人も少なくなかったとのこと。
そんなのりのウィークポイントをクリアするために、東條さんが作りだしたのが「カリフォルニア・ロール」というわけです。
当初はこの作り方に「間違っている!」という苦情の電話も寄せられたとのこと。
「しかし、みんな好きで食べてくれたので」と語る東條さん。
「みんなキュウリが好きで……」
「アボカドも入れます」
「そしてカニの身も」
そして、裏巻きで巻き上げたのがカリフォルニア・ロール。
この新メニューのおかげで、徐々に寿司人気が北米で高まり始めます。しかし、最初の頃の呼び名は「カリフォルニア・ロール」ではなかったそうです。
当初の名前は「Inside-Out Roll」というもの。つまり和訳すると「裏巻き」そのものということになります。ではなぜ「カリフォルニア」の名前がついたのか、それは東條さんの店にロサンゼルスからやってくる人たちの間で人気だったからだとのこと。
のりの苦手な北米の人も「これおいしいね!」といって寿司を食べるようになり……
スモークサーモン、マグロなどが人気になり……
徐々に、伝統的な寿司の人気も広まっていったそうです。
この功績が認められた東條さんは2016年6月、岡井朝子在バンクーバー日本国総領事から「日本食普及の親善大使」に任命されるほどに。
いまや「Sushi」は北米のあらゆるところに存在しています。
手帳に貼るシールや……
USBメモリになったり。
飯事用の寿司のオモチャなども売られています。
裏巻きをした「カリフォルニア・ロール」の起源はこの他にも、ロサンゼルスの「リトル東京」にオープンしたスシ・バー「Kawafuku(川福)」で1963年に出されたのが始まりであるという説も。この他にも北米の寿司人気を支えた要因は数多くあると思われますが、東條さんがその大きな役割を果たしたことは間違いないといえそうです。
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