激辛の唐辛子を食べると感じる「痛み」でケガをしてしまうことがあるのか?

By Lauri Rantala

度を超えた激辛フードを食べると、「辛い」という感覚を通り越して唇や喉に「痛み」を感じることがあります。それでも激辛愛好家はより辛いものを求めてしまうのですが、実際に辛いものを食べた時の痛みでケガを負うことがあるかどうかなど、科学的な「唐辛子のメカニズム」についてBBCで説明されています。

BBC - Future - Can you hurt yourself eating chilli peppers?
http://www.bbc.com/future/story/20161020-can-you-hurt-yourself-eating-chilli-peppers

唐辛子を食べると、果実に含まれるカプサイシンが受容体を刺激することで辛みが感じられます。唐辛子を食べて数分で口の中を放火したような感覚に襲われ、時には痛覚まで活性化されるのですが、これは実際に口の中に損傷を受けたわけではないとのこと。

By Jeff Cushner

程よく辛いものであれば特に健康への危害はありませんが、辛い食べ物には中毒性があり、一部の激辛愛好家はより辛い食べ物を求めてしまいます。日本でも「一口食べただけで倒れ込むほど辛いカレー」など、体調に異常を来すほどの激辛フードが存在しており、イギリスでも特製のデスソースを使った18禁の「XXXホット・チリ・バーガー」が話題になり、試食レポートに赴いた2人の記者が病院送りになったことが知られています。記者の1人は重度の腹痛、手の感覚の消失、震え、過呼吸などの症状を訴えていたとのこと。


唐辛子の辛さはスコヴィル値という数値で計測されますが、約数百万ポイントのスコヴィル値を記録する世界一辛い唐辛子「キャロライナ・リーパー」などを食べると人間は一体どうなってしまうのかは、以下のような「唐辛子早食いコンテスト」のムービーを見るとよくわかるはず。

チリ早食いコンテストバース・チリ・フェスティバル2015年9月26日(土) - YouTube


キャロライナ・リーパーを食べたある人は「3つのキャロライナ・リーパーを食べきるまでに21.85秒かかり、余波から回復するまで14時間かかりました」と話しています。食べる時だけでなく食べた後も重大な反応が継続するわけですが、これはカプサイシンの反応によるもの。カプサイシンの受容体は本当にケガ・やけどを受けた時と同じように細胞を活性化させるため、体内ではやけどを冷却するための発汗作用が起こり、ケガに対処するために血管を拡張して心拍数が早くなるなど、実際に受けていない外傷に対処するはたらきが起こります。


Monell Chemical Senses Centerの生物学者であるブルース・ブライアント氏は「辛いものを食べたあなたの体は『やけどなのか化学反応なのかわからなくても、私はそれを取り除く努力をするだけです』と言うでしょう」と話しています。キャロライナ・リーパーを食べると吐き気を催すのは、胃の中に痛覚を感知する末端神経が存在するためであり、カプサイシンで活性化するやけどを感知する神経細胞も口の中や胃など至る所に存在するため、飲み込んだ唐辛子が消化されて排泄されるまで反応が続きます。

一方で、これらの反応は長くても丸一日で収まるため、唐辛子を食べることによる長期的な危険はないと考えられています。なお、鳥の中にはカプサイシンに反応する受容体を持たない種類もおり、唐辛子の種を食べても人間と同じような反応は起こらないとのこと。激辛愛好家の人々にとっては、唐辛子を食べて「辛い」と反応できることは幸運なことなのかもしれません。

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in サイエンス,   , Posted by darkhorse_log

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