ボーイングの工場では「主翼組み立てロボット」が毎日せっせと組み立て作業を実施中
ボーイングのベストセラー機「737型機」は、2016年時点で月産42機というハイペースで生産が行われています。42機もの飛行機を作るということは、すなわち左右あわせて84枚の主翼を作るということになり、毎日フル稼働しても1日2枚以上の主翼を完成させる必要があります。そんなボーイングの737型機専用工場では、主翼を組み立てるためのロボットが毎日作業を行っています。
Boeing's Panel Assembly Line (PAL) Robot Builds Jet Wings | WIRED
https://www.wired.com/2016/10/meet-giant-robot-builds-boeings-wings/
工場に導入されているロボットは「PAL (Panel Assembly Line)」と呼ばれるもの。実際に稼働している様子などを以下のムービーで見ることができます。
Meet the Giant Robot That Builds Boeing’s Airplane Wings | WIRED - YouTube
青いゲート(門)型のロボットがPAL。中心にある隙間に主翼が縦に入る構造になっており、まるでガソリンスタンドにある洗車機のように機械全体が前後して組み立てを行います。ちなみに、洗車機に似ていますが、大きさは高さが約6メートルもあり、重量は60トンという巨大ロボットです。
実際の組み立てに入る前に、人間による下準備作業が行われます。まず、主翼の内側に取り付けられて翼の強度を確保する「スパー(桁:けた)」と呼ばれる黄色い部品を治具にセット。
そして次に主翼の翼面となる金属製のパネルを用意して……
実際の取り付け位置に仮組み。
まずは人間の手によって「ファスナー」と呼ばれるリベットで固定されます。
そして、PALによる組み立てが開始。
レーザーを使った位置決めを行い、正確かつ素早い作業を行うとのこと。
ボーイングの工場ではかつて、1960年代から使われてきた主翼組み立てラインがありましたが、新しくロボットを導入した現在のラインでは、組み立てに要する時間が90%も削減されたとのこと。
ロボットによる作業なので、作業員のスキルのバラつきや、ミスによる不具合も激減したとのこと。また、最初に一度だけプログラミングしてしまえばあとは何回でも同じ作業を繰り返してくれるため、作業員のトレーニングに要するコストも削減できたそうです。
ロボットはファスナーの位置を正確に決め、穴を開けてファスナーでパネルとスパーを結合する作業を黙々と進めます。
パネルとスパーを組み付け、次に人の手で上と下の2枚のパネルをつなげてボックス状にすると主翼の完成というわけです。
ボーイングでは、2016年時点では月産42機という生産能力を、2018年までに52機までに引き上げる予定とのこと。それだけ小型機の737型機に人気が集まっているというわけで、今後もこのロボットPALの活躍は続くことになりそうです。
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