触ることができる特殊なインク「TOUCHABLE INK」を視覚障害者向けにサムスンが開発中
視覚障害を持っている人が指先で触った感覚で読み取る「点字」は、点字プリンターで出力するのが一般的なのですが、点字プリンターは一般的な家庭用プリンターと比べてとても高価です。しかし、サムスンが開発中の「TOUCHABLE INK」は、家庭用のプリンターにセットして使えるインクで、点字を家庭でも安価に印刷することができます。
SAMSUNG + TOUCHABLE INK - J. Walter Thompson Bangkok Advertising Work
https://www.jwt.com/en/bangkok/work/touchableink/
触ることができる特殊なインクがどのようなものかは以下のムービーを見るとわかります。
TOUCHABLE INK - Cannes Lions 2016 - YouTube
スマートフォンで文章を撮影し……
それを読み上げてくれるサービスは、視覚障害を持つ人にとって便利なツールです。
「しかし、どれだけ技術が発展しようとも、書かれている文章を100%正確に理解することはできない」と、15歳から視覚障害を抱えているシティチョークさんは話します。
「耳で聞く」よりも「手で読み取る」ことの方が、文章を読んでいるという満足感を得られるそうです。
また、「読み取ることは、覚えることにも役立つんです」と生まれたころから視覚障害を持つティティカンさんは話します。点字を読むという行動は、他人の助けを必要としないため、「1人でもできるんだ」と視覚障害の人が自信を持つことにもつながるとのこと。
しかし、点字を印刷するためのプリンターは1万5000ドル(約160万円)もする大変高価な製品。
そこでサムスンが開発中のなのが「TOUCHABLE INK」という出力後に触れるようになるインク。
特殊な成分を配合することで、印刷後に浮き出るようにインクを固めることができます。
TOUCHABLE INKは家庭用の安価なプリンターのインクジェットで使えるため、わざわざ高価な点字プリンターを買う必要がありません。
文章を……
点字に変換。
それをTOUCHABLE INKで印刷します。
印刷後はドライヤーや……
電子レンジなど一般家庭にある電化製品でインクを温めます。
温めることでインクが浮き上がって固まり、点字を読み取れるようになるというわけです。
TOUCHABLE INKを使えば、視覚障害の人が自由に手紙を書いて愛する人に渡すこともできます。
TOUCHABLE INKは開発中の製品ですが、一般家庭向けに普及すれば視覚障害を持つ人たちの助けになることは間違いなさそうです。
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