海外発の中世日本を舞台としたストップモーションアニメ映画「Kubo and the Two Strings」
日本での公開は未定ながら海外では高い評価を得ている、中世日本を舞台としたアメリカ発のストップモーションアニメ映画が「Kubo and the Two Strings」です。そのオープニングシーンを交えながら、いかにしてハイクオリティな作品が制作されてきたのか、WIREDが追っています。
How Laika Crafted Kubo and the Two Strings’ Epic Opener | WIRED
https://www.wired.com/2016/08/art-of-kubo-video/
「Kubo and the Two Strings」の制作会社は、アメリカを拠点に活動するストップモーションアニメの映画やコマーシャルを制作するスタジオ「ライカ」。ライカは2005年に「ティム・バートンのコープスブライド」の制作に携わったことで知名度を上げ、その後オリジナル作品として「コララインとボタンの魔女 3D」や「パラノーマン ブライス・ホローの謎」などを制作しています。
そのライカの新作映画が日本を舞台にした冒険活劇「Kubo and the Two Strings」です。主人公はクボという名前の少年で、サルとカブトムシと一緒に魔法やモンスターがあふれる世界を旅しながら、物語の中心となるクボの家族や出生の秘密を探ります。この映画で登場するキャラクターたちは3Dプリンターで作られたパペット(人形)。これをストップモーションで撮影し、さらに最新の3DCG技術と掛け合わせることで独特の映像美が生み出されています。
実際にどのような映像ができあがっているのかは、以下の公式トレーラーを見れば分かります。
KUBO AND THE TWO STRINGS - Official Trailer [HD] - In Theaters August 2016 - YouTube
KUBO AND THE TWO STRINGS - Official Trailer 2 [HD] - In Theaters August 2016 - YouTube
KUBO AND THE TWO STRINGS - Official Trailer 3 [HD] - In Theaters August 19 - YouTube
「これだけ美しく動き回るキャラクターたちが人形なわけない!」と思うかも知れませんが、撮影は人形と舞台となるジオラマ上で行われているのが以下のムービーを見れば一発で分かります。キャラクターだけでなく細かな小物や劇中の広大な土地すらも実物で再現しているのは本当に驚き。
KUBO AND THE TWO STRINGS - 'Crafting an Epic' Clip - In Theaters Friday - YouTube
これらのムービーを見れば、「Kubo and the Two Strings」の撮影が並大抵のものではなかったことは一発で伝わります。事実、WIREDは「ライカのストップモーションは並大抵のものではなく、信じられないほど大掛かりなものだ」と賞賛しています。
ストップモーションは、静止している物体を1コマ毎に動かしてカメラで撮影し、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる撮影技法です。そんなストップモーションでは、「水の動き」のような連続した滑らかな動きを表現することが非常に難しいとされてきました。しかし、Kubo and the Two Stringsの作中では海が登場しています。この撮影は、人形とジオラマ、さらにはCGを統合した実践的な試みにより表現されたそうで、その素晴らしさがよくわかるのがKubo and the Two Stringsのオープニングシーン。
The Art of Animating Kubo's Epic Opening Scene | WIRED - YouTube
小さな船に乗った女性が、嵐の海を航海します。
手にはなぜか三味線を持っています。
女性をアップで見るとこんな感じ。本物の人間のように女性の髪が風になびきます。
背中にはクワガタのような昆虫っぽい刺繍が入った風呂敷を担いでいます。
「ライカスタジオの新作映画、Kubo and the Two Strings」
「人形を使ったストップモーションアニメが……」
「最新のデジタルアニメーション技術と融合しています」
気づけば浜辺に打ち上げられていた女性。
顔には大きな傷跡が。
風呂敷も浜辺に打ち上げられており……
必死の形相でこれに近づきます。
動きは非常に滑らか。ストップモーションでの撮影には一体どれだけの時間がかけられたでしょうか……。
その風呂敷の中には……
片目がふさがれた少年。これが物語の主人公であるクボ。
ストップモーションだけでは表現できないであろう広大な海。
さらには巨大な大波まで出現します。
しかし、手に持ったばちが発光して……
これでシャン、と三味線を鳴らすと……
大波が真っ二つに割れました。
しかし、大波で船が転覆して……
水中に投げ出されます。
ストップモーションとCGが融合した独特で味のある映像が楽しめる「Kubo and the Two Strings」の日本での公開は未定ですが、アメリカでは2016年8月19日に公開されています。
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