メモ

なぜほとんどの人が重大なセキュリティ警告のポップアップ表示を無視してしまうのか?


PCを使っているときに突然現れるセキュリティに関するメッセージを多くの人は無視するそうです。これはたいていの場合、セキュリティメッセージの出現タイミングが悪いことが原因であり、タイミングを変えることでセキュリティメッセージへの応答の確率を大きく改善できることが、Google Chromeのエンジニアと協力したブリガムヤング大学の研究者によって明らかにされています。

Information Systems Research: INFORMS
http://pubsonline.informs.org/doi/abs/10.1287/isre.2016.0644

| Brigham Young University
https://news.byu.edu/news/most-people-disregard-security-warnings-when-they-pop-our-computer-screen-why-they-come-bad

ブリガムヤング大学の研究者はChromeの開発者と共同で、ユーザーがセキュリティメッセージへどのような反応を見せるのかをテストしました。この調査では、ほとんどの人がセキュリティ警告を無視することが分かっています。

調査結果によると、ウェブページを閉じようとしているタイミングでは74%の人がポップアップタイプのセキュリティ表示を無視し、ムービーを視聴中の場合は79%の人がメッセージを無視しました。さらに、メッセージなどを送信しようとしている場合では、なんと87%の人がメッセージを無視したとのこと。


多くの人が重大なメッセージにもかかわらずセキュリティ警告を無視した原因は「マルチタスキング」にあると考えられています。これまでのさまざまな研究によって、人間の脳は2つ以上の物事を同時に取り扱うマルチタスキングが苦手で、マルチタスキング中には大幅にパフォーマンスを損なうことが分かっています。つまり、人間の脳は苦手なマルチタスキングを避けてパフォーマンスの低下を防ごうとすることは、ある意味では当然であるため、何か作業中に別の作業を求められたとしても、それを拒絶する傾向にあるという当然の理屈によって、セキュリティ警告が無視されているというわけです。

実際に、fMRIを使って脳の状態を調べたところ、何もタスクを行っていないときにセキュリティメッセージが表示された場合に比べて、何か別のタスクを実行中のときにセキュリティメッセージが表示された場合には、脳の神経ネットワークの活動が低下したことが確認されています。


以上の通り、セキュリティ警告が無視されてしまう原因がマルチタスキングにあることから、問題解決の方法は極めてシンプルで、ユーザーが何も作業をしていない状態を狙ってセキュリティ広告を表示させることが効果的です。実際に、ブリガムヤング大学とChromeエンジニアによる共同研究では、「ムービーを見終わったとき」「ページの読み込みを待っているとき」」「ウェブサーフィンを終えたとき」という3つのタイミングで、セキュリティメッセージに多くの人が最も注意を払うことが分かったとのこと。

この結果はある意味では当然のことですが、多くのソフトウェアエンジニアは、警告表示のタイミングをまったく気にすることなく無鉄砲に出現させているとのこと。そのため、セキュリティメッセージを表示するタイミングに注意を払うことで、さらに効果的なセキュリティ警告ができるとブリガムヤング大学のボニー・アンダーソン教授は述べています。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
セキュリティ警告を数多く見過ぎると人間の脳は部分的に停止するということがMRIで判明 - GIGAZINE

ユーザーをだますのが目的のデザイン「ダークパターン」いろいろ - GIGAZINE

Googleがニセのダウンロードボタンに偽装した広告などに警告表示 - GIGAZINE

世界中で不評だったWindows 10へのアップグレード通知ウインドウがついに改善されることに - GIGAZINE

「マルチタスクは集中力を欠落させる」などデジタル社会が脳に及ぼす悪影響とは? - GIGAZINE

PC・スマホ・タブレットなどを同時に使い分けるマルチタスクは脳の認知機能を低下させるおそれ - GIGAZINE

マルチタスクによって生じる精神的・身体的問題がさまざまな研究から判明 - GIGAZINE

in メモ, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.