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アメリカが実質支配していたインターネットが非営利団体の管理下へ

by Ministerio TIC Colombia

長らくインターネットはアメリカ政府の支配下に置かれているという実態があったのですが、2016年9月末をもってこの状況が解消され、2016年10月1日からは国際的な非営利団体・ICANNが管理を行っていくことになります。

US ready to 'hand over' the internet's naming system - BBC News
http://www.bbc.com/news/technology-37114313


インターネットに接続されているすべてのコンピューターは、それぞれ3ケタの数字4つで示されるIPアドレス(IPv4の場合)を持っていて、相手のIPアドレスを知れば接続することが可能です。しかし、ランダムな合計12ケタの数字を覚えるのは大変なので、もっとカンタンに扱える仕組みとして「gigazine.net」「yahoo.co.jp」のようなドメイン名が設定され、DNSと呼ばれるシステムが、「gigazine.netならIPアドレスは***.***.***.***にアクセスすればOK」と教えてくれるので、コンピューターは対象に接続できています。

この「ドメイン」や「IPアドレス」など、インターネットの情報資源を管理しているのが「ICANN」です。

もともとインターネットは、1960年代に大学や研究所のコンピューター同士を結ぶネットワークとして国防総省の出資によって作られた「ARPANET」をもとに発展したものです。情報資源を管理・運用するため、1988年に南カリフォルニア大学情報科学研究所のジョン・ポステル教授らが中心となってIANAという組織が作られましたが、1998年にその機能は国際非営利団体であるICANNに移管され、IANAはその管理部門に改組されることに。


ただし、国際的な非営利団体とはいっても、ICANNがアメリカ商務省との強い繋がりがあることは広く知られていて、実質的に、インターネットはアメリカが支配するといえる状態にあり、中国やロシアをはじめとする世界各国の反発を招いていました。

その改善のため2009年、ICANNはアメリカ商務省から「独立」し「いかなる単一の実体によっても管理されない」という約定が発表されました。

ICANNのCEOが語る新しい責務に関する約定 - ICANN
https://www.icann.org/news/announcement-2009-09-30-ja

さらに2014年、アメリカ電気通信情報局は「ICANNとは1999年からIANA部門の管理を行う契約を結んできましたが、2015年9月をもってこれを終了します」と発表しました。

U.S. government pulls out of ICANN | PCWorld
http://www.pcworld.com/article/2108780/us-government-to-end-formal-relationship-with-icann.html

しかし、この予定は各国の思惑によって後ろへずれ込むことに。2016年3月に開催された「ICANNマラケシュ会合」で、各国政府関係者の合意が得られなければすべては水の泡となるところでしたが、無事、合意が得られたため、インターネットの管理は2016年10月から「ICANN」の手に委ねられることになりました。

インターネットの米国支配終了へ 各国から反発増大、非営利団体に管理業務移管 (1/4ページ) - SankeiBiz(サンケイビズ)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/160307/bsj1603070500001-n1.htm

DNSの管理については、もしアメリカが影響力を維持しようと思えばできていたそうですが、中国やロシアを中心として、国連の国際電気通信連合に管理を委ねさせようとする圧力があり、アメリカは国連ではなくICANNが管理するようにする方向へと力を使ったとのこと。

一般のユーザーが感じるような大きな変化はすぐには起きないかもしれませんが、サリー大学のアラン・ウッドワード教授は「1つの国家によって管理されていたインターネットが、複数の利害関係者によって管理されるインターネットになった。これは大きな変化です」と語っており、ひょっとすると、これまでとは別の姿を見せる部分がでてくるかもしれません。

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in メモ, Posted by logc_nt

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