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基準値の約170万倍、顔を水につけるとアウトの超深刻な水質汚染が進むオリンピック開催地リオの実態

By alobos Life

第31回オリンピック競技大会の開催地であるブラジルのリオデジャネイロは、オリンピックを開催するにあたって会場準備の遅れや現地の治安といった問題点が指摘されています。指摘されている問題の中でも特に深刻なのが、ボートやカヌー、セーリングといった競技が行われる会場の水質汚染で、専門家が「水に頭をつけてはいけない」と注意喚起するレベルに達していることがAP通信の調査で判明しました。

Expert to Rio athletes: 'Don't put your head under water'
http://hosted.ap.org/dynamic/stories/O/OLY_RIO_FILTHY_WATER

16カ月に及ぶ水質調査を実施したAP通信によれば、リオオリンピックでボートとカヌーの競技会場となるロドリゴ・デ・フレイタス湖、セーリング会場のマリーナ・ダ・グロリア、ウインドサーフィンやマラソンスイミング及びトライアスロンの会場のコパカバーナビーチにおける水質汚染のレベルがかなり深刻な状況にあり、感染症を引き起こすアデノウイルスを大量に含んでいることがわかりました。


ロドリゴ・デ・フレイタス湖では、2015年3月の調査時点で1リットル当たりのアデノウイルス含有量が17億3000万であったのに対して、2016年6月に実施された調査で1リットル当たり2億4800万に減少していました。ただし、減少しているといっても1リットル当たり2億4800万というのは相当な危険性を秘めており、アメリカのカリフォルニアだと1リットル当たり数千で警告が発令されるレベルです。実際問題として、既に2013年3月時点で魚が大量死して、湖面を埋め尽くす事件が起きています。

セーリングの会場となるマリーナ・ダ・グロリアは、1リットル当たりのアデノウイルス含有量が2015年3月時点から約1100万増加して3700万となっており、状況は1年前から改善するどころか悪くなっているという状態。AP通信が行った2015年3月の調査では、リオデジャネイロ周辺の水が含むウイルスの量は、アメリカやヨーロッパで定められている危険性があるという基準値の約170万倍に達しており、その後1年間にわたって浄化処理が施されたものの、状況を大きく変えるまでには至らなかった模様です。

By Kontaktabzug

また、AP通信の調査で競技会場の水に含まれるアデノウイルスによる感染性の測定値が90%近くあることが判明。この測定値に対してサウスフロリダ大学統合生物学部のハーウッド教授は「90%という測定値はとんでもなく高い数値で、排水を適切に処理しているアメリカでは考えられないレベルに達しています。口や鼻から水を摂取してしまうと重度の疾患にかかってしまう危険性があると言えるでしょう」と話しています。

オリンピックに参加予定の選手は、AP通信が第1弾の調査結果を2016年7月に発表した後に抗生物質を飲んだり、競技で使用する道具を漂白したり、プラスチック製の競技スーツを着用したりして汚染水による感染を防ごうとしています。フィンランドのセーリング代表のヌーラ・ラスコーラ選手は「水が汚れていることやウイルスに関する話は選手の間で大きな話題になっています。私は水質汚染に対しても精神的な準備をしてきたつもり。競技を行うのに安全だったり危険だったりする日があるという認識です」とコメントしました。

水質汚染による健康被害が心配されるのは選手だけでなく観光客も同じです。オリンピックの期間中は30~50万人の観光客がリオに訪れる予定で、観光地であるコパカバーナビーチでは多くの観光客が海水浴を楽しむと見られています。しかし、AP通信の調査でコパカバーナビーチの砂のウイルス含有量が基準値を超えており、砂で遊ぶ子どもや赤ちゃんにとっては特に危険であることがわかっています。

By Edward Zulawski

競技に参加する選手には水質汚染に関する注意が呼びかけられていますが、観光客は水質汚染についてあまり認識しておらず、ウルグアイから観光でコパカバーナビーチを訪れていたラウール・オネットーさんは「水はとてもきれいに見えますし、水質汚染が進んでいるなんて知りませんでした。もし本当に水質汚染が進んでいるのであれば、注意を呼びかけるべきですね」と話しました。

AP通信の調査の他にも、グアナバラ湾やコパカバーナビーチなどで抗生物質が効かない「スーパーバグ」が見つかったという調査報告があります。グアナバラ湾はリオから下水が直接流れ込んでいる状態で、リオ州環境局は「グワナバラ湾の水質を改善するには25年以上かかる」と7月20日に地元メディアに発言しており、オリンピックの開催に向けて大きな不安が残っている状態です。

なお、水質汚染が懸念される会場で開催予定のセーリング、カヌー、ボートといった競技には、日本からの代表チームも出場する予定になっています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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