ハードウェア

一見すると似たようなUSBアダプターでも中身によっては爆発する危険性アリ


スマートフォンの充電などで使われることが多いUSBアダプターには、AC(交流)100ボルトの壁コンセントからDC(直流)5ボルトに変換する電子回路が内蔵されています。非常に小型の本体に細かな電子部品が内蔵されているわけですが、その中身は製品ごとに大きな差が存在しているようです。

Searching for USB Power Supplies that Won’t Explode | Hackaday
http://hackaday.com/2016/04/27/searching-for-usb-power-supplies-that-wont-explode/

ハッキング関連のニュースを扱うHackadayに掲載されたブログを書いたBob Baddeley氏は、3つのUSBアダプターを分解してその中身を調査しています。アダプターは3つとも中国製のもので、小型の本体に電源プラグとUSBポートが一体化されたものが選ばれています。

ケースを切断して中身を見てみると、それぞれ異なる設計になっていることがわかります。


このアダプターは、4芯のフラットケーブルでつながれた2つの基板を持つタイプで、電源プラグは手作業によるハンダ付けで結線されています。基板は、小さなトランスやIC、コンデンサが実装されたAC部と、こちらもICやコンデンサ、そしてUSBポートが実装されたDC部の2つに分かれているのですが、これはアメリカの安全機関であるULが定める「数ミリメートルの距離をとる」という仕様に沿ったものとのこと。本来は「ADAPTER」と書かれるところが「ADAPTEP」と誤植されているのが見落とせないところ。


内部をよく調査すると、ショートの際に電流を遮断するヒューズがなかったり、2枚の基板を絶縁する「絶縁シート」が使われていなかったりと、いくつかの難点が見つかっています。また、出力する5Vの電流は、USB規格が定める「5.25V」よりやや高い「5.34V」になっており、波形を調べると5.5V時に4KHzのリンギング(共振ノイズ)が見られたとのこと。

次に開いてみたアダプターは、ひと目見るだけでもキチンと設計・製造されていることが伝わってくる中身だったとのこと。1つめと同様に2枚の基板に分離されており、さらにこちらは絶縁用のプラスチックパーツが使われているなど、安全対策が施されていることが分かります。その他にも、熱で縮む「熱収縮チューブ」でケーブルをまとめたり、不具合を起こしにくいコネクターが使われたりなどの工夫が見られており、出力は4.9Vと少し低めですが、リンギングなどのノイズはまったく見られなかったとのこと。


そして最後に見た3つめのアダプター(写真右)がくせものだった様子。写真では確認が難しいですが、ULのロゴの隣に書かれる数字が消えているほか、メーカー名が書かれていないなどの特徴が見つかったとのこと。さらに、商品には出力電圧が「4.7-5V」と書かれていたのに対し、実際の電圧は5.5Vだったそうです。


内部の基板はこんな感じ。上記の2つとは異なり、全ての部品が1枚の基板に実装されているタイプで、明らかに低コスト化を狙った設計。しかも最も危険なのが、ハンダ付けされているコンデンサーの脚が、絶縁されない裸の状態になっていること。さらに、その脚は隣にあるUSBポートの金属部分にいつ触れてもおかしくない状態となっており、ショートによる爆発、さらには炎上の危険性が十分に考えられるとのこと。


この製品は高圧側(100V)と低圧側(5V)がかなり近接する状態になっているのも安心がおけない部分とのこと。また、基板の写真からもわかるように、USBポートの固定部がきちんと基板にハンダ付けされていないため、強度に疑問が残る状態になっていたとのこと。


このように、同じように見えるアダプターでもその中身には大きな違いがあることがわかります。外観から判断することは非常に困難ではありますが、驚くほど安い価格の製品を見つけたような場合には、一度こういう裏があることに注意してみた方が良さそうです。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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