ハードウェア

本物そっくりの偽物「MacBook充電器」の危険な内部はこうなっている


見た目はそっくりでも中身はまったく別物ということは多いもので、ハードウェアを充電するACアダプターもデザイン・性能・価格は千差万別です。高価なApple純正品と見た目だけそっくりな粗悪品(偽物)がどれほど違うのか、AppleのACアダプターをはじめとしてさまざまな電子機器を分解しまくってきた分解マニアが比較検証したところ、「安全はお金で買うべき」という結論に達しています。

Counterfeit Macbook charger teardown: convincing outside but dangerous inside
http://www.righto.com/2016/03/counterfeit-macbook-charger-teardown.html

Apple純正品とそっくりな偽物のMacBook用ACアダプターを分解するのは分解マニアのケン・シリフさん。シリフさんがMacBook用の本物のACアダプターを分解したレポートは、以下の記事で確認できます。

MacBookのApple純正ACアダプターの構造はどうなっているのか分解して確認 - GIGAZINE


シリフさんがハードウェアの分解レポートを掲載するブログ「Ken Shirriff's blog」の読者から、「偽物をつかまされたかもしれない」というメールとともに送られてきたMacBook用ACアダプターが下の画像です。側面部分にはそれらしい表記があり、フォントの美しさやアイコンの精密さはApple製品と見分けが付かないほど。


エンボス加工されたAppleのリンゴマークもあり、側面の表記もなんとなく本物っぽいACアダプターですが、持ってみると疑わしいほどに軽いとのこと。また、金属パーツ横のシリアルナンバーが書かれたシールが微妙に傾いている点がAppleデザインじゃないのではないか、とシリフさんの疑念を倍増させています。


そして、パーツの継ぎ目の非対称な隙間を見て「これはApple製品ではない」という疑いはますます濃厚に。さらに、コンセントをつないでMagsafeコネクターの電力を測定しようとした際にわずかに火花が飛んだことをシリフさんは見逃しませんでした。本物のApple純正品は3Vから6Vの低圧から充電を開始して、対応デバイスであることを確認してから電圧値を上げるそうで、いきなり14.75Vの高電圧で充電を開始するこのACアダプターは偽物だとシリフさんは確信しています。


偽物だと確信したので遠慮なく分解。片側のケースを取り外すとこんな感じ。


「偽物の中身は単純なフライバックスイッチング電源だ」とシリフさん。


回路もフライバック電源のものとしては標準的。メガネケーブルから入力された電流は、フューズの横のブリッジ整流器で直流に変換され、フィルターコンデンサで平滑化されます。なお、画像右下の金属パーツ(グラウンドピン)は、ただの飾りであることも判明しています。


基板の制御ICには「63G01 415」の文字があり「OB2263」というチップと判明。


左が偽物の基板で右がApple純正品の基板。回路の細かさやチップやコンデンサーの集積密度などの違いは一目瞭然。


偽物のACアダプターはお金のかかっていない簡素な作りですが、安全性に大きな問題があるとシリフさんは指摘しています。画像の下の部分が1次の高電圧側、上の部分が2次の低圧側ですが、左部分の回路があまりに接近しているため、はんだが落ちたり水分がついたりすることで結線されればたちまちショートして火が出る危険があるそうです。シリフさんは、「スペースにゆとりがないわけでもないのに、なぜこんなに複雑な回路形状にしてわざわざ危険性を高めているのか理解できない」と述べています。


オシロスコープで電力を測定すると、スイッチングトランジスタのON/OFFで大きなスパイクが発生しており、予想通り劣悪な充電品質であることも確認されたそうです。


一見、Apple純正品に見える偽物のACアダプターは充電品質が悪い以前に使用時に火災が発生する危険性があることが確認されました。純正品に比べてはるかに安い粗悪品ですがACアダプターとしての質の違いは明らかだとシリフさんは述べています。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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