日本でありながら異国情緒にあふれる「沖縄ならでは」を集めてみた
ポーク玉子、ランチョンミート、ゴーヤーチャンプルーと何かと目につく豚フード。日本でありながら異国を感じられる場所が沖縄でした。沖縄の文化は、琉球、日本、中国、アメリカといった国々の影響が混ざり合っています。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。年末年始にかけて滞在したのは、2002年に日本一周して以来の沖縄でした。その時も思ったのですが、沖縄は面白すぎます。スーパーに立ち寄るだけで、いろんな発見がありました。
◆沖縄の食文化
ランチョンミートの缶詰:戦後の食糧難から米軍経由で広がって、沖縄の一般家庭にまで浸透したのがランチョンミートの缶詰です。写真のデンマーク産の「チューリップ(TULIP)」やアメリカ産の「スパム(SPAM)」と缶詰がスーパーに並んでいます。沖縄の人はゴーヤーチャンプルーや味噌汁の具にも使ったりするそうです。
ランチョンミートのスライス:ランチョンミートの缶詰を開けるときには、鍵のような金具を使って、缶に入った切れ目を巻き取る必要があって、結構な手間です。だからこそ、お手軽なパックタイプのものがあります。既にスライスされているのも便利です。
コーンビーフハッシュ:牛肉とポテトが入ったコンビーフハッシュも「沖縄ならでは」と興奮してしまう食品の1つ。食パンの上に載せて食べていました。オムレツの具にしたりするのも良さそうです。
キャンベルのスープ:アメリカのスープブランドだとは知っていたのですが、手を付けたことありませんでした。これもスーパーの棚に並んでいます。開けた缶詰をひっくり返すと、汁の状態を予想していたのに、プリンのような塊が飛び出してきました。適量の水を加えて熱すると完成。味にむらのない、なめらかなスープでした。
ジーマーミ豆腐:ジーマーミ豆腐は、大豆の代わりにピーナッツを使用して作られています。こちらも、スーパーにありました。モチモチとした粘り気がある不思議な物体。ごま豆腐のような食感に、うっすらとしたピーナッツの風味が混ざっていました。
スッパイマン:2002年の沖縄訪問時にかなりの衝撃を受けたのがスッパイマンでした。梅の味ではなく、梅がそのそまま加工されたお菓子です。酸っぱいけれど甘い、絶妙な塩梅がやみつきになります。
サーターアンダーギー:サーターは「砂糖」、アンダは「油」、アギーは「揚げる」で、砂糖を使用した沖縄の揚げ菓子です。アフリカで口にしたものと形が似ていて、どこか懐かしくなりました。ただし、中身については雲泥の差。クッキーのように表面はサクサク、ドーナツのように中身はしっとりとお菓子として完成されています。バナナ味もあったのですが、生地に練り込んでいるのか、ほんのりとバナナ風味が伝わってきました。
◆沖縄の飲料
さんぴん茶:さんぴん茶は、春を感じるような爽やかな味わいのお茶です。沖縄にある異文化と興奮したのですが、よく調べるとジャスミン茶のことなんですね。缶にも書いてありました。ただ、ジャスミン茶が身近にあるのも沖縄ならではでしょう。あのコカ・コーラも沖縄限定のさんぴん茶を販売しています。
充実野菜のゴーヤミックス:伊藤園が手がける充実野菜シリーズの沖縄限定版にはゴーヤーが使用されていました。主役に躍るゴーヤーのイラストが何とも言えません。
A&Wのルートビア:ルートビアは炭酸飲料の一種。A&Wはアメリカのファストフードチェーンで、かつて本土にも進出していたようですが、現在は沖縄にしか店舗がありません。そのA&Wが手がけて大ヒットした商品が、このルートビアでした。海外でも見かけた気がするのですが「美味しくなさそう」という先入観から手を付けませんでした。それにも関わらず、沖縄にあったのので興味本位から挑戦。私は間違っていません。病院の味でした。飲み切るのも辛いほど。この何とも形容しがたい独特の味は、どこかで失敗した記憶があったのですが、北欧のフィンランドで定番だったサルミアッキという黒いお菓子でした。よくよく調べると、どちらも原料はリコリスという甘草。私は好き嫌いはほとんどないのですが、この味だけはどうも受け付けません。
バヤリース坊や:サントリーなら「なっちゃん」、キリンなら「きりり」と会社ごとにオレンジ味の独自の飲料があります。アサヒなら「バヤリース」です。バヤリースと聞くとオレンジに描かれた顔「バヤリース坊や」が思い浮かびませんか?このバヤリース坊や、本土の商品はパッケージが変わっていてその姿を確認できませんが、沖縄で昔と変わらぬ顔と出会って、懐かしい気持ちになりました。
オリオンビール:アサヒ、キリン、サッポロ、サントリーに次ぐ日本第5位のビールメーカーがオリオンです。本土では珍しいのですが、沖縄では大きなシェアを握るビールメーカーとなっています。「沖縄ならでは」を感じる、代表格の品です。
シークヮーサーのファンタ:ファンタはコカ・コーラが手掛ける炭酸飲料シリーズで、オレンジやグレープが定番です。それ以外にもいろいろなフレーバーを販売しているのですが、沖縄にはシークヮーサーのファンタが置いてありました。本土では期間限定、沖縄だと通年の販売になるようです。レモンやシトラスにも似た酸味の効いたファンタでした。
自販機の増量缶:12月といえど暖かな陽気に包まれた日もあった沖縄。本土では夏の風物詩ともいえる自販機の増量缶ですが、沖縄の自販機では通年で購入できるようでした。スーパーにも普通に置いてあります。
ハブアタック:ともかく強そうなものを名前に付けるという法則が、世界のエナジードリンクにあります。沖縄だと、毒を持つ蛇のハブでした。確かに強い。ただ、こちらはスーパーにはなくお土産物屋さんにしか置いていなかったので、観光客向けの商品だと思います。原材料には、ケイヒ、リュウガン、クコシ、ダイダイエキス、コリアンダー、ハイビスカス、カンゾウ、高麗人参、ドクダミ、シソ、蜜柑の皮、ナツメ、サンシュユ、ウイキョウ、ハブエキス、マムシエキスといったものが書かれていました。
◆沖縄料理
ポーク玉子おにぎり:「おにぎりの具」がポーク玉子ということではなく「ポーク玉子おにぎり」という品で、具はツナでした。他にも具の種類があります。ポークはランチョンミート、玉子は玉子焼きで、具にマヨネーズで和えたツナという組み合わせ。これ1つで410kcalと高カロリー。ボリュームのある携帯食でした。
吉野家のタコライス:GIGAZINEで2013年8月に訪問・試食レポートが掲載されているように、沖縄の吉野屋ではメニューにタコライスが載っています。店舗を訪れると、お茶でなく水が出てきたのに、まずびっくり。トマトのサルサソース、そぼろ状の肉、シャキシャキのレタス、コクのあるチーズがご飯に乗ったタコライス。この組み合わせから、ご飯を引いてトルティーヤを足したらメキシコにありそうな料理です。吉野家で食べる洋食に違和感を感じながらも、タコライス自体はあっさりとしていました。これもありと頷ける一品です。
ロコモコ丼:ハンバーグ、目玉焼き、キャベツが乗ったどんぶりがロコモコ丼です。本来はハワイで人気の郷土料理ですが、沖縄にもありました。洋食の組み合わせなのに、丼というのは奇妙でしたが、ガツガツと箸が進みました。ファストフード店がメニューに加えても面白そうなお手軽料理です。スープも付いて、ワンコインの500円というお値段でした。
ゴーヤーチャンプルー:ゴーヤーはキュウリを一回り大きくして、イボイボをつけたような野菜。沖縄では一般的な食材で、スーパーにも並んでいます。そんなゴーヤーを使ったゴーヤーチャンプルーを食堂で頂きました。かつて自分で作ったゴーヤーチャンプルーは、顔をしかめるほどに苦々しいものでした。だからこそ構えていたのですが、食堂で出された料理は不思議なほどに苦くなく、ほんのちょっとのアクセント程度でした。シャキシャキとしたゴーヤーと、フワフワとしたと豆腐の食感。全般的に薄味でしたが、スライスのランチョンミートがしっかりとした味なので丁度いい感じになっています。1回だけご飯をお代わりができて650円というお値段でした。
牧志公設市場:那覇市民の台所としても、沖縄の食材が集まる観光スポットとしても、牧志公設市場は多くの人たちで賑わっていました。散歩がてら、何度か足を運びます。
鮮魚売り場には、セミのように体を小さくしたようなセミエビ、サッカーボールの大きさほどの夜光貝など、見たこともない魚介類が並んでいるので見ていて飽きません。
太平洋に浮かぶフィジーという島国を訪れたときに、怪物のように巨大な伊勢エビを見つけました。「世界中周ってきたけど、こんな大きなエビ見たことないよ」と魚屋の主人に話したことがありますが……日本にありました。公設市場の水槽で泳いでいるじゃありませんか。お店のおばちゃんに聞いてみると1匹2~3万円はするという話。「最近は、中国から旅行者さんがよく食べていきますよ」と、ここにも爆買いの余波が及んでいました。
公設市場で販売されている魚貝類は、幾らかの調理量を払うと、階段を上った2階の食堂で食べる事ができます。
「ロブスターじゃなくて今度こそ伊勢エビを食べる」と、意気揚々と市場に乗り込んだのですが「一人だと盛り上がらない」という寂しさに負けて撤退。その代わりと言っては何ですが、市場で刺身の盛り合わせを食べました。こちらは階段を上ることなく、市場の隅に食事スペースがあります。写真の盛り合わせで550円。中身はマグロにサーモンにイカにタコ。皮が付いた白身魚はプリプリとした食感。青い体色から市場でも目立っていた「イラブチャー(アオブダイ)」という魚でした。2匹の甘エビは口にしたらほんのりとした甘さでいっぱいに。
沖縄のスーパーは刺身も普通に安かったです。約1年ぶりの日本でしたので、ここぞとばかりに食べていました。同じタンパク質にしてもお肉だと堪えることもある30代ですが、お魚は胃にも優しいので助かります。
キロ弁:
先日記事で書いた波布食堂にあるてんこ盛りの肉そばも凄まじかったのですが、沖縄にはキロ弁という巨大弁当も販売されていました。那覇市街を貫く国道58号線から崇元寺通りに入ってすぐ。「1kg」「メガ盛」といった文字が目を惹く建物です。
「ネギ塩チキン」のキロ弁を購入。店名の由来ともなっているご飯とおかずで1kgを越えるお弁当です。お弁当の入ったビニール袋を受け取ったら、手首の位置が下がるほどにずっしりとくる重さ。メインは鶏の唐揚げ、おまけにウインナーとコロッケが入ってます。唐揚げの下には大量のスパゲッティ。副菜が切り干し大根、野菜炒め、ポテトサラダとなっていました。
鶏の唐揚げと塩が効いたソースの相性は抜群。ただのフライドチキンに終わらせない日本人の食へのこだわり。
おかずとは別に、こちらのご飯も付いてきます。お腹を空かせて挑んだのですが、おかずは食べきったものの、ご飯は無理でした。これだけの量ながら、500円とお財布にも優しいお値段。キロ弁には重量を控えた300円、400円のお弁当も販売されています。
約1年ぶりにの日本帰国で、最初に口にしたのが「ほっともっと」のノリ弁でした。那覇はやけにほっともっとの店舗が多い気がしました。泊まっていた宿の隣にも弁当屋さん。そして、このキロ弁。こうした事情にも理由があって、沖縄県は一人あたりの弁当支出額が全国二位というデータもまとめられています。
◆建物、風習
シーサー:沖縄きっての人気キャラクターが>シーサーです。モチーフはライオン。民家の屋根や建物の入口にさりげなく置いてあります。2体で1対の場合は、それぞれ口が開いた「阿形(あぎょう)」、口の閉じている「吽形(うんぎょう)」と阿吽の呼吸をしているので注目して下さい。マスコットキャラクターとしても重宝されていました。笑えるほどに、沖縄はシーサーでいっぱいです。
シーサーについては「沖縄にはシーサーが笑えるほどいっぱい、その姿や表情は千差万別」という記事でもまとめています。
石敢當:本土のビルにある定礎のプレートのように、沖縄の建物は石敢當という魔除けの石碑が付いています。シーサーと同様に、沖縄ならではの風習でした。
龍柱:シーサーや石敢當ほどメジャーじゃありませんが、龍柱も沖縄ならではの縁起物です。しかし、かなりのレアキャラ。こちらも2体1対で阿吽の呼吸をしています。つい最近ですが、大型クルーズ船が立ち寄るターミナル港の近くに、高さ約15mの巨大な龍柱が完成して、ニュースにもなっていました。
首里城:那覇市街を見渡せる丘の上に建設された琉球王国の王宮が首里城です。かの大戦で消失したので、現在の建物は再建されたもの。鮮やかな朱で塗られた建築物は、日本の城とは一線を画していました。中国の影響が、どことなしか竜宮城のイメージと重なります。
城壁:首里城もそうですし、かつて訪れた今帰仁城や座喜味城そうでした。沖縄の城壁は曲線を描いています。こうした形となった理由は、敵が攻めてきた際に、直線より曲線の方が広い視界を確保できて、優位に立てるからとのこと。
こうして振り返ると、何かと高カロリーな沖縄の食環境。
2002年は鹿児島から船に揺られて沖縄を目指しました。時間もお金もかかった苦労は遠い過去。今はLCCも飛んでいるので、東京(成田)からでも1万円を切って沖縄に行けます。今回紹介させていただいたように、沖縄には旅心をくすぐられる物で一杯ですから、これからも遊びに行けたらと夢見てなりません。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)
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