ウミヘビを使った沖縄の「イラブー汁」を食べに行ってみました
イラブーとは「エラブウミヘビ」のことで、このウミヘビを使用した沖縄の郷土料理が「イラブー汁」。滋養強壮の効用があるとされ、かつては高級な宮廷料理であったため、なかなか口にできるものでは無かったのですが、現在ではこの料理を提供しているお店もあり、一般人でも食べられるようになっています。そのお店の一つが「カナ」。本格的なイラブー汁は料亭で提供されるのがほとんどだそうですが、こちらは本格的なイラブー汁が家庭的な雰囲気の中で食べられるということで、食べたことのないイラブーにちょっと不安を感じながらも、実際に食べに行ってみることにしました。
場所は「沖縄県中頭郡北中城村字屋宜原515-5」です。
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民家がポツポツとあるぐらいで「こんなところに本当にお店があるの?」となるほど。細道を抜けた奥まった場所にお店はあるようで、地図を見てもよくわからず、お店の方に電話して案内してもらいやっと場所を特定することができました。
「琉球料理・イラブー料理カナ」という看板が見えれば、あとは直進すればOK。
こちらがそのお店です。普通の民家のような、というか民家をそのままお店として利用している感じ。
お店の看板もあり、こちらで間違いないようです。
店内の様子はこんな感じ。
知り合いの家にお呼ばれして来たような感覚になります。
そんなこんなで、登場したこちらがイラブー汁(税込3500円、要予約)。テビチ(豚足)、昆布、そして他とは明らかに違う独特の存在感を出している黒い物体がブツ切りにされたイラブー。
ウロコがはっきりとわかり、なんとなく料理になる前のイラブーが連想されます。
普段食べ慣れていないものであり、そのうえ「ウミヘビ」となるとやはり少しちゅうちょします……。
身がつまっており、はしで持つとズッシリとした手応え。
皮ははしで触るとツルリと取れ、こんな感じ。
では、意を決していただきます。食感はよく煮込まれたブリの煮付けのような感触で、かみ応えがありつつも柔らか。味は見た目に反して意外にも淡泊でほとんど味のようなものは感じられず、むしろスープに使われているカツオのダシがよく染みており、カツオの身を食べているようです。
店員の方によると、イラブーはそのままでは臭みが強いため、4~6時間ほど柔らかくなるまで水炊きした後に骨抜きをして再度水を替えて煮込んでおり、季節にもよりますが1日~2日がかりの作業となるため、かなり手間暇がかかるようです。「下準備をしっかりしていないと臭みがあって、とても食べられないよ」と店員の方。つまり、この食べられるほどのクセの無い味を出すためには、並々ならぬ手間と時間がかかっているわけです。
スープにはカツオの風味がよく溶け出した豊かな味わい。インパクトのある身に注目しがちですが、実は身よりもイラブーの成分がたっぷりと溶け出しているこのスープの方が大事だとのこと。下準備がしっかりとされているためか、臭みなどは全く感じられません。
食べたことの無い料理となると不安が生じて味もイマイチ感じられないなんてことがありますが、店員の方が丁寧に料理の説明をしてくれたので、納得しながらじっくりと味わうことができました。また、このイラブー汁は定食となっていて、フーチバージューシー(よもぎの炊き込みご飯)、ウカライリチー(おからの炒め煮)、ジーマーミ豆腐(ピーナッツを使った豆腐)、モズクもついてきて、さまざまな沖縄の郷土料理が味わえるようになっています。
なお、料理にはくん製にした「エラブウミヘビ」を使用するのですが、くん製の具合によって味も変わるので素材にもこだわっているとのこと。「カナ」では窯でじっくりと時間をかけてくん製を行っている石垣島の金城さんのものを使用しているそうです。
金城さんが行うイラブーのくん製の工程は、以下のムービーが作業風景などもあり、わかりやすいです。
石垣島のイラブー(ウミヘビ)漁と燻製作業 - YouTube
そして、レジ横では置物きのようなイラブーを見ることができますが、実はこれがくん製にされた本物のイラブー。触り心地はカチカチでした。
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