マルウェア入り広告を公開前に99%以上ブロックなど、Googleと「悪質広告」の戦い
インターネット広告事業でGoogleが長らくトップの座を保っていますが、「Google Ads」の広告はユーザーに損害や不快感を与える「悪い広告」を排除するべく、厳しいポリシーの順守や、悪質な広告配信の停止などに努めていることがGoogle公式ブログで明らかになっており、2015年に行われた悪質な広告の対応について報告されています。
Official Google Blog: How we fought bad ads in 2015
https://googleblog.blogspot.jp/2016/01/better-ads-report.html
Googleによれば、「『いい広告』とは、閲覧したユーザーが興味を持ちそうな製品やサービスを無料で紹介し、広告をクリックすれば簡単に情報が手に入るもの」とのこと。しかし、ネット上にあふれている広告の中には、クリックするとマルウェアに感染したり、不正にPCやスマートフォンのデータにアクセスしたり、偽造品の購入をすすめるといった「悪い広告」も存在します。
Googleはこのような広告を非常に重大な問題だと考えていて、Googleの広告サービスでは厳しい広告掲載のポリシーを定めています。また、世界中の1000人以上のGoogleスタッフが日々悪い広告と戦う技術を開発しているとのこと。ポリシー違反の悪い広告は毎年のように数が増えており、2015年の1年間でGoogleはポリシーに違反していた広告を7億8000万回以上も無効化したそうです。
Googleでは広告用アルゴリズムとGoogleスタッフの人力でのチェックを組み合わせることで、悪い広告の大半をインターネット上で公開する前段階でブロックしています。2015年にGoogleが取り下げた悪い広告の一例は以下の通り。
・偽造品
「偽ブランド品の時計を販売する」といった偽造品の広告に関して、Googleは2015年に1万件以上のサイトと1万8000件以上のアカウントを停止。
・ヘルスケア・医薬品
非認可の医薬品の広告や、「処方薬と同じくらい効果がある」と銘打った広告など、ヘルスケア、医薬品に関する広告掲載のポリシーに違反するものは、2015年内に1250万個以上もあったとのこと。
・ダイエット用サプリメント
「食事の改善や運動をせずに減量できる」といったサプリメント類の広告はユーザーからの苦情が最も多く、Googleでは「自身や商品、サービスの不当表示」というポリシーを定めています。該当する広告サイトはおよそ3万件も存在するため、Googleでは一時保留の措置をとっています。
・フィッシングサイトへの誘導
広告ネットワークの不正利用にあたるため、Googleは7000件以上の広告サイトを配信停止。
・不要なソフトウェアを自動的にダウンロード
クリックすると自動的に何らかのソフトウェアをダウンロードする広告は、不正行為を可能にする商品やサービスに該当します。Googleでは新たな保護策を導入して1万個以上の広告サイトを無効化し、Google adsで配信する前に99%以上の悪意ある広告を除去しているとのこと。
・偶発的クリックの誘導
PCのシステムに偽装してユーザーのクリックを誘導するような広告は広告の配置に関するポリシーの違反行為に挙げられています。Googleでは2015年の1年間だけで偶発的クリックを誘導する広告を1700万個以上取り下げています。
以上のような不正広告の取り下げだけでなく、Googleは「ページ内の配置が不適切で閲覧を妨げるような広告」の取り下げにも力を入れているとのこと。例えば「モバイル端末で広告が偶然タップされてしまった」ことを検出し、広告サイトを開かずにそのままページを閲覧し続けることが可能な技術を開発したり、モバイルアプリで表示される広告のうち、Googleのポリシーに違反している2万5000個以上の広告を無効化したりといった取り組みを行っています。また、不正な広告を表示するアプリは2015年の1年間で140万件以上も申請されたとのこと。
さらにGoogleでは、ユーザーが見たい広告を選択できるような設定も実装しており、広告の隅の×マークをクリックすれば、その広告を非表示にできます。
Googleにログインすれば、広告表示設定を個別に変更することも可能になっています。
なお、2015年にGoogleの元に広告に関するフィードバックが40億件以上寄せられたとのことで、フィードバックに基づいて2016年も広告技術とポリシーをアップデートしていく予定とのことです。
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