ネットサービス

Googleマップを使った新広告システム「Google Here」計画が頓挫

By Vince Smith

Googleが秘密裏に開発を進めてきた新たな広告プラットフォーム「Google Here」の計画が、2015年初頭に中止されていたことがForbesの調査で明らかになりました。Google Hereは同社の人気アプリ「Googleマップ」を活用して端末に広告を表示させるというもので、BLE(省電力Bluetooth)を使った「Beacon」を組み合わせることで個別のユーザーに対して情報を発信する仕組みを備えていました。

Google Here: Google's secret plan to put ads inside Google Maps - Fortune
http://fortune.com/2015/08/31/google-here-google-maps/

ありとあらゆる広告戦略の開発を続けているGoogleですが、いまやほとんど全てのスマートフォンにインストールされていると言っても過言ではない有数の人気アプリ「Googleマップ」を使った広告戦略を立てていたことが明らかになっています。Google Hereでは、広告表示を希望する「パートナー企業」の店舗にBeaconを設置しておき、個別のユーザーの入店を判別することで効果的なタイミングで適切な内容の情報を通知するようになっていたとのこと。当初はAndroid端末を対象にサービスが開始され、追ってiOS端末が対象に加わる計画となっていたことも明らかになっています。

By Jonathan Nalder

このシステムのメリットは、Googleマップさえインストールされていれば他のアプリを必要としないところにあります。スマートフォンを持った一般ユーザーがBeaconを設置した店舗に近づき、Beaconから信号を受信すると5秒以内にGoogle Hereからの通知がスマートフォンに表示されるのですが、通知される内容は広告の他にも各種情報やサービス内容が想定されていた模様。お店の会員カードを持っているユーザーが店舗に入るとカードの画像を画面に表示してすぐ使えるようにしたり、電車の駅では次の電車の到着予想時刻をすることも可能。駐車場に車を停めた際には端末で料金の精算を行ったり、コーヒーショップに入ったタイミングで「いま当店のアプリをインストールすると、この場で割引クーポンをゲットできます!」といった告知を行うなどの機能が実現可能になっていたようです。ここには、HTML5の技術を用いた「疑似アプリ」のユーザー体験が取り入れられていたとのこと。

ユーザーの位置の把握にはBeaconとGoogleマップが使用されることになっており、広告や情報を適切なタイミングで表示するための技術が取り入れられていた様子。想定されていたターゲットユーザー数は2015年初頭の時点で3億5000万人以上とされており、極めて広いユーザー層に効果的にリーチすることが可能な仕組みになっていたとみられています。

Googleがこの計画を取りやめたことについて、事情に詳しい人物は「Google Hereの機能はユーザーに対して入り込みすぎる(侵略性が高すぎる)ことと、実際の想定ユーザーである小売店企業がこの機能を必要としているか確実ではない」という点を理由にあげています。店舗側にとっては多くの人的リソースを投入せずとも「疑似アプリ体験」をユーザーに提供できるGoogle Hereの仕組みですが、実際にこの仕組みに関心を示すパートナー企業がどの程度存在するのかは定かではなく、さらにユーザーから「迷惑だ」と反発を受ける可能性のあるアグレッシブな広告の仕組みを実際に導入することについては、障壁が低くなかったものと考えられています。

By bark

このように、Google自らが中止を決定した新広告プラットフォームのGoogle Hereですが、ユーザーの位置情報に基づく新たな広告戦略は継続して開発が進められています。Googleでは新たにBeaconを使った開発プロジェクト「Eddystone」を立ち上げており、Appleの類似技術「iBeacon」に競合する技術の開発に余念がない様子。Googleでは位置情報に基づく広告を使うことで「オンラインでの広告」と「オフラインでの買い物」を結びつける取り組みを進めているため、今後もこの分野の開発は進められることになりそうです。

この記事のタイトルとURLをコピーする

・関連記事
Googleが新たな広告戦略として実店舗への無料送迎タクシーの特許を取得 - GIGAZINE

GoogleがiOS 9の広告ブロック機能を無効にする方法を公開 - GIGAZINE

新iPhone向け次期Safariは広告ブロックで読込速度が爆速化&通信量節約 - GIGAZINE

iOS 7の隠れキラーコンテンツとなる近距離無線通信「iBeacon」とは? - GIGAZINE

iOS 7の近距離通信iBeaconを使った新しいターゲットマーケティング手法が続々と登場 - GIGAZINE

Googleマップ上でドロイドくんがAppleロゴにおしっこをかけていたことが判明 - GIGAZINE

in モバイル,   ソフトウェア,   ネットサービス, Posted by darkhorse_log

You can read the machine translated English article here.