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無料で単音聞き取りからソルフェージュまで高度な耳のトレーニングが可能なサイト「Ear Training」

By Photo Phiend

音楽を志す人にとって、音の違いを正確に聞き分けられる能力は欠かせないものです。生まれながらにして備わると言われる「絶対音感」に加えて、後天的にトレーニングで手に入れられる「相対音感」を鍛えることが大事と言われているわけですが、なかなか環境の整わない人にとっては実際にトレーニングを行うことは難しいもの。そんなトレーニングの環境を提供してくれるサイトが「Ear Training」なのですが、このサイトは基本的な音の聞きわけに始まり、コード進行の判別、そしてソルフェージュなどの高度な耳トレをスマートフォンでも行うことができるという驚きの内容を備えています。

Ear Training
http://tonedear.com/


Ear Trainingのサイトでは、「Intervals(音程)」、「Chords(和音・コード)」、「Scales(音階)」、「Chord Progressions(コード進行)」、「Perfect Pitch(絶対音感)」、「Scale Degrees(音度)、Intervals in Context(コンテキストにおける音程)」、「Melodic Dictation(メロディー書き取り)」という8種類のトレーニングを行えるようになっています。


Intervals(音程)では、再生される2つの音の距離(音程)を聞き分けるトレーニングを行います。ページを開くと、Intervals (音程)とQuestions (問題数)を設定する画面が表示されます。無限にトレーニングを行いたい場合は、Questions(繰り返し回数)を「0」に設定すればOKです。


Intervalsでは、3つのトレーニング内容を選択することができます。「Simple」を選ぶと長3度、完全5度、オクターブの3つのいずれかのみが再生されるので、慣れればすぐに百発百中が狙える難易度。Diatonic(ダイアトニック)は、シャープやフラットが付かない、いわゆる「白鍵の音」だけが出題されます。「All」を選ぶと、12音階+短9度、長9度までの14音から音を当てるという難しい内容となります。


まずは基本から、ということでIntervalsを「Simple」に設定し、Questionを「0」にして「Start Quiz」をクリック。


出題画面はこんな感じ。画面中央の「Hear First Question」をクリックすると質問がスタートします。なお、画面右には「Minor 2nd (短2度)」から「Major 9th (長9度)」までの音程が表示されており、質問で出題される音程のみが青く表示されています。この音を直接クリックして、再生する音を追加・削除することも可能です。


ということで、「Hear First Question」をクリックしてスタート。


すると、「♪~ ♪~」と2つの音が再生されました。2つめの音が、1つめの音に対して何度の音になるかを聴きわけ、下部の「Major 3rd」「Perfect 5th」「Octave」の中から選ぶわけなのですが、今回は「♪ド~ミ~」と再生されたので「Major 3rd (長3度)」をクリックしてみます。


すると、「Nice! "Major 3rd" is correct!」(いいね!「長3度」で正解!)と緑色で表示され、画面上部のスライドバーが少し長くなりました。そして画面の上にある「Hear Next」をクリックして、どんどんとトレーニングを繰り返していくというわけです。


ちなみに、間違った音を選ぶと「Nope, "Perfect 5th is not correct.」(ハズレ。「完全5度」ではありません)などと表示され、スライドバーも減ってしまいました。


こんな風にトレーニングを続け、最後に「End Quiz」をクリックすると……


今回のセッションの正答率が、音程ごとに表示されました。これを見ることで、自分がどの音程をうまく聞き分けられないのかが一目瞭然でわかるというわけです。


こんな感じで、「Ear Training」では和音や音階などの聞き取りトレーニングを行うことができます。Chord Identification(和音・コード聞き取り)では、シンプルな長和音・短和音はもちろん、オーギュメント・ディミニッシュ、Sus4、ドミナント・セブンス、メジャー・セブンスなどありとあらゆる種類の和音を聞いて和音名を当てるトレーニングが可能。さらに、和音の積み方を転回(ルート音を移動させること)なども可能なので、かなり専門的なトレーニングまでフォローできるようになっています。


Scale Identification(音階・スケール聞き取り)では、簡単な長音階(アイオニアン)や短音階(エオリアン)のほか、ハーモニック・マイナー、ドリアン、フリジアン、リディアン、ミクソリディアン、ロクリアンという主なスケールを聞いて当てることが可能。スケールの違いはもとより、再生するたびに調(キー)が変わるので、純粋な音階の違いを聞き分けるトレーニングが可能です。


Chord Progressions(コード進行)では、4つの和音(コード)が鳴らされるので、そのコード進行を選ぶというもの。「ド・ミ・ソ」の三和音(トライアド)からなる単純な「I、IV、V」のいわゆる「主要三和音(スリーコード)」からスタートし、それ以外の「ii、iii、vi、vii」のコード、そしてトライアドに7th音を足した4和音の聞き取りトレーニングを行うことができます。


Perfect Pitch(絶対音感)では、1つの音を聞いてそれがどの音程の音かを当てるトレーニング。「ド・レ・ミ」だけの初歩から、半音を含む12音階全てが登場する上級者版までを試すことが可能です。


そしてここからはいわゆる「ソルフェージュ」に通ずる耳の機能トレーニングに入ります。Scale Degree(音度)は、ある単音が特定の調(キー)の中で何個目の音に当たるかを聞き分けるテスト。最初に3つの和音が再生されるのでまず調を見極め、次に再生される単音がその調の中でどの音であるかを「ド・ディ・レ・リ・ミ・ファ・フィ・ソ・シ・ラ・リ・ティ」の階名の中から選びます。いわゆる「移動ド」で階名を言い当てるトレーニングで、慣れるまではかなり難しいので、画面右にある「Fixed Key」で調を固定してコツをつかむと理解が早まります。


Intervals in Context(コンテキストにおける音程)では、「音度」のトレーニングをさらに掘り下げます。最初に3つの和音が再生されるのは同じですが、その後には2つの単音が続きます。まず、2つの単音の階名を探し当て、さらにその2つの音の関係を短2度からオクターブの中から選ぶという、ちょっと聞いただけでは何を言っているかわからないテストとなっています。

Intervals in Contextは簡単に言えば2つの単音の音名と音程の離れ具合を言い当てるわけですが、その前提として与えられた調の中での階名を言い当てる必要があるという何段階もの解析を行うという高度なトレーニングとなっているわけです。以下の例では、1つめの音が「ミ」2つめの音がミの上の「ド」であることがわかり、さらに「ミ」を中心とした音程は「短6度(Minor 6th)」である、ということを見極めるという内容になっています。


そして最後のMelodic Dictation(メロディー書き取り)では、これまた同じく3つの和音の後に再生される4つの単音をソルフェージュで楽譜に記載するというテスト。ここまで楽々とクリアできる人は、相当な耳と音感の持ち主といえる内容となっています。


あまり慣れのない場合には難しく感じることもありそうなトレーニングも含まれていますが、サイトでは「毎日少しずつ、簡単なことからコツコツと続けること」の大切さを説いています。以下のページの説明によると、音のトレーニングを行うことで脳の中では新しい神経細胞のつながりである「シナプス」が生まれ、これが徐々に数を増やすことで音を聞き分ける脳力が高まって行きます。このシナプスは時間と共に減少するので繰り返しの反復練習が大切になってきます。そのため、「週に1度の集中トレーニングを4時間行うこと」よりも、「1日20分のトレーニングを毎日続けること」のほうがトレーニングの効果が現れるとしています。

How to practice ear training


事実、記事を作成するために全てのトレーニングを2時間程度かけてひととおり行ってみたところ、最初に比べて耳の聞き取り力が向上していることが実感できました。この手の練習を自分で行うためには楽器が必要になるなど障害となることも多かったわけですが、このサイトをブックマークしておけばスマートフォンでも手軽にトレーニングを行うことができるので、耳の力を鍛えたい人にとっては極めて役に立つサイトといえそうです。

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in ネットサービス,   アート, Posted by darkhorse_log

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