病院がApple Watchをがん患者の治療に役立てている方法とは？

Apple Watchの標準搭載アプリ「アクティビティ」と「ワークアウト」を使うと消費カロリーや心拍数を計測して日常生活の健康管理に役立てることができますが、ロンドンのキングスカレッジ病院では、がんの化学療法を行っている患者の投薬管理と服薬アドヒアランスのためにApple Watchを活用しているそうです。

Meet the cancer fighting Apple Watch app - the future of digital health is now
http://www.wareable.com/saves-the-day/cancer-fighting-apple-watch-app-medopad-future-of-digital-health-1142

Hospital Pilots Chemotherapy Apple Watch App in London
http://hitconsultant.net/2015/05/15/hospital-pilots-chemotherapy-apple-watch-app-in-london/

The Apple Watch is being used to help patients with cancer
http://www.neowin.net/news/the-apple-watch-is-being-used-to-help-patients-with-cancer

キングスカレッジ病院では、ヘルスケア関連の技術を開発しているMedopad製のApple Watchアプリをがん患者の治療に役立てています。薬を服用する時間になると患者が腕にはめたApple Watchに「どの薬を何個服用するのか」という通知が届くようになっていて、さらに患者はApple Watchを数回タップするだけで自分の体調や病気の症状、薬の服用状況や体温などの情報をリアルタイムで医師に送ることができるそうです。

病院のスタッフはApple Watchで測定した結果をiPad向けのアプリで確認して、患者の活動レベルをいつでもチェックすることができます。MedopadはiPadの発売当初からiOS向けの健康管理アプリ開発を行っていて、現在はキングスカレッジ病院で数台のApple Watchを使った試験を実施していますが、Apple Watchの供給が安定すれば100～200台のApple Watchを購入するつもりだとのこと。

MedopadのCTO(最高技術責任者)であるDan Vahdat氏は「1人の患者の治療が終われば、次の患者にApple Watchを貸し出すことができるので、Apple Watchの導入コストは1人あたり50ポンド(約9500円)程度に抑えられます。がんの化学療法を受けている患者の薬代が1日あたり1000ポンド(約19万円)であることに比べれば、Apple Watchはコスト面でも医療現場に導入する価値が十分あります」とApple Watchを使うメリットを語っています。

イギリスの国民保健サービス (National Health Service、NHS)は予算の約10％をがん治療のために投じていますが、Apple Watchを医療現場に投入すれば投薬管理の質が上がることで病院の救急科の利用などが減り、予算を抑えられる可能性があります。

Medopadは今後、ロンドン市内の他の病院や、中国などイギリス国外の私立病院でもApple Watchを試験的に導入していく考えで、がん以外の病気に対する治療や高齢者の健康管理デバイスとしてもApple Watchのセンサーが役立つだろう、としています。