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評価額1兆円を超えるスタートアップ企業にハードウェア関連が増加している理由とは?

By Intel Free Press

「スタートアップ企業」という言葉を聞くと、ウェブの力を活用して新しいサービスを提供する企業というソフトウェア型の企業を思い浮かべる人も多いと思いますが、近年の傾向では現物の製品を製造して販売するハードウェア型の企業が目立つようになってきました。中国で爆発的な成長を見せているXiaomi(小米科技、シャオミ)のように、急成長を遂げて企業としての評価額が「100億ドル(約1兆2000億円)」を超えた企業の多くはハードウェアを商材にする企業が多くなっているのですが、なぜこのような傾向がおこっているのか、著名ベンチャーキャピタルを率いる人物が語っています。

Sam Altman: Why Hardware Could Yield the Next $10 Billion Startups - Digits - WSJ
http://blogs.wsj.com/digits/2015/03/25/sam-altman-why-hardware-could-yield-the-next-10-billion-startups/

新たに事業を立ち上げようとする企業にとって、多額の初期投資が必要なハードウェアを扱うことはハードルが高いものです。そのため、コンピューターと人材さえあればサービスを開始できるソフトウェアをビジネスに選ぶのは自然の選択と言えます。しかし、さまざまな状況が変化した現在では、スタートアップ企業の中にも最初からハードウェアを取扱い、従来では考えられなかった少ない資本と人材規模で事業を成功させるケースが見られるようになりました。

By Philippe Lewicki

しかしその立ち上げ段階において、スタートアップ企業の多くは必要な資金に恵まれているとは言えず、何らかの形で資金調達を行う必要に迫られるのが普通です。そんなスタートアップ企業に対し、その先見性や成長性の高さをもとに投資を行うのが「ベンチャーキャピタル(VC)」と呼ばれる投資企業ですが、VCの投資先にも変化が見られるようになっています。

以下のグラフは、過去4年以内に1社以上のVCから資金を得たスタートアップのうち、評価額が10億ドル(約1200億円)を超えた企業を並べたもの。1位のXiaomiは460億ドル(約5兆円)という評価を持つ企業ですが、これはもちろん特に中国で高い人気を誇るスマートフォンの売上によるもの。2位タクシー・ハイヤー配車サービスのUber、3位のビッグデータ解析企業のPalantirなどに続き、5位には民間ロケット開発企業のSpaceXがランクインしていることからも、上位にハードウェア関連企業が含まれていることがわかります。


なお、上記のグラフのうちオレンジで示されているのがアジアを拠点とする企業ですが、その多くは中国や韓国、やシンガポールといった国々の企業で、日本の名前が出てこないのは気になる事実です。

この状況について、VCの代表格の1つであるYコンビネータの代表を務めるサム・アルトマン氏は、成長著しい企業を見つけ出す秘訣を「ベスト・バイのような一般的な店で手に入るようなものを作る会社を探す」ようなものだと語ります。


さらにアルトマン氏は「われわれが挑戦しようとしているのは、枠にはまらない『ハードウェア』の定義を持つということです」とも語ります。これは、同社の直近の投資先がロケット開発企業であったり、原子力発電所関連の企業であることからも明確であり、「『ハードウェアとは何か』ということについて、非常に幅広い理解を必要とします」と語り、従来とは異なる概念を持つ重要さを示します。

アルトマン氏はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューの中で、Yコンビネータのハードウェア企業に対する考え方を以下のように説明しています。

WSJ:
Yコンビネータが行っているハードウェア企業への投資と、他のVCによるハードウェア企業への投資は何が異なるのでしょう?

アルトマン:
われわれは、スタートアップ企業と、彼らが必要とする専門家とのマッチングを手助けしています。Yコンビネータのようなアクセラレータ(Accelerator)が例えば、ソフトウェア系のスタートアップ企業にプログラムの書き方を教えているようであれば、それは問題の始まりだし、実際にそのようなことが行われています。アクセラレータにとって大事なことは企業とビジネスについて知識を与えることであって、技術を教え込むことではありません。

WSJ:
Yコンビネータではどのような変化が起こっているのでしょうか?新しくハードウェア分野について強化するような動きはあるのでしょうか?

アルトマン:
Yコンビネータでは、あらかじめ特定の分野に投資を保証するようなことは行いません。単純に、ベストな企業を探し出すだけです。私はいつもパートナーに「われわれの仕事は、将来100億ドル(約1兆2000億円)以上に成長する企業全てに投資すること」というルールを伝えています。逆に言えば、これほど厳しいルールはありません。

われわれは、世界に目を向けて本当に価値のある企業がどこから現れようとしているかと推察する必要があります。もし何か変化がおこっているとすれば、それは世界が非常に価値のあるハードウェア企業を受け入れる準備ができてきたと言うことでしょう。だから私たちはロケットや原子力発電、そしてハードウェア指向なバイオ関連企業に投資しているのです。

By SpaceX Photos

WSJ:
Yコンビネータの投資戦略が変化していないのはわかりました。しかし、世界ではハードウェアへの投資が多くなってきています。実際のところ何が起こっているのでしょう?

アルトマン:
それは「ハードウェアがソフトウェア的になってきている」と言うことでしょう。ソフトウェアを成功させてきた全ての理由が、ハードウェアの分野にもおころうとしているのです。試作品の製作など、全てのスピードが速く進むようになり、コストも低くなりました。

私がスタートアップ企業に対して見ているのは、プロトタイプを作る「サイクルタイム」の短さとそのコストです。その2つが満たされた時には機が熟した状態となり、大きな変化が起こります。これがまさに、ハードウェアの分野でおこっていることです。

By Creative Tools

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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