「スタートアップの始め方」をベンチャーキャピタル代表に28歳で就任した男が語る

By TechCrunch
ベンチャー企業がビジネスをさらに拡大させるために大手ベンチャーキャピタルや有力なエンジェル投資家から資金を得られるようコンサルタントするという異色の投資スタイルを持ちDropboxやRedditを育て上げたことで知られる「Yコンビネータ」を、創業者のポール・グレアム氏から28歳という若さで引き継いだサム・アルトマン氏が、母校のスタンフォード大学で「スタートアップの始め方」というテーマで講演を行いました。
大きく4つのテーマで話された講演の中からスタートアップを始めるのに何はともあれ不可欠な「アイデア」について、自身もYコンビネータに見いだされた起業家の先輩でもあるアルトマン氏が、次世代の起業家たちに語った内容はこんな感じです。
Sam Altman – Lecture 1: How to Start a Startup | Genius
http://tech.genius.com/Sam-altman-lecture-1-how-to-start-a-startup-annotated
Yコンビネータに加わってから9年間、アルトマン氏は「スタートアップをいかにしてスタートさせるべきか?」というテーマを教え続けてきました。今回、スタンフォード大学の起業に興味がある学生に向けてYコンビネータで実際にしているアドバイスを再現したとのこと。
なお、アルトマン氏の講演内容は実際の経験に基づくものでスタートアップを起こす野心のある起業家(の卵)には有意義であるものの、大企業などスタートアップではない企業内ではうまくいかないケースもあるので注意して欲しいという但し書きが付けられています。
アルトマン氏の講演は以下のムービーで確認できます。
Lecture 1 - How to Start a Startup - YouTube
◆1:『良い』アイデア

By Sean MacEntee
スタートアップを始めるのにとにもかくにも大切なのは「アイデア」です。最近では「アイデアはそれほど重要ではない」「ダメなアイデアをすぐに修正していく『ピボット』こそが大切」と言われることがあり、より多くピボットすることが良い事のように捉えられる風潮がありますが、ダメなアイデアはどこまでいってもダメ。ピボット信仰に囚われると「失敗」を大量生産するはめになるとのこと。
アルトマン氏は「ピボットで成功した企業の例を注意深く見ると、核となるアイデアは創業者自身が本当に欲しがっていたものであり、決してその場で決めたものではないことが分かる」と述べています。
◆2:考え抜くこと

By Bart
アイデアの善し悪しを判断するには商品だけでなくあらゆることを考慮する必要があります。うまくいくという目処が立つならば、たとえ10年間という長時間をつぎ込んででもそれに賭けるべき時があるかもしれませんが、それには「考え抜くこと」が大切です。
考え抜いて生み出した商品が成功しなかったとしても、考え抜くこと自体に価値があり、スタートアップでは長期間に渡って考え抜くことで蓄えられた力が後々になって大いに役立つことがあるとのこと。
◆3:壮大な使命

By kate m
アイデアは誰でも思いつきそうなありふれていて簡単に実現しやすそうなものよりも、とても実現できそうにないくらい壮大で重要な使命を持つものの方が良いとのこと。逆説的ですが、困難で壮大なアイデアほど共感してくれる人を惹きつけられ多くの協力を得られるために、かえって成功するのが容易なことが多いとアルトマン氏は語っています。
また、新しいところがなくありふれたアイデアをただ真似るだけの企業は、社外の人を感動させられないのはもちろん、社員に「会社が成功するまで頑張ろう」という求心力を植え付けられないとのこと。
◆4:本当に優秀なアイデアを見抜くこと

By shoobydooby
アルトマン氏は起業すべき「アイデア」を生む中で最も難しいことは「一見、くだらないアイデアと思えるが実は素晴らしいアイデアであるのを見抜くこと」だと考えています。
例えば、ポータルサイトが掲載する情報量を競っていた時代に、「検索エンジンだけのサービス」が登場しても誰も見向きもしませんでした(これはGoogleの例)。また、広告業にとって魅力の乏しい「貧乏な大学生」に限定したSNSは最初はとても批判されました(これはFacebookの例)。一見良いと思えるサービスはすでに多くのライバルが始めており、優秀なアイデアとは言えないとのこと。
本当に良いアイデアは他人になかなか賛成してもらえないもので、むしろそのことを誇りに思うべき。なお、「スタートアップのアイデアを他人に話すべきでない」という考えは間違いだとのこと。なぜなら、本当に良いアイデアというものはすぐに良いと思ってもらえないものなので「盗もう」と思われることはないからです。
◆5:伸びていく市場を狙うこと

By Marines
アルトマン氏はたとえ小さな市場でも良いから誰も取り組んでいないアイデアを試すべきであると考えています。起業家の卵がよくする間違いは「最初の商品は見栄えの良いサービスであるべき」というもの。しかし、アルトマン氏は、最初は対象ユーザーの限られた小さな市場を攻めるべきで、そこから徐々に市場を広げるのが良いと述べています。
着目すべきは「その市場が今後どれだけ成長するか」で、10年以内に巨大な市場になる可能性のある市場を目指すべきのとこと。なお、アルトマン氏はスタートアップに投資するかどうかを決定するときには、その企業が挑む市場の「成長率」を重視しており、現在の市場規模は関係ないと語っています。
◆6:「待つ」勇気

By David Ohmer
アイデアは目標に向かううちに広がっていくものですが、核となるアイデアをスタートアップを始めるときには見つけておくべきで、本当に好きなものが見つかるまで待つ勇気も必要とのこと。
◆0:大前提
「スタートアップの始め方」についてレクチャーしたアルトマン氏は、「アイデア」の他にも「Product(商品)」「Team(チーム)」「Execution(実行)」について語っています。しかし、これらの4つの大切なことを心にとどめる大前提として「スタートアップを始める理由」が必要であると述べています。
アルトマン氏は、お金を稼ぎたいという動機であればスタートアップよりももっと簡単な方法があるはずでそちらを選ぶべきと語っています。スタートアップを始めるには「自分しかその問題を解決する能力がある人がいないから」と「スタートアップこそがその問題を解決する方法であるから」という2つの理由が必要とのこと。スタートアップを始めたいならば、待ち受ける厳しい出来事に立ち向かえるだけの「情熱」が必要だとのことです。
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in メモ, Posted by darkhorse_log
You can read the machine translated English article A man who took office as venture capital….