タイ伝統の味を守るロボットテスター「e-Delicious」
日本人にとってはナナメ上の発想だった「カリフォルニアロール」のように、ある国の料理が世界に広がると思いもよらぬ発展を遂げて行くこともよくある話。今や世界で広く楽しまれているタイ料理でも状況は同じようで、世界各地でアレンジされてしまったタイ料理の現状に憂慮する人が存在しているようです。そんなタイ料理の「正統な味」を守るために開発されたテイスターマシンが「e-Delicious」です。
You Call This Thai Food? The Robotic Taster Will Be the Judge - NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2014/09/29/world/asia/bad-thai-food-enter-a-robot-taster.html
テーブルにおかれた1台の機械。これが、タイ政府による援助を受けて開発されたロボットテスターの「e-Delicious」です。
味を計測する手順は、まず普通どおりに調理された料理からサンプルを採取。
ガラス製の容器に投入します。
そして、容器台ごとe-Deliciousにスロットイン。
タッチ画面をポチポチと操作すると計測が開始され……
内蔵されたセンサーが、サンプルに含まれる味の成分を分析。主に導電性の違いを計測しているようです。
計測が終了するとスコアが表示されます。今回のサンプルとして使用したタイカレーは、近くのタイ料理店から取り寄せたものでしたが、そのスコアは78点。正統な「タイ料理」として認められる点数は80点なので、このタイカレーは不合格ということになりました……
この装置を開発したのは、政府の援助を受けて活動するThai Delicious Committee(タイ・デリシャス委員会)という組織です。代表的なエスニックフードとして人気のあるタイ料理は世界中で人々に愛されていますが、現地化が進んでしまってもとのタイ料理からは別物になってしまったものや、現地に住むベトナム人などの移民がタイ料理を名乗って提供しているものも多いとのこと。
そんなタイ料理の変化に心を痛めたメンバーが"正統タイ料理"を守ることを目的にデリシャス委員会を組織し、開発したのがこのe-Deliciousというわけです。
装置には10個のセンサーが搭載され、さまざまな電圧をかけた際の電気伝導率を測定。それによって計測された結果と、委員会が認定する「正統なタイ料理」で得られたデータを照合することで、正しいタイ料理の味にどれだけ近いかが判定されるようになっています。なお、正統なタイ料理のデータは、100人以上のメンバーの評価をもとに作成されているとのこと。
このマシンを目にした人の中には「これを1台1万8000ドル(約200万円)で世界中のタイ大使館に売って行きたい」と語るビジネスマンなども現れたとのことで、一定の注目を集めているようです。委員会ではさらに、iPad向けにアプリを開発して、正統なタイ料理の味を守ろうとしているようです。アプリではトムヤムクンやマッサマンカレーなどのレシピも掲載されているので、料理に興味がある人には参考になるかも。
Thai Delicious on the App Store on iTunes
一方で、この機械を見た料理人の中には「機械の測定よりも、自分たちの舌を信用するね」と語る人もいたとのこと。自分の料理に誇りを持つ料理人にとっては当然の反応といえるわけですが、はたしてこのような機械が普及するのか、関心の集まりそうなところです。
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