2000円から体験できる本格的レーシングシミュレーターで楽しみながらドライビングの腕を磨いてきました


車好きや自動車レースのファンならば、一度はレーシングカーをドライブすることに憧れたことがあると思います。かつては多くの予算をかけるしかなかったレーシングカー体験ですが、コンピューターが進化した現代ではCGで再現されたサーキットを走行するシミュレーターを使えばかなり本物に近いレベルの体験を得ることが可能になってきました。

「でも、お高いんでしょ?」と尻込みしてしまうシミュレーターの世界ですが、「東京バーチャルサーキット(TVC)」では2000円からというリーズナブルな価格で本格的なシミュレーター体験ができるということだったので、TVC大阪店を訪れて実際はどのようなものなのか体験してくることにしました。

大阪店|東京バーチャルサーキット
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東京バーチャルサーキットとは|東京バーチャルサーキット
http://tokyovirtualcircuit.jp/about/

東京バーチャルサーキット・大阪店に到着。店舗は1階がスポーツカーディーラーになっている建物の2階にあります。


「TVC バーチャルサーキット」の看板も掲げられていました。


階段を登って2階へ進みます。


ドアを開けると目に飛び込んできたのは巨大な画面いっぱいに映し出されたサーキットの光景。この特徴的な観覧車から、鈴鹿サーキットの最終コーナーからホームストレートにかけての下りであることがわかります。エンジンの快音を響かせながら爆走するシーンにしばしくぎ付けとなりました。


走行している様子は以下のムービーから。本格的なシミュレーターということで、レーシンググローブとシューズが必須となっていますが、レンタルも可能となっています。

「東京バーチャルサーキット・大阪店」でGP2マシンが鈴鹿を爆走する様子


そんな巨大スクリーンに食い込むように設置されていた車体はまさにレーシングカーそのもの。この中に乗り込んで操縦するというのだから気分が高揚しないわけがありません。


さまざまなボタン類が配置されたステアリング。上部に配置されたLEDは、実際にエンジンの回転数によって点灯してギヤシフトのタイミングを教えてくれる本格的なもの。ギヤシフトはもちろんステアリング裏のパドルを操作するタイプとなっています。


低く寝そべるように乗り込むことになるコクピット部分。テレビのF1中継や雑誌などで見ていた光景そのもので、テンションはこの時点で暴走気味。


ドライバー視点からみたコクピットの様子。現代のフォーミュラマシンの定石どおり、お尻が最も低い位置にありペダルを操作するつま先が持ち上がっているタイプのモノコックとなっていました。


フロアから生えるペダルは、こちらも現代レーシングカーの常識である2ペダル式。もちろんブレーキペダルを左足で操作する左足ブレーキが求められます。ペダル表面には滑り止め加工が施されています。


このモノコックは、実在するF1マシンの形状をもとに設計されたものとのこと。写真右端には、ステアリングの重さと動きを制御する巨大なモーターがモノコックに取り付けられています。


スクリーンに映像を投影する3台のプロジェクター。


シミュレーターの心臓部にはイギリス・Base Performance社のシステムを導入。世界中で稼働している本格的シミュレーターで、非常に本格的なシミュレーション体験を得ることができます。


体験できるクルマの車種を説明してくれるのはTVC大阪店のインストラクターである田中莞士氏。レーシングカートからフォーミュラマシンへとステップアップし、Formura Enjoyシリーズでは参戦初年度でシリーズ3位に入るという経歴の持ち主で、ドライビングの理論的な問題解決のセンスをTVC東京店の砂子塾長氏に見いだされ、TVC大阪店のインストラクターとして抜擢されたとのこと。画面に写っているのはアストンマーチン ヴァンテージGT4、FR車です。


さまざまな駆動方式の車種を選ぶことが可能で、こちらはRR車であるポルシェ911 GT3(997)。


フォーミュラマシン初心者にピッタリなフォーミュラルノー


そして今回、無謀にもチャレンジしてみたのは、最高峰のF1マシンをのぞけば世界で最も速いレーシングカーであるGP2のマシン。F1の格下クラスであるとはいえ、遅いF1マシンよりも速く走ることができるという性能を秘めたクラスのマシンです。


クラスを決めたら、とにもかくにもマシンに乗り込みます。レース好きなら一度は憧れる、モノコックに手をついて体を滑り込ませるあの動き。


本来は必要ありませんが、気分高揚をかねてハーネス(シートベルト)を装着。自分では装着できないので、田中氏に手伝ってもらいます。なお、本来はヘルメットも必要ありませんが、今回は撮影用としてGoProを付けるために装着。


まずはコースとマシンに体を慣れさせる慣熟走行をかねて走行開始。画面にはピットから発進する様子が映し出されています。


「走り込みまくった鈴鹿、実力のほどを見せつけてくれるわ!(ただしグランツーリスモの話)」と気合いだけで走り出した様子は以下のムービーから。気持ちとは裏腹に、アクセルは踏めてない、ブレーキは中途半端、コース上でふらふら、揚げ句の果てにはオーバーランしてさらにスピン、というドッチラケな走りとなっているのが恥ずかしいところ。グランツーリスモもかなり本格的なシミュレーター性能を備えてはいますが、やはり一般家庭で遊んでいるものとは世界が違いました。

東京バーチャルサーキット・大阪店のシミュレーターで鈴鹿サーキットをGP2マシンでまずは一周


奮闘する背後で走行を見つめる田中氏。ドライビング操作のひとつひとつに目を配り、問題点を次々に洗い出してくれます。今回はレーシングドライバーを育てる「トレーニングコース」を体験してみたのですが、まずは一定のタイムで周回を重ねて自分の走りの基本となる「ベースラップ」を刻むように指示が飛びます。


田中氏の目の前のモニターには、ステアリング・ペダル操作や車速・エンジン回転数などが克明にリアルタイム表示されています。これは恐ろしい。


「はぁ、はぁ、こんな……はずじゃ、はぁはぁ、なかった……」と思いながら走っているところ。


シミュレーターによる練習による最大のメリットが、いつでもどこでもドライブを中断して指摘・修正を行えるところ。スピンしたり操作を誤った際には田中氏から「○○さん、今の走りは何が問題かわかります?」と質問され、ドライバーはとにかく考えることを要求されます。この「考えながらのドライビング」がTVCの提唱する「思考回路トレーニング」につながるものとなっており、クルマの操作に重要な「考えること」が徹底的にたたき込まれることになります。


そのため、ドライバーは常に自分がどのタイミングでどんな操作を行い、その結果クルマがどんな動きをしたかという「走行記憶」を持つことが求められます。ハッキリいってこれは経験の無いドライバーには非常にハードルの高いものですが、この積み重ねが速いドライビングを実現するために必要なものであるということを痛感させられるトレーニング内容となっていました。

ときには、レーザーポインターを使ってライン取りの説明が行われたりすることも。


そんなこんなで数々の指摘を受けながら走り続けること十数分。その間にはブレーキの踏み方からアクセルの入れ方、目線の置き方をはじめ、「このコーナーでこの走りを実現するには、その前のコーナーでこれこれこういう動きを作っておかなければいけない」とある種の逆算法で走りを作って行く、考えていくことを教え込まれました。これはプロのレーシングドライバーにとっては当たり前のことでも、記者のようなただのクルマ好きにとっては大きな体験となりました。

そんなトレーニングを経て変化した走りが以下のムービー。コーナーの進入、ブレーキング、ギヤの落とし方、縁石の超え方などさまざまな面で変化が現れています。特にS字コーナーでのアクセルワークの結果、フロントタイヤに荷重が十分に載ったことでコーナーへフロントが「パーン!」と気持ちよくターンインできるようになったのが自分的には大きな変化かも。

東京バーチャルサーキット・大阪店のシミュレーターで鈴鹿サーキットをGP2マシンでアタック


同じコースを同条件で田中氏が走行したのがこちらのムービー。すべての動作をこともなげに操作されていますが、いざ自分でやってみるとその難しさをこれでもかというほど痛感します。

東京バーチャルサーキット大阪(TVC Osaka) GP2 鈴鹿サーキット


走行後はおいしいアイスコーヒーを飲みながら、データロガーを使った楽しいダメ出しタイムの始まり。


MoTeC(モーテック)のデータロガーシステムから得られたデータから表示される各種グラフをもとに、模範走行との比較を行います。


「ほら、ここがこんなに無駄な走り方になってるんですよ」と指さす田中氏。データロガーはすべての問題を偽りなく見せてくれる、恐ろしくも素晴らしいツールです。


この時に記者が出したラップタイムは1分46秒代後半。自分としてはかなりカツカツの走りだったわけですが、田中氏によるデモ走行で出たタイムは1分41秒半ばというもの。「……何をどう変えたらそんなタイムが出るのか、理解できません……」とうなだれる記者に田中氏からは「答えはこのグラフを見たら全部載ってるんですよ」と眼からウロコの返答。確かに両者のデータには明確な違いがあるので、「コレを詰めれば速くなれる!」と勇気づけられた瞬間でした。


今や現役F1ドライバーもトレーニングに取り入れているというシミュレーターですが、その波は一般化が進んでいるようです。こちらの利用者はまだ十代後半の若い方で、実はレーシングカートを含めレーシングカーの経験はほぼゼロとのこと。来年度の鈴鹿サーキットレーシングスクール(SRS)への入学に備えてまずはシミュレーターで走り込んで悪いクセを矯正し、本番の試験に臨むことを目的としたトレーニングを実施しているとのことで、もはや「気合いで走れ!」という時代は終わりつつあるんだなぁ、と実感させられるエピソードとなっていました。


最もお手軽なコース「TVCチャレンジ」では、1名あたり2000円という価格で本格的なシミュレーターを体験することが可能になっているので、とりあえず試してみたい人にはコレが最適かも。富士スピードウェイにて計測5周のタイムアタックでターゲットタイムを目指すという内容になっていますが、ロガーデータの解析やインストラクターのデモンストレーションなどは利用できなくなっています。1名あたり5000円となる「体験トレーニングコース」でも富士スピードウェイでの走行をおこないますが、こちらではロガーデータの解析によるアドバイスを受けることができ、これだけでも走りの考え方が変化するとのこと。

そして最も本格的な「通常トレーニングコース」では好きなサーキットを選んで走行し、プロの走りとの違いをロガーデータ上で比較して確認することが可能。また、ロガーデータをUSBメモリーで持ち帰ることができるので、自宅で復習して次の走りにつなげることもできるようになっています。利用料金は30分で1万円となっており、人数制限はありません。

そのほかにもお得なプランが用意されていることもあるので、ウェブサイトやFacebookのページなどを確認してみてもよさそうです。

ご利用料金|東京バーチャルサーキット
http://tokyovirtualcircuit.jp/course/

クルマの走りを楽しむドライバーから、本気でレースの世界に飛び込もうとする人にまで、大きなメリットを与えてくれそうなシミュレーターとなっていました。走りに快感を覚えるタイプの人なら、きっと新たな発見を体験することができそうです。

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in 取材,   乗り物,   動画, Posted by logx_tm