統計データで振り返るFIFAワールドカップ・ブラジル大会
By Ingo Vogelmann
4年に1度開催されるFIFAワールドカップの2014年大会がブラジルで開催され、さまざまなゴールが生まれたくさんの素晴らしい試合が見られました。データベース視覚化サービスの「Chartio」で働くJuha-Matti Santalaさんもワールドカップの魅力に取りつかれたひとりで、彼は自身のスキルを活かして今大会のデータをまとめて、ワールドカップ・ブラジル大会を振り返っています。
Chartio - Blog - The Beautiful Game
http://chartio.com/blog/2014/07/the_beautiful_game
ワールドカップ・ブラジル大会には世界中から32の代表チームが集まり、64試合が行われ、合計で171得点が決まりました。この171得点というのは、1998年のワールドカップ・フランス大会と並んでワールドカップでの最多ゴール数になります。なお、32チーム中で最も多くのゴールを決めたのは優勝したドイツ代表の18得点。
ワールドカップが初めて開催されたのは1930年のことで、当初は1試合平均得点数が「4」近くと、毎試合かなりの数のゴールが決まっていたようです。1試合平均得点数はその後徐々に低下していき、最近の1試合平均得点数は約「2.5」程度まで落ちてきています。なお、ブラジル大会での1試合平均得点数は「2.67」と、近年のワールドカップよりも多い数値が出ており、これまでよりもたくさんのゴールが決まった大会になっていることが分かります。
ブラジル大会ではスペイン代表対オランダ代表戦の1-5や、ドイツ代表対ブラジル代表戦の7-1のような大量得点の試合が特に鮮明に記憶に残っているかもしれませんが、全64試合中8試合が90分間で1得点も入っておらず、優れた守備組織を見られる大会でもありました。
STATS: We round up some of the records & stats to have emerged from #GER's 7-1 win over #BRA - http://t.co/Xw3Mpqx56o pic.twitter.com/Y3y3WdWOrl
— FIFAWorldCup (@FIFAWorldCup) 2014, 7月 9
以下のグラフは試合のどの時間帯に多くのゴールが決まったかを表したグラフで、横軸が5分ごとの試合時間、縦軸がゴール数を表しています。グラフを見ると試合終了間際の5分間(85~90分の間)に多くのゴールが決まっていることが分かります。
決勝トーナメント1回戦のオランダ代表対メキシコ代表の試合も終了間際の時間帯に試合が大きく動いた1戦で、試合終了間際までメキシコ代表がリードしたまま試合は進んでいたのですが、88分にオランダ代表のヴェスレイ・スナイデル選手が同点ゴールを決め、ロスタイムにはPKでクラース・ヤン・フンテラール選手が逆転ゴールを決めてオランダ代表が勝利しました。
#NEDMEX HIGHLIGHTS: Relive Netherlands dramatic #WorldCup win over Mexico -http://t.co/FCOdPp8LQv pic.twitter.com/aeNOgNJoRK
— FIFAWorldCup (@FIFAWorldCup) 2014, 6月 30
なお、延長に入ってから決まったゴールの数は、2006年大会では3つ、2010年大会では2つでしたが、2014年大会では8つのゴールが延長で決まっており、これには決勝のドイツ代表対アルゼンチン代表戦の決勝点も含まれます。
決勝戦での決勝ゴールはこんな感じ。
また、ワールドカップ・ブラジル大会で最も速くゴールを決めたのは、アメリカ代表のクリント・デンプシー選手。ワールドカップ初戦のガーナ戦で、試合開始から29秒で得点を決め、ブラジル大会最速のゴールとなり、ワールドカップ全体で見ても5番目に速いゴールとなっています。
Clint Dempsey's amazing goal in 30 seconds: fastest goal in american history (sick edit) - YouTube
なお、著者であるSantalaさんお気に入りのゴールは、コロンビア代表のハメス・ロドリゲス選手がウルグアイ戦でみせたボレーシュートとのこと。
ブラジル大会で決まったゴールのいくつかは永久に歴史に残るものとなるかもしれません。例えばドイツ代表のミロスラフ・クローゼ選手は、今大会のブラジル戦でワールドカップ通算16点目となるゴールを記録し、ワールドカップの歴代最多得点者となりました。なお、クローゼ選手のワールドカップ試合出場数は23試合です。
これまででもっとも得点率の高い選手は1958年にフランス代表としてワールドカップに出場したジュスト・フォンテーヌ氏。彼は6試合で13得点を記録しており、出場した6試合すべてで得点を決め、2度もハットトリックを達成しており、フォンテーヌ氏の1大会13得点という記録はいまだ誰にもに破られていません。
また、ドイツ代表の点取り屋はクローゼ選手だけではなく、1970年代にはゲルト・ミュラー氏が活躍し、1970年のメキシコワールドカップで5試合に出場して10得点しています。さらに、現代表チームのチームメイトであるトーマス・ミュラー選手もワールドカップで通算10ゴールを挙げています。しかし、クローゼ選手とミュラー選手以外には現役選手の中でワールドカップ通算10ゴール以上を決めている選手はいない、とのことです。
以下のグラフはそんな歴代のワールドカップでのトップスコアラーたちの得点数(縦軸)と出場試合数(横軸)を表したもので、青線がクローゼ選手、黄色がゲルト・ミュラー氏、紺色がペレ氏、水色がフォンテーヌ氏、紫がロナウド氏を表しており、フォンテーヌ氏の得点ペースがいかに異常であったかがよく分かります。なお、現在24歳で次のワールドカップに出場することも現実的なトーマス・ミュラー選手のワールドカップ出場数は13試合で、得点数は10なので、現在のところクローゼ選手とロナウド氏の記録と並んでいます。
元イングランド代表選手であるゲーリー・リネカー氏は、「フットボールというのは非常にシンプルなゲームだ。22人で90分間ボールを追いかけるだけ。そして最後に勝つのはいつもドイツ人だ」と言いました。2014年大会ではまさにこの言葉通りの結果となったわけですが、ドイツ代表はこれで通算4度目のワールドカップ優勝を達成で、東西ドイツ統一後は初の優勝となります。なお、ドイツの優勝回数はブラジルの5回につぐ回数で、イタリアの優勝回数も4回で同じです。
なお、以下のグラフはアルゼンチン(青)、ブラジル(黄)、ドイツ(紺)、イタリア(水色)、アメリカ(紫)のこれまでのワールドカップでの成績を表したもので、横軸が年度、縦軸が成績を表しています。グラフを見ると、ドイツはこれまでのワールドカップでベスト16で敗退したのは、15チームが参加した1938年の大会以降一度もありません。
アメリカではサッカーが1番人気のスポーツではありませんが、ブラジル大会にてアメリカ代表は素晴らしい戦いぶりをみせてアメリカ全土を興奮の渦に巻き込みました。特に、アメリカ代表GKを務めるティム・ハワード選手はベルギー戦で1試合16セーブという大会記録を樹立し、鉄壁過ぎると大きな話題になりました。
また、アメリカ代表の試合を観戦していたバラク・オバマ大統領は、アメリカ代表の面々と直接電話し労をねぎらっており、その様子はホワイトハウスの公式YouTubeチャンネルにて公開されています。
Raw Video: President Obama Calls Clint Dempsey & Tim Howard - YouTube
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