「なかなか出ないケチャップをどうすれば簡単に出せるか?」を科学的に考察するとこうなる
By Francois de Halleux
ケチャップをかけようとしてもなかなか出てこなくて、出そうと試行錯誤した末に突如として大量のケチャップが噴出し、料理が台無し、服も汚れまくるということはよくあります。そんなやっかいなケチャップを攻略するべくその特性を科学的に分析するとこんな感じになります。
Why is ketchup so hard to pour? - George Zaidan | TED-Ed
http://ed.ted.com/lessons/why-is-ketchup-so-hard-to-pour-george-zaidan
ケチャップをうまく出す方法のレクチャーは以下のムービーから。
Why is ketchup so hard to pour? - George Zaidan - YouTube
フライドポテトにケチャップは最高の組み合わせです。
しかしケチャップはなかなか出ないことも多く、また、突如として大量に出てきてしまうのがやっかいなところ。
この奇妙なケチャップの特性を考察して、ケチャップの上手なかけかたを探ってみましょう。
もしもケチャップが鉄のような固体ならば、ボトルから出てくることはないでしょう。
もしもケチャップが水のような液体ならば、ドボドボとこぼれ出てくるでしょう。
ではケチャップは固体なのか液体なのか……?
それは場合によりけり。
一般的な液体である、水・油・アルコールは滑らかに形を変化させます。
もしも油のボトルを2倍強く押すならば……
2倍の勢いで出てきます。
これはニュートン流体の性質です。
しかしケチャップはニュートン流体ではありません。
マヨネーズ・チューブペースト・血液・塗料・ピーナッツバターなどは、外力に応じて一定の変化をするわけではありません。
これらの流体は、外力・時間・(外力が加わる)速さによって、濃度が変化します。
ケチャップがニュートン流体とは異なる点は2つ。
1つめの特性。
ケチャップは強く押すと、突如として「薄く」滑らかになります。
ある限界点に到達するまでは、ケチャップはまるで固体のような性質を示しますが……
限界点を超えて外力が働くと、それまでよりもはるかに薄くなり滑らかな液体状に変化するのです。
これが突如としてドボドボと出てくる理由です。
2つめの特性。
ケチャップは外力だけでなく時間によっても変化するというところがニュートン流体と異なるところ。
時間がたつと、急に滑らかな液体状になることがあるのです。
なぜなのか?
ケチャップの材料はトマトです。
トマトは細かく刻まれて、つぶされて、バラバラに分解されてケチャップになります。
この粒子について見てみましょう。
トマトの粒子は水・酢・砂糖・香辛料などに囲まれています。
そんな環境でトマト粒子はぷかぷか。
そこに素早く外力が加わると……
トマト粒子同士は衝突しますが互いの位置関係はそれほど変化せず、滑らかな流体になるまでには至りません。
しかし大きな力が急激に働くと……
トマト粒子は押しつぶされて変形します。球体はラグビーボールのような形に……。
こうして粒子のまわりに液体のスペースが生まれて、ケチャップは流れやすくなるというわけです。
では弱い力でも長い時間かければ出やすくなるのはなぜか?
まんべんなく広がっていたトマト粒子が……
全体に真ん中に集まり壁の付近が、粒子以外の液体で覆われ……
液体のように出てくるというのが一つの可能性です。
もう一つの可能性は、弱い力でも長時間かかることで……
トマト粒子同士が集まり塊となって、やはりスペースが生まれ液体らしくなり出やすくなるということ。
外力の強さが限界点を超えると突然、滑らかになる性質と……
小さな力でも長い時間加わることで滑らかになる性質。
この特性を踏まえれば、ケチャップをうまく出す方法は2通りです。
ゆっくり長い時間動かすか……
「ドンッ!」とたたいて、急激に大きな力を加えるか。
しかし、使う度にいつもボトルをよく振って
トマト粒子が寝ないように「起こし」続けて……
いつも快適にケチャップを使うのが「真のプロ」とのこと……。
「出なくなってから焦ってもダメ、日々の準備が大切さ」という何とも身も蓋もない結論でした。
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