人里近くで見かけられていたイルカが1918年以来の新種だったことが判明
by Alias 0591
ブラジルで新種のイルカが発見されました。新種のイルカが発見されたのは1918年以降初めてのことなのですが、発見されたのはブラジル奥地の秘境ではなく人里の近くで、近隣住民は新種とは知らず長年イルカを眺めていたそうです。
PLOS ONE: A New Species of River Dolphin from Brazil or: How Little Do We Know Our Biodiversity
http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0083623
New species of river dolphin is discovered in Brazil - but it's already endangered | Mail Online
http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2544779/New-species-river-dolphin-discovered-Brazil-endangered.html
BBC News - Brazil dolphin is first new river species since 1918
http://www.bbc.co.uk/news/science-environment-25841135
発見されたのはカワイルカというイルカの新種で、ブラジルの主要な川の1つであるアラグアイア川で見つかったとのこと。国際自然保護連合(IUCN)によると、これまでカワイルカはインドカワイルカ、アマゾンカワイルカ、ヨウスコウカワイルカ、ラプラタカワイルカの4種しか報告されておらず、うち3種は絶滅の恐れがあるとしてレッドリストに名を連ねています。
アラグアイア川には約1000種の生き物が存在すると考えられていますが、今回報告されたカワイルカは泥の中に潜む魚を採って生きているため、海のイルカとは違いくちばしが長いのが特徴。南アメリカに流れるアマゾン川に生息するアマゾンカワイルカが200万年以上前に分岐したものと考えられています。
南アメリカに生息するアマゾンカワイルカはピンクイルカとして知られ、3500万年前に生きていた原始的なクジラと同じ特徴を備えていることから「生きた化石」とも呼ばれ、川の生き物の中で最も賢い生き物として知られています。
by Joachim S. Müller
研究を率いたアマゾナス連邦大学(UFAM)のTomas Hrbek教授は「新種のイルカは現存のカワイルカと非常に近い関係にあります。今回驚きだったのは、新種のイルカがその大きさ故に近隣住民によってよく観察されていたこと。ただ誰もよくは見ていなかったのです。これは非常に興味深いことと言えます」と語りました。
他種のカワイルカの歯の数は顎の一方で25~29本であるのに対して、報告されたカワイルカは24本しかなく、研究チームがアマゾン川とアラグアイア川の両方に生息するイルカのDNAを解析したところ、2つが別の種であることを確認。アラグアイア川のカワイルカが新種であるという結論に至りました。しかし「科学では何かを確信するということはない」とも述べており、「研究者によっては今回の結論を疑問視することもあり得る」とBBC Newsに語っています。
研究チームによると、カワイルカは川で魚を採るため漁師の仕掛けた網にひっかかることがあるのですが、漁師たちはこれを嫌がるため、イルカを撃つ恐れがあるとのこと。カワイルカは遺伝の多様性が非常に低く、また1960年以降アラグアイア河川流域は農業や家畜業・ダム構築のため開発が進んでいることを考えても、発見されたばかりの新種のイルカを絶滅させないよう、早急な分類とレッドリスト入りが求められています。
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