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テレビ・放送業界がアメリカでも衰退している証拠とその原因

By Oblivious Dude

日本のテレビ番組・放送業界は年々と広告費が減ってきていることから、番組の制作費も減少、従来の番組品質を維持できない状態になっていますが、この現象は国内だけでなく、アメリカのテレビ業界でも同じような現象が起きていることをBusiness Insiderがグラフつきで解説しています。

Cord Cutters And The Death Of TV - Business Insider
http://www.businessinsider.com/cord-cutters-and-the-death-of-tv-2013-11


Citiバンクグループのリサーチ組織であるCiti Researchの調べによると、2011年の9月からアメリカのテレビ番組・放送業界の視聴率は、オリンピック時期を除いて低下し続けており、ペイTV産業も、12か月連続で過去最悪の実績報告したことを、メディア証券アナリストのクレイグ・モフェット氏およびマイケル・ネーサンソン氏が明らかにしています。

また、ケーブルテレビ会社が提供する、ブロードバンドインターネットを含む受信契約数は、2010年~2013年までの間に500万人も減少しており、各テレビ会社は大量の加入者を失っています。例えば、Time Warner Cableの2013年第3四半期の報告によると、減少した加入者数はそれぞれ、テレビが30万6000人、ブロードバンドインターネットが2万4000人となっており、深刻なテレビ離れが起きていることがわかります。

By oddharmonic

Charter CommunicationsのCEO・Tom Rutledge氏は、「Charterが抱える550万人の加入者の内、130万人はテレビ契約をしていません。私たちの予測よりもインターネットの成長は大きかったのです」と話しています。

テレビ離れがどのように起こっているかは、以下の調査結果を見るとわかります。昔に比べて野球のワールドシリーズ(MLB)をテレビで観戦する人が減っているということや……


バスケットボールのNBAも、同じように視聴者が減少する傾向が見られ、インターネットの普及に伴い、GoogleやFacebookなどのユーザー数増加がテレビ視聴者の数を減少させていると見られています。


ケーブルテレビのみの加入者数は年々減少、ケーブルテレビ業界史上初となる4000万人を割り込み、テレビ業界は大きな遷移の時期に来ていることがわかります。これは、テレビを見ることのできるスマートフォンなどテレビを見ることのできる端末が増加しているためと考えられています。


以下は、ケーブル会社の「テレビ」、「電話」、「ネット」の全ての契約タイプの契約者数をグラフにしたもの。昔から時期によって大きな振り幅があるのは、アメリカの人々は秋に引っ越しを好む傾向があることから、ケーブル会社の契約が季節ごとに設定されているため。しかし、季節ごとの解約者数はさほど変わっていないものの、再契約する人がどんどん少なくなっています。


引っ越し後にケーブル会社と再契約していない人はテレビを全く見なくなるわけではない、ということは以下のグラフからわかります。これはケーブル会社・DBS(直接放送衛星)・携帯キャリアのレンタルビデオ市場の割合を表したもので、映画を見たい人たちは、ケーブルテレビ会社との単体契約ではなく、携帯電話・スマートフォンでキャリアの用意したプランに追加加入する人が多くなっているとのこと。


会社ごとの収入を見てみると、ケーブルテレビ会社は大きくマイナスを出しているところもありますが、AT&TやVerizonなどの携帯キャリアは大きな収益をあげています。


以下はテレビ・オンライン・ラジオ・紙媒体・その他・モバイルの使用頻度をグラフ化したもので、まだテレビの視聴者数は多く、優位に立っていますが、モバイルが年ごとに爆発的に成長中。


そして、増加したモバイル人口から、今後も世界的なモバイルビデオのトラフィックはさらに増加する見込み。また、YouTubeを見ているデバイスの40%はモバイルデバイスから来ていることも明らかになっています。


近年は、タブレットユーザーも急激に増加しており、以下のグラフのように、夜になると使用頻度が高まることから、テレビ業界ではタブレットのことを「メディア吸血鬼」と呼んでいるそうです。


ユーザーの分布がどんどん変わってきていますが、広告費のバランスは未だに実情とはかけ離れています。下の棒グラフは「Time Spent Share(時間を使う割合)」、「Ad Spent share(広告費の割合)」「%to Parity(費用対効果)」を表したもので、人々が多くの時間をモバイルデバイスで費やすようになった結果、モバイル向け広告の費用対効果は363%に達しているのに対して、テレビは-9%という結果に。


テレビ業界の強みは、スーパーボウルのような、3時間で1億人以上の人を集められるメディアがほかには存在していないことですが、ケーブルテレビ会社は加入者数の低下や広告の減少に合わせて、契約料金の値上げを行っており、自分で自分の首を絞めてしまっている状態になっています。


ケーブルテレビとブロードバンドという2つのネット回線の契約者数が減少しているもう1つの原因として、フリーWi-Fiスポットの増加が考えられます。ロサンゼルスを含む57都市がフリーWi-Fiを提供しているほか、全米のスターバックス・コーヒーもフリーWi-Fiを提供。また、Facebookもベイエリアの25の店舗で、チェックインすることで使用できるフリーWi-Fiの提供テストを完了済みとのこと。


フリーWi-Fiが利用可能なホットスポットの範囲内に住んでいれば、いつでも無料でネットを使用でき、ケーブルテレビのように見たい番組の時間に合わせて予約を行う必要はなく、インターネットから好きな映画をダウンロードやストリーミングで見ることが可能となります。

しかし、無料でなんでも見てしまうことは、テレビや映画が制作費を回収する手段がますますなくなってしまうことを意味します。Business Insiderは、「お気に入りのドラマがあっても、少数の他人だけがネットやケーブルの料金を払えばあなたはOKですか?」と、今後のテレビ・放送業界とインターネット業界のユーザーのあり方について疑問を投げかけています。

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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