放送局のコンテンツが自社の著作権を侵害しているとソフトウェアが誤認識
アメリカの放送局HBOの配信するインターネットコンテンツがMarkMonitor社の著作権監視システム「DtecNet」によってHBO(つまり自社)の著作権を侵害していると見なされました。アメリカではデジタルミレニアム著作権法に基づき著作権を侵害しているコンテンツは詳細な調査がなくとも削除できることになっており、DtecNetはHBO社のコンテンツがHBO社によって侵害されている旨の削除通知をGoogleに送信したとのこと。
HBO Wants Google to Censor…. HBO.com | TorrentFreak
http://torrentfreak.com/hbo-wants-google-to-censor-hbo-com-130203/
Daily Dot | Copyright monitoring firm flags HBO.com for pirating HBO content
http://www.dailydot.com/news/hbo-pirating-markmonitor-copyright-alerts/
これだけ聞くと笑い話にも聞こえるのですが、問題は2013年初頭にアメリカで開始される予定の著作権警戒システム(CAS)で使用されるソフトウェアがDtecNetを開発したMarkMonitor社のものだということです。
CASはアメリカ映画協会やアメリカレコード協会がアメリカ大手のISPと手を組み、違法なダウンロードを防ごうとする取り組みで、このシステムを運営するために組織されたCenter for Copyright Information(CCI)がIPアドレスを監視し、違法にダウンロードしているユーザーに対し段階的に警告を送るというもの。最大6回まで警告を送ることを想定しているため、通称「Six Strikes」と呼ばれています。違法ダウンロードが法律で禁止されるわけではないため警告を無視しても罰則はありませんが、TorrentFreakの調べによれば、協定を結んでいるAT&Tは違法ユーザーのサイトへのアクセスをブロック、通信会社のVerizonは通信速度を減速、Time Warner Cableも一時インターネットの使用を中断させるといった措置をとる予定とのことです。
By Ben Dodson
フランスでは著作権侵害を防ぐためにスリーストライク法が制定されましたが、Six Strikesは法定されていないだけではなく、ターゲットがファイル共有システムBitTorrentユーザーにほぼ限定されており、海賊版全体の取り締まりとしては限定的な効果になるとも考えられています。
Six Strikesは2011年から開始される予定でしたが、何らかの理由によって予定が遅延。開始日は公式では発表されておらず、1月26日時点ではTorrentFreakが「2月18日に始まるのではないか」と予想していましたが、今回のことを受けてさらなる遅延が起こる可能性もありそうです。
・関連記事
違法ダウンロード刑事罰化の驚くべきQ&Aを文化庁がネット上で公開中 - GIGAZINE
BitTorrentで人気の海賊版ファイルをダウンロードすると3時間以内に当局がIPアドレスを記録する - GIGAZINE
ついに「ファイル共有ソフト監視システム」によって全国初の逮捕者が出る - GIGAZINE
サイバー攻撃が相次ぐ中でハッキング被害に遭わないためのポイントとは - GIGAZINE
ファイル共有サイトの帝王キムからの挑戦状、「MEGA」のセキュリティーを破れたら賞金1万ユーロ - GIGAZINE
ポスト「Megaupload」時代のファイル共有 - GIGAZINE
・関連コンテンツ