取材

世界標準が通用しないアメリカのお金と単位の使い方


アメリカでATMを使って引き出した紙幣で最も高額だったのは20ドル札でした。クレジットカードが普及しているので、50ドル札と100ドル札はあまり見かけません。一方、最も少額の紙幣は1ドル紙幣。自動販売機でジュースを買うときから紙幣を投入することになります。上記写真の自動販売機も1ドル紙幣と硬貨にしか対応していない仕様です。アメリカでは、お金に関して突っ込むことが多すぎました。同様に単位も複雑で、「マイル」や「ガロン」などは滞在中に理解できたのですが、「フィート」や「インチ」あたりは最後まで感覚が掴めず。天気予報を見ても「華氏62度」じゃ分かりません。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。これまでに80カ国以上を周ってきましたが、アメリカほど世界の標準と離れた国はありませんでした。

◆お金
ATMから出てくるのは、オーストラリアなら50豪ドル、ヨーロッパなら50ユーロの紙幣。100豪ドルや100ユーロの紙幣を日本の1万円紙幣のように頻繁に見かけることはまずありません。これがアメリカだと更に額面が下がって、ATMでも20ドル紙幣が束となって出てきて困りました。硬貨にしても、25セントが一番使われていて不便です。たいていの国は物価に対して扱いやすいように硬貨と紙幣のバランスが取れているのですが、アメリカは違っていました。

アメリカの滞在で使っていた紙幣は「1ドル」「5ドル」「10ドル」「20ドル」の4種類。


両替の資金として、これまでの旅では一番慣れ親しんでいた「100ドル」はアメリカでは使わず。


硬貨も「25セント」「10セント」「5セント」「1セント」の4種類。


ただし10セントには「ダイム」としか書かれてないので戸惑わないように。25セントにも「クォーター」、1セントにも「ペニー」といった通称がありました。5セントにも「ニッケル」という通称があったようですが、滞在中には確認していません。5セントには「ファイブセント」って書いてありますし。


25セントのクォーター硬貨はアメリカ50州に因んだデザインの記念硬貨が発行されています。プエルトリコや米領サモアといった地域の図柄もあって、お釣りをチェックしてはドキドキしていました。


車社会のアメリカですから、銀行にもドライブスルーのATMが備え付け。


チェーン展開しているスーパーマーケットなら、お釣りは機械から出てきます。便利は便利なんですけど、1ドル紙幣以上は手渡しでした。額面の高い500円硬貨を擁する日本には及びません。


ヨーロッパですらあまり見かけなかったセルフレジが、アメリカでは普及していてるのには驚きました。


1ドルから紙幣になることは、自動販売機やカプセルトイなどの機械での販売で足を引っ張ります。紙幣の投入口のあるジュースの自動販売機は1ドル紙幣しか受け付けず、商品のボタンを押す前にお釣りが出てきます。閑散期のグランドキャニオンのキャンプ場の支払いは自動券売機でした。この自動券売機は複数の紙幣を認識してくれたのでしたが「お釣りは出ないから端数は寄付することになるけどいい?」と言い出す始末。

その他の海外諸国では珍しいのですが、アメリカでは屋外の自動販売機をけっこうみかけました。


1ドルオンリーの意味を日本で捉えるなら、100円硬貨しか使えない自動販売機です。


355ml缶が60セントで販売されている自動販売機に1ドル紙幣を投入すると……


商品のボタンを押すより先に40セントのお釣りが出てきます。この後に返却のボタンを押しても残りの60セントは返ってきません。


硬貨しか使えない子どもの遊具はたったの25セント。


グランドキャニオンの望遠鏡も25セントオンリー。


UFOキャッチャーを1ゲームするのに25セント硬貨を4枚も投入しないといけないというのは煩わしいです。


こちらのカプセルトイは50セントで25セント硬貨を2枚投入。


こちらも50セント。このタイプは25セント硬貨2枚を溝に立てて押します。コイン式の洗濯機はこのタイプが多かったです。


コインランドリーでは紙幣を25セント硬貨に崩す両替機が置いてありました。


自動販売機にしても、カプセルトイにしても、証明写真にしても、設置しているだけで経済活動に参加してくれます。こうした一連の機械化は日本を先進国として支えていると、一時帰国したときに感じました。アフリカにはジュースの自動販売機みたいな人が立ってますから。だからこそ、アメリカにおける機械の煩わしさはもったいなく見えました。使いにくい現金に替わって、アメリカではクレジットカードが万能です。

鍵を自動的に装飾してくれる機械。


貸し出しにクレジットカードを使う「Red box」というDVDの自動レンタル機械、延滞料金も自動的に引き落とされるみたいです。


公衆電話の上部には硬貨の投入口があり、下部にはカードの挿入口があります。


磁気ストライプにもICチップにも対応。


セルフガソリンスタンドもクレジットカードです。給油の後にお金を払うと逃げられる可能性もあるので、現金の場合は最初にレジでお金を預ける必要があります。


ガソリンスタンドにある空気ポンプもクレジットカードに対応していたのですが料金はたった1ドル。なんだかやり切れません。


アメリカでは1ドル紙幣と同様に1ドル硬貨も存在しています。1ドル硬貨が主流になれば少しは便利になりそうですが、アメリカの中では不人気らしくて、なかなかうまくはいきません。東ティモールやジンバブエなど、アメリカドルを自国通貨として使っている国では1ドル紙幣がクタクタの布みたいになっているので、その点からしても1ドル硬貨の方が耐久性があってよさそうですが……。かつては日本では100円紙幣が発行されていましたが、現代の100円硬貨が紙幣化され、最高額の硬貨が25円になった生活を想像してください。機械で切符やジュースを買ったりするのは、非常に煩わしくなるでしょう。

◆単位
通貨体系もさることながら、アメリカではマイルやガロンといった独特の単位体系にも頭を悩ませます。フランス起源のメートル法が世界の主流となった今、イギリス起源のヤード・ポンド法はイギリスやアメリカぐらいでしか使われていません。「一日どのくらい走るのか?」「自転車の重さはどのくらいだ?」と聞かれてマイルやポンドで答えるのは慣れませんでした。

距離の単位はキロメートルではなくマイルで表記されていて、60マイルは96.5キロメートルになります。1マイル(mile)が1.6km。


4分の1マイルは約400m、通貨もそうでしたけど、アメリカではハーフ(2分の1)やクォーター(4分の1)といった表現が好まれていました。


制限速度の表記もマイルが基準、時速35マイルは時速56キロメートルになります。


高さの単位はメートルではなくフィート、標高5950フィートは標高1813メートルになります。


峠の頂上の看板もフィート表記、標高6570フィートは標高2002メートルでした。


フィートとマイルの二つの表記は標高が243メートルで、制限速度が時速64キロメートル。


面積になるとエーカーの表記が出てきます。1エーカーは4046平方メートルで一辺が64メートルの正方形、77エーカーは31万1607平方メートルで一辺が558メートルの正方形の面積です。


食品の重量はオンス、でもグラムも併記されているので分かりやすいです。1オンス(oz)=28.34g。


オンスより重いものにはポンドを使っています。1ポンド(lb)=453.59g。


果物、野菜、肉の重量もポンドが基準です。表示の値段を2倍の数字に、気持ち足して1kgで高いか安いか判断をしていました。


ビッグなアメリカだからこそガソリンスタンドも、1ガロン(gallon)=3785mlが計算の標準。調理用のストーブはガソリンを使うので、自分もボトルに給油をしましたが、給油メーターがガロン表記なので混乱します。


16fl oz(液量オンス)は1pt(パイント)で473ml。1ガロン=8パイント=128液量オンス。


でも、パイントより1ガロンを4分の1で表す1QT(クォーター)の表記の方が多かったり。


華氏62度(62℉)は摂氏16.7℃、インフォメーションセンターで天気予報を見せてもらっても、どのくらい寒いか分からずに困りました。


こんな感じでアメリカには独特のルールが存在しています。しっかり心の準備をして、惑わされないように気をつけてください。6オンスと10オンスを並べて表記すると、数字の上では大した違いはないように見えますが、この差を気にせずに食べまくると確実に太りますので……。(6オンス=約170g、10オンス=約283g)

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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