取材

時間が大地を浸食したアーチーズ国立公園で地球にぽっかり空いた穴


デリケートな姿をしているけれど、実はすごく頑張って重力と戦っています。それでも過ぎていく時間には敵わなくて、崩れていくアーチもあるのですが……。アメリカのユタ州南部にあるアーチーズ国立公園には、雨風が大地を風化して作った多数のアーチが存在しています。国立公園は広大な美術館で、たくさんのアーチは自然の芸術作品でした。特に有名な「デリケートアーチ」は車のナンバープレートにも描かれていてユタ州のシンボルとなっています。

こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。アーチーズ国立公園を自転車で走り回り、さらにトレッキングで歩き回りました。簡単に見られないからこそ、辿りついたときにしか分からない景色があります。

アーチーズ国立公園はこちら。

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ザイオン国立公園、ブライスキャニオン国立公園から州道12号を東に東に進んでいきます。このユタ州南部は人口の希薄なエリアで、アメリカ人ですら「街の中心街はどこだ?」と聞いてくる始末なので「もう通り過ぎてるよ、小さなガソリンスタンドがあったでしょ」と答えます。州道が「お前は、谷底に降りろー」と伸びていたかと思うと、「良く来たな、次は2900mの峠は山超え」という、修行の道です。

明らかに山の中央を削って通した道


谷底へ


エスカランテリバー(Escarante River)を越えて。この後はしばらく上り。


上の写真の谷底から、少し上りました。川が谷を作っています。


更に上って上って……


自転車を漕いでいるはずなのに、まるで登山。


9600フィートはメートル換算すると2926mで、アメリカ大陸に来てからは最高地点となります。


峠を越えたら、乾燥した景色に。


地球は丸い?


上の写真の位置から少し進むと、見える景色も少し進みます。


キャピトルリーフ国立公園を通過


植物の姿が少なくなりました


岩山


茶色から灰色の世界に。


変な形で崩れていってます


荒野を駆け抜けて。


ここら辺りの牛の糞は乾燥して綺麗。一部の地域で燃料になるのも理解できます


アーチーズ国立公園から見えるラサール山脈


ユタ州西端のザイオン国立公園から東端のアーチーズ国立公園まで、ユタ州の南部を横断しました。観光の基点となる「モアブ(Moab)」の街から北8kmにアーチーズ国立公園のゲートとビジターセンターがあります。そこからキャンプ場までは約28kmのアップダウンの多い道を走らないといけません。このキャンプ場の奥にある「デビルスガーデン(Devils Garden)」のトレイルを歩くと、様々な形をしたアーチを見学できます。また、主要道から2km離れた駐車場からトレイルを歩いていくと「デリケートアーチ(Delicate Arch)」がひっそりと佇んでいました。

アーチーズ国立公園に入って。


時間が足りなくて回れなかった「ウインドウズセクション(Windows Section)」


落ちそうで落ちない「バランスロック(Baranced Rock)」


◆デビルスガーデン(Devils Garden)

歩き出してすぐにみつかる「パインツリーアーチ(Pine Tree Arch)」


パインツリーアーチの近くにある「トンネルアーチ(Tunnel Arch)」


こんな景色の中を歩いていきます。


岩山を乗り越えて。


アーチの無い場所は平原


公園の目玉でもある「ランドスケープアーチ (Landscape Arch)」


非常に薄いアーチで、100mを越える長さは公園内最大。崩落の危険があるので、アーチの真下は立ち入り禁止になっています。


ランドスケープアーチの隣に2つの小さな穴……


これは「パーテーションアーチ(Partition Arch)」となって裏側からのぞけます。


小さい穴はこんな感じで


パーテーションアーチの近くにある「ナバホアーチ(Navajo Arch)」


アーチの中は行き止まり。でもちょうどいいスペースとなっていて、狩りの時代に生まれていたら住むにはぴったりかも。


ドミノのように並べられた平たい岩


こんな所を歩きます


整備されていないトレイルですので足元には気をつけましょう。トレイルにはケルン(積み石)が積んであるので見失わないように。


このアーチは……


二階建ての「ダブルオーアーチ(Double O Arch)」


古代ローマの水道橋のようです


こちらは「プライベートアーチ(Private Arch)」


少し離れて見ると、薄い岩に穴が空いた様子が分かります。


デビルスガーデンのトレイルを1周して12km近くを歩きました。ここから自転車に乗り換えてデリケートアーチを目指す自分はトライアスロンの選手の気分。

キャンプ場近くの「スカイラインアーチ(Skyline Arch)」は珍しく高い場所に穴が空いています


「サンドデューンアーチ(Sand Dune Arch)」を覗いてからデリケートアーチへ向かいました


◆デリケートアーチ(Delicate Arch)

駐車場から片道1.6kmのトレイルを歩きました


まるでミュージカルの舞台みたい


そして辿り着いた「デリケートアーチ(Delicate Arch)」


このデリケートアーチはとてつもなく巨大です。左側の岩山の下の方に人がいるので比較してみてください。


後ろ姿


斜め後ろ


少しずつ角度を変えて。


真横から。崖の上で一人デリケートに何を考えているのでしょうか?


デリケートアーチが一人でいつも眺めている景色


デリケートアーチのそばにある、浸食されてできた穴。雨が降ったら天然のプールになりそう。


観光を終えたら、早く駐車場に戻らないと。街に戻るには険しい道を走らないといけません。


やはり間に合わず、アーチーズ国立公園に上る満月。


◆アーチになる過程

今にも穴が空きそうな平たい板のような岩が幾つも重なっています


近くで見ると壁のように。


平たい岩はどれも同じ方向を向いてます


綺麗に並んでいる平たい岩


この平たい岩に雨風による浸食が加わると穴が空きます。冬に水が凍ってしまうのも浸食を進める原因でしょう。


穴が空いてる最中の岩


ここでは紹介できませんでしたが「ウインドウズセクション(Windows Section)」というエリアにも幾つか有名なアーチがあります。アーチーズ国立公園はともかく歩かないといけないので、時間を取られてしまいます。だけど、十分にその価値はにありました。車で簡単に乗り付けて観光できるアーチより、歩いて歩いてようやく姿を現すアーチの方が国立公園に相応しい気がします。

アーチーズ国立公園からは、ようやく本格的に南下できます。アメリカといえば忘れてはいけないグランドキャニオンまで走りました。

(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
)

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in 取材, Posted by logc_nt

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