ネット上の広告を強制的に非表示にするアップデートをプロバイダがユーザー向けに実施
by weweje
フランスの通信事業者「Free」でインターネット接続時にユーザーが必ず利用しているFreeboxのファームウェアが更新され、1月2日から広告が強制的にブロックされるようになりました。この機能はデフォルトでオンになっているため、バナー広告で収入を得ているニュースサイトなどが猛反発。もともとこの機能はFreeがGoogleと対立しているためにつけられたと考えられており、1月7日からはGoogleと話し合うために一時的にオフになっているようです。
Blocage des pubs : Free pète un câble !
http://www.numerama.com/magazine/24665-blocage-des-pubs-free-pete-un-cable.html
Comment (et pourquoi) désactiver le blocage des publicités sur Freebox Server - Freenews : L'actualité des Freenautes - Toute l'actualité pour votre Freebox Revolution
http://www.freenews.fr/spip.php?article12949
ここ数ヶ月ほど、GoogleとFreeとの間ではトラフィック問題で対立が深まっていました。これは、Freeが提供しているモデム・Freeboxを使っているユーザーがYouTubeに接続したとき、明らかにトラフィックを絞られている(通信速度を下げられている)という疑いが出たもので、Freeはちゃんと通信速度を保つように要請していましたが、Googleはこれを拒否しました。ARCEP(フランスの独立系通信監督機関)が監視に乗り出すなどして、最終的にGoogleはこの要請を受け入れましたが、協定についてはクリスマス前に話がダメになっていました。
このため、Freeは2013年に入ってすぐにFreebox用のファームウェアアップデートを実施。デフォルトでウェブ上の広告をブロックする機能をオンにしました。この機能にはホワイトリストがないため、見たくない広告だけではなく、お気に入りのサイトにも被害を与えてしまうということを懸念する意見がネットユーザーから出たほか、Freeに関するニュースを取り扱っているニュースサイトFreenewsでは、ユーザーが選択できないバナー広告ブロックは「危険で無責任」であり、ホワイトリストもなしにデフォルトで広告ブロックをするということは、ネット上の何千ものコンテンツパブリッシャーを危険に追いやる行為だと指摘。「Freenewsのような多くの無料サイトは、収入を広告に頼っています。広告なしではそれらは存続できませんし、我々Freenewsも存続できないでしょう」と締めくくっています。
Économie : Free arrête de bloquer la pub ce lundi matin - BFMTV.com
http://www.bfmtv.com/economie/free-arrete-bloquer-pub-lundi-matin-418004.html
Freeによる広告ブロックの実施は、Googleに対する攻撃手段を持っていることを見せつける示威行為だったと考えているのはBFMTV.com。Googleはフランスで年間16億ユーロ(約1842億円)を売り上げていますが、もしも広告ブロックが発動すれば年間5億ユーロ(約576億円)の損害を与えられると見込まれています。
ちなみに、このブロック機能が発動している間、Freeのユーザーによると一部のサイトでは確かに広告はブロックされていたものの、広告ブロックが効いていないサイトもあったようで、Googleの検索結果に表示されるスポンサードリンクやYouTubeなどの広告も残っていたとのこと。
なお、ISPが特定のトラフィック(広告)のみをブロックするのは「通信の秘密」を侵しているのではないかという見方もあり、フランスでの出来事ながら、どこへ着地するのかが気になるところです。
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