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「Appleは他社の広告を制限しながら自社の広告を優遇している」とロビー団体が規制当局に申し立てる


Appleはユーザープライバシーの保護を掲げ、ユーザー自身がアプリによる広告トラッキングを制御できるシステムの導入を予定しています。この動きに対し、フランスのスタートアップやベンチャーキャピタルを代表するロビー団体・France Digitaleが、「Appleは他社の広告を制限しながら、自社の広告を優遇している」と、フランスの個人情報規制当局(CNIL)に申し立てました。

Apple Faces French Complaint Over IPhone Advertising Tool - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-03-09/apple-faces-french-complaint-over-iphone-advertising-tool

French antitrust complaint alleges Apple allows itself to run personalized ads on iOS without getting user consent - 9to5Mac
https://9to5mac.com/2021/03/09/french-antitrust-complaint-alleges-apple-allows-itself-to-run-personalized-ads-on-ios-without-getting-user-consent/

A new complaint alleges Apple's own ad targeting happens without user consent
https://www.idownloadblog.com/2021/03/09/apple-ad-targeting-complaint-france/

ユーザーのウェブ上の行動を追跡し、そのデータを基にユーザーの興味関心に合わせた広告を表示するターゲティング広告は、通常の広告よりも購買行動につながりやすい広告を表示することが可能です。その一方で、ターゲティング広告には「ユーザープライバシーを侵害している」との懸念もあることから、AppleはiPhoneの広告識別子であるIDFAの仕様変更を行い、ユーザーが広告トラッキングを許可しない限りIDFAを利用できないようにすると発表しました。

Appleが広告トラッキングを制限するためのポップアップ表示をiOS 14.4のベータ版でテスト - GIGAZINE


これに対し、広告が収益の柱となっているFacebookは、「Appleのプライバシポリシー改訂によってターゲティング広告が困難になり、広告収入が激減する」と主張。個々のユーザーに最適化した広告表示は、宣伝費に多額の予算を割けない中小企業にとって重要だとして、ターゲティング広告の重要性を周知する宣伝も行っています。

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Appleが予定している広告トラッキングの制限は、アプリが他社の広告ネットワークを含むサードパーティー企業とのユーザーデータ共有を行う前に、ユーザーからの明示的な同意を得る必要があるというもの。つまり、1つの広告ネットワーク内でデータを共有すること自体は問題とされておらず、FacebookがMessenger・Instagram・Facebookなどの自社アプリ間でデータを共有することは可能です。

しかし、小規模な開発者は独自の広告ネットワークを構築するほどのリソースを持っておらず、ターゲティング広告を表示するには、サードパーティーの広告ネットワークに頼らざるを得ません。これらの点から、複数の企業が買収や売却を繰り返して1つの企業としてまとまり、ファーストパーティとしてユーザーデータを囲い込む「コンテンツの要塞」を作り出す可能性も指摘されています。

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そんな中、ロビー団体のFrance Digitaleは2021年3月9日に、「Appleは他社の広告ネットワークを厳しく制限している一方で、自社の広告ネットワークを優遇している」とCNILに申し立てました。

France Digitaleの申し立ては、Appleが自社で運営するアプリなどを通じて収集した情報を基に、自社のアプリ上で表示する広告に関するもの。Appleの広告とプライバシーに関する文言を見ると、「Appleの広告プラットフォームによって配信される広告は、App Store、Apple News、“株価”に表示される場合があります。」と記されています。France Digitaleはこの広告機能がiPhoneではデフォルトで有効になっており、ユーザーに対して十分に周知されていないと主張しています。

Appleの広告とプライバシー - Apple サポート
https://support.apple.com/ja-jp/HT205223

Appleの広告ネットワークはあくまでもファーストパーティーによるものであり、サードパーティー間のデータ共有を制限する試みに反するものではありません。しかしFrance Digitaleは、「Appleは誰が『パートナー』で誰が『サードパーティー』であるかを任意の方法で選択する権利を持ちます」と述べ、ユーザーに通知することなく広告ネットワークの範囲を拡大することもできると指摘しました。

France Digitaleの申し立てに対し、Appleは「申し立ての主張は明らかに虚偽です」と述べ、ユーザーを追跡する自分たちの行動から目をそらし、規制当局や政策立案者を誤解させる試みはうまくいかないだろうと反論。また、Appleのプライバシー責任者であるJane Horvath氏は、「ユーザーがAppleのパーソナライズド広告をオンにしている場合、ダウンロードしたアプリ、年齢、居住する国または都市、性別などの類似した特性を共有するユーザーをグループ化して広告をターゲティングします」と述べ、個々のユーザーを識別していないと主張しました。

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in モバイル, Posted by log1h_ik

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