ウェブブラウザ「Safari」は当初「Freedom」になる予定だった
Appleでウェブブラウザ「Safari」やレンダリングエンジン「WebKit」などの開発を担当したドン・メルトンさんが、「Safari」という名前がどうして生まれたのかを明かしました。名前が決まった瞬間には立ち会っていなかったそうですが、それ以前にスティーブ・ジョブズ氏らと話し合っていた時点では「Freedom」という名前が有力だったそうです。
When I first heard the name “Safari”
http://donmelton.com/2012/12/19/when-i-first-heard-the-name-safari/
Apple社内で“秘密のウェブブラウザ開発チーム”だったものが「Safari」チームになったのは今から10年前の話。2003年1月7日に製品がデビューするまで、1ヶ月も猶予のない時間になってからでした。ウェブブラウザの名前が「Safari」に決定したその瞬間にはメルトンさんは立ち会っていませんが、それ以前に何度か行われたディスカッションには加わっていました。
2002年夏に、このウェブブラウザを2002年末にリリースするということが大枠で決まったのですが、メルトンさんはこのとき、スティーブ・ジョブズ氏がウェブブラウザの名前をいくつか声に出したのを覚えているそうです。これはおそらく、ジョブズ氏が名前を口にしたり、耳にしたりすることで、どんな感じなのかを確かめていたのだろうとメルトンさんは推測しています。
このときの名前をすべては思い出せないものの、メルトンさんの頭には「Freedom」という名前が強く残っていました。しばらくはこの「Freedom」という仮称があてられましたが、わりと好評で、また、MicrosoftやInternet Explorerからの自由を連想させることもあって、ジョブズ氏もわりと気に入っていたようです。
しかし、メルトンさんは「そんな、女性用の衛生用品みたいな名前はやめてくれよ」とも思っていたそうです。これは、トイレなどに設置されるサニタリーボックスのメーカーに「Freedom Hygiene」があるため。
同様のことはメルトンさん以外のメンバーも感じたようで、やがて「Freedom」は名前の候補リストから姿を消しました。それ以降の議論で出てきた名前はひどいと感じるようなものばかりで、メルトンさん自身が提案したものがあったそうですが、みんな記憶から消し去ってしまったそうです。
開発チームでは1年以上、内部名「Alexander」として進めていました。チームの誰も製品名のことは気にかけていませんでしたが、いざリリースが近づくと正式名称を入れなければならないため気にするようになり、「iBrowse」という名前も出ていたそうです。これがチーム内から出てきたものだったかどうかすらも定かではないそうですが、とにかく正式名称が必要だということで、メルトンさんは悩んだ末に「いまスコット・フォーストールから連絡を受けて、その『iBrowse』でいいそうだよ」と答えました。これは、名称問題でこれ以上考えたくなかったという意思の表れであり、開発チームをまとめるための手段でもありました。
最終的な名前は、当然ながら「iBrowse」にはなりませんでした。メルトンさんによると、12月第2週に社内のカフェテリアに行ったときに、マーケティングプロダクトマネージャーのカート・ナイト氏が「名前が決まったよ!」と寄ってきて、「Safariだ」と教えてくれたそうです。
メルトンさんは、聞いた当初はあまり合わない名前だと思っていたものの、じわじわと馴染んできて、オフィスに戻ったときには名前が好きになっていたとのこと。開発チームに名前を伝えるときにも、彼らもきっと好きになるだろうと確信を持つことができ、実際に、わざわざ納得させるような必要はありませんでした。
いろいろな経緯があったものの、この「Safari」という名前を提案した人に対して感謝したい、とメルトンさんは語っています。
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