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テレビの今後の行方、メーカー各社のテレビ事業縮小への回答&現状まとめ


円高や海外勢との価格競争を背景に、苦しい戦いを強いられ続けているテレビメーカー各社。

本日、パナソニックが薄型テレビ事業を縮小する方針であるという報道が各社によって行われたわけですが、国内主要テレビメーカー各社の現状をまとめてみました。


◆パナソニックのテレビ事業縮小報道

asahi.com(朝日新聞社):パナソニック、薄型テレビ事業縮小 最新鋭の工場休止へ - ビジネス・経済

TV、苦しむ日本勢…パナソニック縮小 : M&A・企業ニュース : 企業ナビ : マネー・経済 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

パナソニック、TV事業縮小 1000人規模の削減検討  :日本経済新聞

各社の報道によると、パナソニックは同社の連結売上高の11%を占める最大の事業、薄型テレビ事業を縮小する方針だそうです。これはアジア勢との価格競争や円高を受け、3期連続で赤字を計上したため。

まず2010年1月に本格稼働した兵庫県尼崎市にある最新鋭のプラズマパネル生産工場を2011年度中に休止。さらに千葉県茂原市の液晶パネル工場も、ソニーや東芝、日立がスマートフォンやタブレット端末向け中小型液晶ディスプレイ事業を統合した新会社との売却交渉を進めているとのこと。今回のテレビ事業縮小を受けて、同事業で千人規模で従業員を減らすとされています。

パナソニックプラズマディスプレイ尼崎第3工場

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パナソニック液晶ディスプレイ 茂原工場

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なお、この報道についてパナソニックの広報担当は「報道の内容は当社が公表したものではありません。薄型テレビの成長戦略についてはさまざまな検討を行っておりますが、現在公表できる事実はありません」と回答しています。

◆液晶テレビメーカー各社の世界シェア

Display Search社が公開した2011年第2四半期の液晶テレビのシェアによると、1位はSamsung(22.6%)、2位はLG電子(14.4%)、3位はソニー(11.7%)、4位はパナソニック(9.4%)、5位はシャープ(7.0%)と、国内メーカー各社は韓国勢に遅れを取る形に。


世界4位にランクインしているため、パナソニックのシェアは決して低いわけではありませんが、言い換えると「パナソニックほどのシェアがあってもテレビ事業縮小を選択せざるを得ない」というのが現状です。

◆国内主要メーカー各社の現状は?

・ソニー


液晶テレビ「BRAVIA」を展開しており、現在世界シェア3位のソニー。しかし同社のテレビ事業は決して順風満帆とはいかず、2011年度 第1四半期(4~6月期)の決算でも2005年3月期から実に7期連続の営業赤字を記録するなど、苦戦を強いられ続けています。

また、編集部でテレビ事業を縮小する予定があるのかどうかを問い合わせたところ、「確かに市況などが厳しい中、テレビ各社が構造改革を行うことなどを表明していると思われますが、弊社につきましてはこの2~3年の間に事業所の統合などは順次行ってきました。今後も市況に応じて構造改革などを継続して行っていくということは5月の業績発表の際にも申し上げております」と回答しています。

・シャープ


AQUOS」でおなじみのシャープは世界シェア5位。2011年7月28日に発表された2011年度 第1四半期(4~6月期)の決算によると、需要低迷で大型液晶パネル工場のマザーガラス生産を停止した影響などから前年同期に比べ大幅な減益となるなど、好調ではありません。

そしてシャープに対してもテレビ事業を縮小する予定があるのかどうかを問い合わせたところ、「特にありません」という回答に。

・東芝


外付けHDDへの録画機能などが好評を博している「REGZA」を展開する東芝。2011年度 第1四半期(4~6月期)の決算では円高の影響に加え、欧米での伸び悩みとエコポイント制度の終了などで液晶テレビ事業が減収となったものの黒字を確保できており、今後は新興国での拡販をさらに加速していくとしています。

なお、東芝もテレビ事業を縮小する予定があるのかどうかという問い合わせに「(予定は)ありません」と回答しています。

◆自社生産の終了や、すでに撤退したメーカーも

・日立


日立はハイビジョンテレビ「Wooo」シリーズを展開し、液晶テレビとプラズマテレビの両方を手がけていましたが、2008年9月には自社でプラズマパネルの生産を打ち切り、パナソニックへ委託することを決定。さらに今年8月には自社生産から撤退し、今年度中に国内工場での生産終了を検討していることが明らかになっています。

・ビクター


2005年に国内初の「倍速液晶」搭載テレビを発売するなど、画質面にこだわった液晶テレビ「EXE」を展開していたビクターは2008年に大手メーカーとして初めて国内テレビ事業から撤退したメーカーとなりました。

・パイオニア


徐々に液晶テレビへシフトするなどした他社とは異なり、プラズマテレビに注力していたパイオニア。高画質・高音質を求めるハイエンドユーザー向けの「KURO」シリーズを展開していましたが、2009年に生産終了を発表しています。

今回聞いた中でまともに利益を上げることができているのは東芝だけという結果になりましたが、国内メーカー各社が技術の粋を凝らし、付加価値を高めた高機能モデルを相次いで投入しているにも関わらず、消耗戦から脱する気配が一向に見えないテレビ市場。

昨年末に起きたエコポイント特需や、中小型モデルに需要が集中した地デジ移行特需を終え、今まで以上に苦しい戦いを強いられることになる中、「選択と集中」をさらに推し進めるメーカーが現れても全くおかしくない状況です。

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in ハードウェア, Posted by darkhorse_log

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