スーパーボウルで負けたチーム、幻の「チャンピオンTシャツ」の行方
by drsethery
2011年2月6日に開催された第45回スーパーボウルではグリーンベイ・パッカーズが31-25でピッツバーグ・スティーラーズを下し、4度目のNFLチャンピオンの座を手にしました。その翌日にはすでに多くのファンが優勝記念Tシャツや優勝記念帽子を着用していたわけで、これらの記念グッズは当然ながら勝負の行方がわかるずっと前から製造され、店舗にストックされていたということになります。
では、残念ながら栄冠を手にすることはできなかったスティーラーズの「チャンピオンTシャツ」はどこへ行ったのでしょうか?
詳細は以下から。Zambia: Where the T-Shirts for Losing Super Bowl Teams Go
勝者グリーンベイ・パッカーズの公式ショップでは、この「チャンピオンT」ほか多数の優勝記念グッズが販売されています。
「チャンピオンT」などのグッズは勝敗がわかる前に製作されているので、今年は当然スティーラーズ優勝に備えたバージョンも作られたのですが、ファンならのどから手が出るほど欲しかったかもしれないそれらのグッズはどこへ行ったのでしょうか?
実は、スーパーボウル前に10万枚製造されていたというスティーラーズの優勝記念Tシャツは、規定によりアメリカ国内での販売は禁止されているため、発展途上国の子どもたちと貧困層を支援するチャリティ団体「World Vision」を通じてザンビアやアルメニア、ルーマニア、ニカラグアなどの人々へ寄付されるそうです。帽子やスウェットなども同様に送られます。
World VisionのディレクターJeff Fields氏は生まれも育ちもピッツバーグで生粋のスティーラーズファン。今年はちょっとほろ苦い気分で幻の「スティーラーズ優勝記念Tシャツ」を送り出すそうです。
World Visionでは1990年代からNFL各チームが押収した海賊版Tシャツなどの提供を受けていて、NFLとの信頼関係を築き上げ、スーパーボウル前にプリントされる両チームのTシャツのうち、販売されない敗者のTシャツを貧困国へ送るようになったそうです。MLB(野球)やNBA(バスケットボール)、NHL(ホッケー)とも同様の契約を結んでいるそうですが、アメリカでのフットボールの人気を反映してか、NFLから提供される衣服の量が一番多いとのこと。
なお、今年製造された敗者スティーラーズのTシャツは10万枚程度だったのですが、Tシャツが売れるチーム、つまり人口の多い大都市圏に本拠地を置くチームがスーパーボウルへ出場し敗れた年は、さらに膨大な数のTシャツを貧困国へ送ることができるそうです。「ニューイングランド・ペイトリオッツがニューヨーク・ジャイアンツに負けた年(2008年)やシカゴ・ベアーズがインディアナポリス・コルツに負けた年(2007年)には、枚数はもっと多かったです。スーパーボウルが毎年ジャイアンツ対ペイトリオッツだったら我々のチャリティにとっては理想的なのですが、そうは行きません」とスティーラーズファンのFields氏は語っています。
第41回スーパーボウルの「ベアーズ優勝記念Tシャツ」を身につけたザンビアの人々。ベアーズファンの旅行者が遭遇したら「ここは夢の国か?」と思う光景かもしれませんが、Tシャツを受け取る人々の多くはアメリカンフットボールが何なのかさえ知りません。
なお、Tシャツや帽子などを受け取る人々は、World Visionから受け取ったものを販売したり交換することはできない契約(違反すると今後支援を受けられなくなる)を結んでいるため、熱狂的なスティーラーズファンが「幻のTシャツ」を求めて旅行しても無駄とのことです。また、World Visionは非常に厳しいポリシーで運営されていて、職員がTシャツを横流しすることは考えられないとのこと。
何とか今年のTシャツを手に入れようと悪あがきするよりは、来年こそ正々堂々と優勝記念Tシャツを身につけるため、次のシーズンへ向け応援態勢を強化する方が、スティーラーズファンにとってはTシャツ入手への近道と言えそうです。
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