通信速度で他社を圧倒的にリードも、KDDIが「WiMAX搭載の携帯電話」を発売か

2010年冬春モデルから音声端末に通信速度が下り最大9.2Mbps、上り最大5.5Mbpsとなる「EVDOマルチキャリア」を導入することで、下り最大7.2Mbpsの「HSDPA」を採用しているNTTドコモやソフトバンクモバイルの音声端末を上回る通信速度を実現したKDDIですが、さらに通信速度を向上させる意向であることがありました。

携帯電話を下り最大40Mbps、上り最大10Mbpsの「モバイルWiMAX」に対応させるというもので、実現すれば他社を大きくリードできることになりそうです。

なお、上記の写真は海外ですでに発売されているCDMA2000とモバイルWiMAXに対応した高性能Androidスマートフォン「HTC EVO 4G」です。

詳細は以下から。
高速無線、波乗るドコモ　次世代データ通信、覇権争い (4/5ページ) - SankeiBiz（サンケイビズ）

産経新聞社の報道によると、NTTドコモが下り最大37.5Mbpsの次世代高速通信サービス「LTE」を「Xi（クロッシィ）」として12月から開始するほか、現行のHSDPAを拡張した、下り最大42Mbpsの「DC-HSDPA」をイー・モバイルが「EMOBILE G4」として12月から、そしてソフトバンクモバイルも2011年3月から開始することを告知し、高速通信のサービス開始が加速する中で、KDDIが出遅れることになるそうです。

KDDIはNTTドコモのおよそ2年後にLTEのサービス開始を予定しており、当面は下り最大9.2Mbpsの「EVDOマルチキャリア」で他社と対抗することになりますが、逆転の秘策として子会社のUQコミュニケーションズが提供している下り最大40Mbps、上り最大10MbpsのモバイルWiMAXサービス「UQ WiMAX」にも対応したハイブリッド携帯電話のリリースを検討しているとのこと。

また、KDDIは11月19日からWindows 7を搭載したオンキヨー社製11.6インチタブレット端末「TW317A7」の取り扱いをauショップなどで開始するにあたって、KDDIのデータ通信サービスと子会社のUQコミュニケーションズが提供するモバイルWiMAXサービスの両方を利用できるUSBタイプのハイブリッドデータ通信端末とのセット販売を導入しましたが、この先にあるのが個人向けの「WiMAX対応携帯電話」であるとされています。

なお、すでにハイブリッドデータ通信端末の登場に加えて、9月にはKDDIの小野寺正社長が退任し、UQコミュニケーションズを立ち上げた田中孝司専務が12月1日付けでKDDIの社長に就任するという人事が発表されているため、ハイブリッド端末の登場は現実味を帯びてきています。

ちなみにUQコミュニケーションズによると、「DC-HSDPA（下り最大42Mbps）」や「LTE（下り最大37.5Mbps）」の通信速度の表記は、実環境では非現実的なエラー訂正符号率でデータ通信速度を計算しているため、エラー訂正符号を含んだ「UQ WiMAX」の通信速度（下り最大40Mbps）と同条件で比較した場合、DC-HSDPAは下り最大35Mbps、LTEは下り最大31.3Mbpsとなるそうです。

UQコミュニケーションズが説明会で提示した資料。ピーク速度はUQ WiMAXが最も高いとされるほか、同社は各社が導入している帯域制限を導入しないことを明言しています。

「広範なエリアを誇るKDDIのネットワークと高速通信が可能なUQ WiMAXのネットワークの両方を利用できる音声端末」というのは確かに魅力的ですが、UQ WiMAXはNTTドコモの「Xi」に1年半近く先行して展開されており、来年3月までに基地局数を1万5000局にまで引き上げる以上、ぜひとも他社より先に音声端末をリリースしてもらいたいところです。