映画

【訃報】「パプリカ」「千年女優」などの作品を手がけたアニメ監督の今 敏さん死去



文化庁メディア芸術祭アニメーション部門の大賞を受賞した「千年女優」や、第63回ベネチア映画祭コンペティション部門出品作品の「パプリカ」などを手がけたアニメ監督の今 敏(こん さとし)さんが8月24日、膵臓がんのため亡くなりました。46歳の若さでした。

公式サイトの最新の日記は8月23日更新、同じく8月23日の夜まではツイートもあって、最後まで自分の活動を伝えてくれていたようです。

今 敏 永眠のお知らせ - KON'S TONE
http://konstone.s-kon.net/modules/info/index.php?page=article&storyid=37


公式サイトであるKON'S TONEでも25日15時すぎに発表がありましたが、すでにニュースは23日深夜~24日未明にかけてアニメ業界に広まっていたようで、アニメーション制作スタジオ・ガイナックスの取締役統括本部長を務めている武田康廣さんは今監督がガンのため亡くなったことを25日2時36分にツイート。


漫画家のゆうきまさみさんも信頼できる筋から死去の報を受け「絶対的に信頼のおける作家でした」とコメントしています。


また、スラッシュドット・ジャパンによると、海外のアニメ・マンガ系イベント「OTAKON」のスタッフはマッドハウスの取締役社長・丸山正雄さんが23日17時すぎに「いまマッドの大事な監督が急逝して…」とツイートしたのを受けて丸山さんに連絡、これが今監督のことだ確認を取ったとのこと。


今 敏 オフィシャル・サイト - KON'S TONE


今監督は武蔵野美術大学在学中に、週刊ヤングマガジンで漫画家としてデビュー。「AKIRA」で知られる大友克洋さんのアシスタントとして働きました。その後、もともとアニメーターを志していたこともあってアニメの仕事をするようになり、1997年に竹内義和の小説を原作とした映画「パーフェクトブルー」で監督デビュー。

2002年に監督した「千年女優」は、宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」と同時に文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞したほか、カナダのファンタジア映画祭では最優秀アニメーション作品賞&芸術的革新賞を、シッチェス・カタロニア国際映画祭では最優秀アジア映画作品賞を受賞するなど、国内外で高い評価を受けました。

2003年の「東京ゴッドファーザーズ」は、「千年女優」とともにアカデミー賞の長編アニメ部門候補作品にも選出されています。しかし、残念ながら両作品とも受賞には至りませんでした。

日記としての最後の記事は、「夢みる機械」制作チームでよく会話に出てくるタイトルを中心にまとめた「「夢みる機械」班が選ぶ映画100・前編」「「夢みる機械」班が選ぶ映画100・後編」の続きとして、今監督がリストから漏らすには惜しいという作品をまとめた内容でした。

NOTEBOOK »NOTEBOOK» ブログアーカイブ » 親切なお節介 - KON'S TONE
http://konstone.s-kon.net/modules/notebook/archives/562

・10:30追記
国内だけではなく海外でも評価の高い監督だったということもあり、海外でも続々と報じられています。

Perfect Blue/Paprika Director Satoshi Kon Passes Away (Updated) - News - Anime News Network
https://www.animenewsnetwork.com/news/2010-08-24/award-winning-director-satoshi-kon-passes-away

Influential Anime Director Satoshi Kon Has Died - IMDb
https://www.imdb.com/news/ni3963353/

Satoshi Kon, Anime Filmmaker, Dies at 46 - The New York Times
https://www.nytimes.com/2010/08/26/arts/design/26kon.html

传《红辣椒》导演今敏因癌症去世 享年47岁(图)_影音娱乐_新浪网
http://ent.sina.com.cn/m/f/2010-08-25/09133063470.shtml

・11:53追記
今監督とは小学生時代からの友人だったという漫画家の滝沢聖峰さんは、今さんの最後のブログ記事に触れて思いを綴っています。

非往復書簡 | 今 敏
http://blog.takizawaseiho.com/?eid=1210727

共通の知人から電話で訃報を聞いた。
最後に会ったのは彼の個展だった。
からかい半分の口調、意に沿わない意見には生返事で中空を見る仕草は昔のままだった。
それより少し前、自宅に招かれたことがある。
午後早くにお邪魔したはずなのに、話をしているうちにあっという間に深夜になっていた。
昔話は一つもしなかった。
人の作品のこと、自分の作品のこと、作りたい物、そして作ってはいけない物、そんな話ばかりだった。
ルーズでつまみ食い好きのオレと違い、彼は常に作品と真っ正面から向き合い、逃げない人間だった。
自分や作品に厳しい故、誤解を受けることもあったかも知れないが、すべては作品や他人への誠実さからだ。
中学の時から、本当にいいと思った物しか褒めなかった彼の言葉は、オレの生涯の宝物だ。
HPの最後の更新を見ると、好きな映画が並べてあった。
「まぼろしの市街戦」が好きだなんて話したことなかったじゃないか。
ご冥福をナントカなんて書きたくない。

なぜ死んだバカヤロウ


・16:05追記
公式サイトにて「今 敏 永眠のお知らせ」が発表されました。亡くなったのは8月24日午前6時20分で、膵臓がんだったそうです。

今 敏 永眠のお知らせ - KON'S TONE
http://konstone.s-kon.net/modules/info/index.php?page=article&storyid=37

「パプリカ」「妄想代理人」「東京ゴッドファーザーズ」「千年女優」など数々の作品を今 敏監督とともに制作、現在も「夢みる機械」を制作中だったMADHOUSEからも発表がありました。

訃報 - madhouse.co.jp
http://www.madhouse.co.jp/news/news_2010_08.html


・16:50追記
NOTEBOOKに最後の記事がアップされていました。5月18日に膵臓がん末期で余命が長くて半年であるという告知を受けてからの様子、そして別れの言葉が綴られています。こうして振り返ると、7月23日の「坊主にした」、8月6日の「思うところあって身辺整理をしている」が、死を前にしての旅支度だったことがわかります。

NOTEBOOK »NOTEBOOK» ブログアーカイブ » さようなら - KON'S TONE
http://konstone.s-kon.net/modules/notebook/archives/565

最後は、以下のような言葉で締めくくられていました。

世界中に存する善きものすべてに感謝したい気持ちと共に、筆をおくことにしよう。

じゃ、お先に。

今 敏

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in 映画,   アニメ, Posted by logc_nt

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