メモ

ソビエト連邦の「大祖国戦争」を壮麗な戦争美術で描く


大祖国戦争」とは第二次世界大戦におけるソビエト社会主義共和国連邦とドイツ第三帝国との戦い、いわゆる「東部戦線」をソ連側から見た呼び方です。第二次世界大戦は、ソ連にとって文字通り民族の絶滅をかけた戦いであり、その死者の数は両軍合わせて2000万人以上とまさに「史上最悪の戦争」と呼ぶべきものです。

その戦争の様子を描いたいわゆる「戦争画」は戦中・戦後にかけて多く制作され、ソ連政府の宣伝工作のため盛んに用いられてきたわけですが、現在を生きる私たちの目から見ると得も知れぬ空しさを醸し出すものばかり。英雄的な表現の中にも、一個人としての兵士の心情と残された家族の悲哀が描かれており印象に残るものが数多くあり、今なお争いが絶えない世界に対し何かを訴えかけているかのようです。

詳細は以下。
Soviet War Paintings

1941年6月22日、独ソ不可侵条約を破りドイツはソビエト連邦に進出します。


徴兵に応じ出立する父親。


麦畑で穂をつかみ、立ちつくす兵士。


倒れた仲間を埋葬する。重機関銃の防弾盾が墓標代わり。


ドイツ軍の進撃は続く。主人を失った犬が鳴いています。


雪がつもり雲が低く垂れ込めた11月のモスクワに集まる兵士の群像。


首都モスクワはドイツ中央軍集団の戦略目標であり、激しい攻撃にさらされました


視力を失った仲間を導く女性兵士。


モスクワ正面の戦いは2ヶ月続き、補給が潤沢でないドイツ軍は冬の寒さに阻まれ足踏みすることとなりました。


休息を取る兵士。手にした人形は家族のものでしょうか。


ドイツ北方軍集団はレニングラードを包囲、市民を疎開させるため冷たい川の流れに身を浸し自ら橋桁となる兵士達。


非戦闘員も木のソリを使って物資の移動を助ける。レニングラードでは疎開が間に合わなかったために1941年9月から1943年1月までの間で数十万人の死者が出ました。


短機関銃の銃床の上で手紙を書く兵士の顔に疲れがにじんでいます。決して過ごしやすいとは言えない廃墟の一角にもかかわらず、仲間は眠りこけているようです。


1942年冬のスターリングラード攻防戦におけるソ連軍の勝利が戦局の転換の始まりでした。


ドイツ兵の遺体。


家族の写真を仲間と見せ合うソ連軍兵士。笑顔を見せる兵士と故郷を案じているのか渋い顔の兵士。


第二次世界大戦を通じてソ連軍ではリュドミラ・パブリチェンコをはじめ女性の狙撃兵が数多く活躍しました。


砲撃により裸となった大地に刻まれた無数のキャタピラの跡。


戦車に対し収束手榴弾で対峙する赤軍歩兵。物陰から忍び寄り爆発物で戦車に立ち向かう歩兵はドイツ軍を苦しめました。


払暁の進撃。寒さや泥濘をものともしないソ連軍の粘りがドイツ軍を押し返し始めます。


戦車の墓場と化したクルスクの大地。1943年夏のクルスクの会戦は両軍合計6000両以上の戦車が参加し史上最大の戦車戦と言われています。


1944年4月のクリミア半島・セヴァストポリ要塞奪還戦。トルコへの政治的影響とルーマニアの油田地帯防衛のため、ヒトラーは死守を命じましたが補給が続かず1ヶ月で陥落しました。


春とともによい知らせが故郷に届き始めます。


働き手を取られたとはいえ耕さなければ収穫はありません。鋤を引いて畑を耕します。


事実上最後の戦いとなった1945年4月末のベルリン市街戦赤軍旗を掲げる兵士の写真で有名な帝国議事堂の占領をもって終わりを告げます


勝利を祝う赤軍兵士達。しかしこの後のベルリン市民に対する赤軍の暴力と略奪は今なお議論を呼んでいます。


ベルリンの廃墟でピアノを弾く兵士。


復員、そして再会。


帰郷。


確かにソ連は大祖国戦争に勝利し社会主義国家として影響力を発揮するに至るわけですが、その後吹き荒れた粛正の嵐と東西冷戦の終わりなき軍拡の末、1991年にソビエト連邦は崩壊。その後の政治的・経済的混乱は今なお東欧諸国に色濃く影を落としていると言ってよいでしょう。

この勝利はソ連にとって何を意味したのか。そして今も世界各地の戦争で落とされる命の代わりに私たちは何を得るのか。これらの素晴らしい絵画は戦争が終わった今、重たい問いを私たちに投げかけているのではないでしょうか。

その他、たくさんの戦争画はこちらのサイトから見ることができます。
Soviet War Paintings

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in メモ, Posted by darkhorse_log

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