サイエンス

「読み書き困難なディスレクシア(失読症)でも読みやすいフォント」は本当に効果があるのか?


ディスレクシアは文章を読んだり書くのが苦手という特長をもつ先天性の学習障害の1つです。このディスレクシアの緩和策として「ディスレクシアでも読みやすい文字で構成されたフォント」が存在しているのですが、2017年に発表された研究ではフォントの効果が否定されています。

The effect of a specialized dyslexia font, OpenDyslexic, on reading rate and accuracy | Annals of Dyslexia
https://link.springer.com/article/10.1007/s11881-016-0127-1

Do Dyslexia Fonts Actually Work? | Edutopia
https://www.edutopia.org/article/do-dyslexia-fonts-actually-work/

研究対象となったのはディスレクシア向けに設計された「OpenDyslexic」というフォントです。OpenDyslexicは文字の下部に「重み」があるのように見えるのが特長で、文字の方向を認識しやすくなることでディスレクシアでも読みやすくなるとされています。


各種フォントとOpenDyslexicを並べるとこんな感じ。「d」「p」「q」「b」といった似た文字の見やすさが向上しているように思えます。


しかし、2017年に発表された研究ではOpenDyslexicの効果が否定されました。研究チームは12人の小学生を対象に「Arial」「OpenDyslexic」「Times New Roman」の読解速度テストを実施。被験者にはディスレクシアの児童とディスレクシアでない児童が含まれていましたが、3種類のフォントで有意な差は見られませんでした。


日本でもUDデジタル教科書体がディスレクシアの子どもの助けになるかを実験した結果が2023年に公開されています。この実験でもフォントと認識力に関連がないことが示されています。

視覚や読み書きが不自由な子どもに配慮したユニバーサルデザインデジタル教科書体は音読や読解を改善するのか? - GIGAZINE


OpenDyslexicは「ディスレクシアの原因は視覚的な部分にある」という発想から作られたフォントです。しかし、ディスレクシアに関するこれまでの研究によって「ディスレクシアは視覚的な要因によるものではない」ということが明らかになっています。また、国際ディスレクシア協会は「ディスレクシアの緩和に役立つ」と宣伝されている色付きメガネやエクササイズなどの効果を強く否定しています。

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in サイエンス, Posted by log1o_hf

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