攻殻機動隊の「義体化」へ一歩前進、脳細胞でコンピューター回路を作成することに成功
人間の脳を構成する1つのニューロンの信頼性は実は低く、シグナルが別のニューロンに伝わるのはわずか40%。このようにして低い信頼性にもかかわらず、人間の脳はこれらのニューロンを極度に結合させることでもっと信頼できるようにしているとのこと。
ということは、ニューロンをいくつも組み合わせればコンピューターの回路としてちゃんと動作するのではないか?と考えたある研究者が実験室の中で、ついにこの脳細胞を使ったコンピューター回路の作成に成功したそうです。
詳細は以下から。
Computer circuit built from brain cells - tech - 23 October 2008 - New Scientist Tech
これはイスラエルのレホボトにあるワイツマン科学研究所のエリシャ・モーゼズ氏とその研究生たちが成し遂げたもので、ワイヤーではなくニューロンを使用して、信頼できる回路を構築するニューロン成長パターンをコントロールする方法を開発したそうです。
この研究の出発点はセル反発力の材料で覆われたガラス板で、回路のパターンはこのコーティング内で構築され、セルにやさしい接着剤で覆われているとのこと。このプレート上ではセルは成長するための足場を構築することができないため、あらかじめ構築されたエリア内で成長するしかなくなるとのこと。こうやって描かれたパスを一方通行で成長するため、研究者達は2つの入力があったときに出力するだけのANDロジックゲートのように作用するデバイスを作ることができたそうです。
これがそのANDロジックゲートのように作用するデバイス
結果的に、40%の信頼性しか持たなかったニューロンが、95%の信頼性を達成したとのこと。
これによって何が可能になるかというと、「脳細胞論理回路がコンピューターと神経系の間の仲介者を務めるかもしれない」としており、「人とマシンの間を接続する生体外のニューロンの中間層になる可能性がある」そうです。つまり、人間と機械とを接続し、ロボットの腕をコントロールするであるとか、攻殻機動隊で言うところの「義体化」に役立つかもしれない、ということです。
・関連記事
人間の神経と接合して触覚だけでなく温度もわかるロボット義手 - GIGAZINE
頭に付けて念じるだけで動くパソコンをロシアが開発中 - GIGAZINE
人間とほぼ同じ構造のロボットアーム - GIGAZINE
セグウェイの発明者が開発した「思い通りに動くロボット義手」の動作ムービー - GIGAZINE
・関連コンテンツ