サイエンス

サイコパス的な性格は体内の微生物と関連しているとの研究結果


精神病質(サイコパシー)は共感性の欠如や反社会的傾向などによって特徴付けられるパーソナリティ障害であり、サイコパシーを持つ人は「サイコパス」とも呼ばれます。そんなサイコパシー的な傾向が、体内の微生物と関連しているとの研究結果が報告されました。

Gut and oral microbiota composition is associated with psychopathic personality: a cross-sectional study | Translational Psychiatry
https://www.nature.com/articles/s41398-026-04052-z

Meditation Retreat Rapidly Reprograms Body and Mind
https://today.ucsd.edu/story/meditation-retreat-rapidly-reprograms-body-and-mind

Psychopathic Tendencies Are Linked to Microbes Inside Your Body, Study Reveals : ScienceAlert
https://www.sciencealert.com/psychopathic-tendencies-are-linked-to-microbes-inside-your-body-study-reveals

サイコパシー的な傾向には共感性の欠如・反社会的傾向・衝動性・利己主義などがあり、臨床的な有病率は約1%とのこと。サイコパシーの生物学的な基盤はまだ十分には解明されていませんが、これまでの研究にはサイコパスの脳には構造的な共通点があることが示されています。

「サイコパスの脳」に共通する特徴が脳スキャンで明らかに - GIGAZINE


しかし、生物医学研究者であるカロリーナ・コスタ氏らの研究チームは、サイコパシーに影響するのは脳構造の特徴だけではないと考えました。コスタ氏は研究時点ではポルト大学の博士課程に在籍しており、記事作成時点ではオックスフォード大学の博士研究員を務めています。

研究チームは論文で、「脳の変化、特に前頭前野側頭葉辺縁系の変化はサイコパシーに直接関係していると考えられますが、それだけではサイコパス的な行動の包括的な神経生物学的説明を提供するには不十分です」と述べています。

そこで研究チームは、「腸内や口腔(こうこう)の微生物叢(そう)の構成が、潜在的なサイコパシーと関連している可能性がある」という仮説を立てました。実際に過去の研究では、体内の微生物が恐怖への反応さまざまな精神疾患に影響しているとの結果が示されていますが、それがサイコパシーとの関連については不明でした。

今回の研究では健康な成人被験者200人を対象に、サイコパシーを測定するために設計された質問票に回答してもらったほか、血液・唾液・糞便(ふんべん)サンプルを提供してもらいました。研究チームはこれらの回答結果およびサンプルを分析し、サイコパシーと体内の微生物との関連性を調べました。


分析の結果、腸内・口腔微生物の多様性とサイコパシーとの明確な関連性はみられませんでした。ところが、腸内細菌叢にアリソネラ属(Allisonella)プレボテラ属(Prevotella)、そしてクロアチバチルス・エブリエンシス(Cloacibacillus evryensis)という細菌が多いほど、サイコパシーの特性が強くなるという正の相関関係が確認されました。

これらの結果は因果関係を示すものではありませんが、それぞれの細菌が何らかの形でサイコパシー的な傾向に影響している可能性があります。研究チームは、アリソネラ属は以前からいくつかの疾患と関連付けられており、それが不安やうつ病と関連する炎症を促進するのかもしれないと指摘しています。

同様にプレボテラ属は神経精神疾患との関連が指摘されており、感情処理に影響を与えると考えられています。また、クロアチバチルス・エブリエンシスは衝動性の調節に関連しているγ-アミノ酪酸(GABA)という抑制性神経伝達物質の産生菌であると疑われているとのこと。

さらに今回の研究では、口腔微生物叢におけるトレポネーマ・ビンセンティ(Treponema vincentii)の量が多いほど、サイコパシーの傾向が低いという関連性もみられました。しかし、トレポネーマ・ビンセンティがサイコパシー傾向に影響するメカニズムについては、研究者らも理由を発見できていないそうです。


注意するべき点として、今回の研究はあくまで相関関係を発見したものであり、「特定の腸内細菌が多いとサイコパスになる」という因果関係を示すものではないことが挙げられます。また、精神医学誌のTranslational Psychiatryに早期掲載された論文は未編集版であり、最終出版前にはさらに編集が行われる可能性があるとのことです。

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in サイエンス, Posted by log1h_ik

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